2020-01-01から1年間の記事一覧
大阪府柏原市で見つかった日本最古の墓誌。668年に作られたとされる墓誌は銅製金属板の表面に86文字、裏面に76文字、計162文字を刻んでいる。短冊形状で長さ約30cm、幅が約7cmとプレートしてそれほど大きなものではない。相当古い(当たりまでだが)の…
京都国立博物館で開催されている「聖地をたずねて 〜西国三十三所の信仰と至宝〜」。前期は開幕直後の7月下旬に行ったため、京都にもまだ涼しさが残っていた。しかし、後期の展示は酷暑の中での訪問となった。連日35度を超える気温に、夕方ごろから黒くて厚…
円山応挙の雪松図屏風の特別展は三井記念美術館の冬の名物となった。今回は15周年記念ということで真夏に公開。館内はエアコンが利いていて涼しいが、雪松を眺めると一段と涼しさが増す思いがする。 三井家がパトロンとして円山応挙を支援したので様々な作…
記録に残すことは重要である。公文書の管理が問題となって久しいが、最初から保存を諦めてしまったら、後世に伝わることはない。正確に歴史の判断を仰ぐことのできなくなるということは、後世の都合の良い歴史へと書き換えられても仕方がないということにな…
三井記念美術館開館15周年を記念した展示会「三井家が伝えた名品・優品」の第2部・日本の古美術が8月いっぱい開催している。7月は第1部として東洋美術の名品・優品がずらり。8月は日本美術と二部構成となっていた。 日本美術の名品には国宝・重文が多…
きもの展では実物の着物のほかに、きもの(人物も含む)が描かれているものも展示されている。 国宝では前期の最初の週のみ、大和文華館所蔵の婦女遊楽図屛風 (松浦屏風)を展示。こちらは、大和文華館にて鑑賞した。そして、後半は狩野秀頼筆の高雄観楓図…
東博で2020年春に企画されていたきもの展。きものには全く興味がなく、夏に開催予定の鳥獣戯画展を楽しみに、完全スルーを決め込んでいた。コロナ禍により、開催期間中のほとんどが緊急事態宣言に重なり、きもの展は中止・延期なのだろうと思っていた。しか…
聖衆来迎寺は西国三十三所の巡礼地ではないが、観音信仰の対局を表す最高峰の図であることから出品されている。 極楽浄土へと導かれるために観音様に祈願するのだが、信仰しないものは地獄へ落ちることになる。ただ、信仰しないだけで地獄へ行くわけではなく…
国宝所有点数が最も多いのは醍醐寺である。なにせ7万5000点以上!!を所有している。しかし、それらの多くを占める宋版一切経6102点と醍醐寺文書聖教 6万9378点は一括で指定を受けているので、国宝としてのカウントは2件となる。その他にも金…
聖地を訪ねて西国三十三所の前期目玉展示は京博所有の千手千眼陀羅尼経残巻だろう。 741年の盂蘭盆会に玄昉が1000巻写経させたもので、巻首のない109行のみが残っていた。東大寺要録に記載があったが、長い間現物の存在が確認できたかった貴重なもので国宝と…
聖地巡礼の先駆けである西国三十三所は観音信仰の霊場を巡る旅である。和歌山県勝浦の那智山寺から始まり和歌山を横断。大阪南部をかすめて、奈良に入り、京都へ上る。京都亀岡でいったん南下し、大阪北部、兵庫の瀬戸内沿いを行く。そして、日本海側へ抜け…
2020年春の京都では京博の「西国三十三ヶ所展」と京都市博物館の「京の国宝」が企画された。とても楽しみしていたが、コロナの影響で京の国宝は中止になった。しかし、西国三十三ヵ所展は草創1300年の節目にあたることもあり、延期して無事開催されることと…
大和文華館が誇る名品は日本の物ばかりではない。李迪筆の雪中帰牧図は水墨画の名作で、画面から冬の凍てついた寒さと牛の歩みの遅さにも関わらず、牛飼いからは家に帰るという気楽さが伝わってくる。所有者は足利義尚から後藤祐乗へ下賜され、井伊家、益田…
写経に念を込める手立ては色々ある。丁寧な字で一字ずつ書くのはもちろん、書いた紙を綺麗に表装するなど、念を込める手段は様々ある。 その中でも書いた文字の一字ずつに蓮型の台の絵を描く一字蓮台法華経は文字と装飾のコラボ写経の最高峰となる。写経だけ…
大和文華館のコレクションの歩み展の開催期間が1と2で入れ替わったことで、婦人遊楽図屏風が東京から急いで帰ってくることとなった。 予定していた展示スケジュールではコレクション展Ⅰが終わった後、東博のきもの展に出展する運びだった。それが、きもの展…
