国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

短刀 無銘貞宗 名物寺沢貞宗 文化庁

ふくやま美術館の展示会では林原美術館の名物九鬼正宗と文化庁の名物寺沢貞宗の2口の国宝が貸し出されていた。中央に展示してあった江雪左文字の脇を固める位置にあった。 作者の貞宗は正宗の実子とも養子ともいわれる人物で、親子共演となる展示配置となる…

短刀 無銘正宗 名物九鬼正宗 林原美術館

ふくやま美術館の展示会には9口の国宝刀が出品されていた。借り受けている刀などは撮影NG。林原美術館所蔵の名物九鬼正宗も撮影できなかった。 もともとは小早川隆景の所有だった正宗を九鬼守隆の弟に舞の褒美として授けた。しかし、九鬼の弟は関ヶ原の戦い…

太刀 銘筑州住左 江雪左文字 ふくやま美術館

昨年秋口から続く自館所蔵の国宝刀剣一気に見せます企画。東博、永青文庫と続いて、ふくやま美術館の「名刀 江雪左文字 ―江雪斎、家康、頼宣が愛した刀の物語―」に会期終了前に行くことが出来た。これで、19口(東博)+4口(永青文庫)+9口(ふくやま美…

【親鸞と高田本山】三帖和讃 親鸞筆 専修寺

三重にある専修寺は多くの国宝を抱える。2017年に御影堂と如来堂が国宝指定を受けた。内装は金箔で華やかに装飾された絢爛豪華な仕様。建立は御影堂が1666年、如来堂が1748年と来歴もはっきりしていることから評価された。建物は現地へ行かない…

【親鸞と高田本山】西方指南抄 親鸞筆 専修寺

JR紀勢本線の亀山駅から二つ目の駅、一身田駅から歩いてすぐにあるのが、真宗高田派総本山の専修寺がある。浄土真宗は親鸞の子孫の世襲をもって門主(門首)としているのに対して、高田派は親鸞の教えのみに帰依する。 その核となるの寺宝の一つが西方指南抄…

【親鸞】親鸞聖人影像 鏡御影 西本願寺 

祖師図の多くは亡くなった後に描かれることが多く、伝聞推定から描かれる。親鸞聖人の肖像画は生前、似絵の名手である藤原信実の子、専阿弥陀