近畿・東海地方以外の人は球団経営として名前を知っている人が多いであろう近鉄。球団経営から身を引いて早16年が経った。中学生以下は近鉄いてまえ打線は過去の映像としてのみ知る時代となった。 さて、近鉄は近畿日本鉄道の略称で、近畿の冠がついてはいる…
国宝の旅で仁和寺を訪れて金堂を見逃すわけにはいかない。 仁和寺を訪れてる機会は金堂の特別公開の時期と重なることが多く、結構人が多いためシャッターチャンスがなかった。今回はコロナの影響もあって人がほとんどおらず、綺麗に金堂を写すことができた。…
仁和寺霊宝館の名宝展での出品国宝では御室相承記も展示してあった。 仁和寺に住持された寛平法皇以来の歴代の門跡の記録で、鎌倉初期に出来上がったものだ。経典のような整然とした文字が書かれているのではなく、あくまでも歴史を残すために書かれたものな…
仁和寺の霊宝館と言えば仁和寺初代の阿弥陀如来坐像を見ずして帰れない。2代目が金堂に祀られてからご隠居となり、こちらに移った阿弥陀如来像。毎日の御勤めを眼前で見続けるには文化財的に耐えられないこともあり移られたが、輝きはまだまだ健在。 霊宝館…
仁和寺は霊宝館で夏の特別展を開催している。「法親王が誓った 国宝孔雀明王」と題した展示会は国宝の孔雀明王図が出ていると期待していた。しかし、薬師如来坐像がお出ましになっている期間には展示がなく、残念であった。しかし、今回の展示は国宝以外の孔…
疫病退散は国家課題で、解決するための原因が分からなかった昔の人は、仏に祈ることしかできなかった。国家鎮守の寺として多くの寺院が建てられているが、仁和寺もその一つである。 タイミングがよかったのか分からないが、2020年の春・夏・秋と、仁和寺…
2014年に東博で行われた国宝展で、目玉展示のひとつであった渡海文殊群像の善財童子立像・仏陀波利立像は安倍文殊院に鎮座している。といっても本当は文殊菩薩の御付きなので、東征の下見に行ったということだろう。 釈迦三尊像では普賢菩薩とともに釈迦如来…
高松塚古墳の発見が昭和の古代史ブームの火付け役となった。1970年に村民により偶然発見された切り石はやがて世紀の大発見へとつながった。 1972年から本格的な発掘が開始され、翌年の1973年には特別史跡、されには1974年4月17日に国宝の指定を受ける。この…
奈良県明日香村は戦後にようやくパンドラの箱が開いた古代ロマン薫る村である。 戦前までは聖徳太子以後の文明が日本史として語られ、それ以前のもの、特に古墳に関する研究は現人神たちの領域のためできなかった。森鴎外も帝諡考を残すぐらい研究はしていた…
久隅守景の作品で一番最初に知ったのが納涼図屏風であった。そのため、ゆるキャラの画家なのに国宝に指定される稀有な人というイメージがあった。 ところが調べると久隅は狩野探幽の高弟で、狩野派の流れを汲む画家であった。そのまま行けば宮廷画家で大成功…
昨年リニューアル工事を終えて再開した神戸市立博物館。2020年はコートードル美術館やボストン美術館など、超メジャー美術館の特別展が開催される予定だった。しかし、コロナ禍のため中止となった。大型特別展が中止となったことで、神戸市立美術館はコレク…
4大絵巻物のひとつとされる、出光美術館が所有する伴大納言絵巻。(他は源氏物語絵巻、鳥獣人物戯画、信貴山縁起絵巻)なかなかお目にかかれず出品されない貴重な絵巻物である。 ほかの3つは定期的な特別展や貸し出しなどで数年待てばどこかで出品される。し…
ぶらぶら美術・博物館の日本画10選で、時系列的に最初に紹介されたのが東博所蔵の普賢菩薩像である。 平安時代の作品にも関わらず、彩色がほとんど剥げ落ちずに残っており、大切に保管されてきたことが窺える。顔立ちは奈良時代に多く描かれたふくよかさは…
駅から石山寺までの道中、新緑の季節も終盤となり琵琶湖を眺めながら綺麗に咲いたあじさいを愛でながら門前まで楽しく歩いた。梅雨の中休み、石山寺では特別な御開帳があった。 33年に1度、もしくは天皇即位の翌年に、天皇からの勅使が扉を開封した時のみ…
火曜日20時、BS日テレで放送中のぶらぶら美術・博物館で4週にわたりコロナ対応の著名美術評論家が選ぶ10選を放送。第3段は「死ぬまでに見たい日本絵画10選!山下裕二×仏画の最高峰から琳派、若冲、隠し玉まで」と題して、日本画をピックアップ。この…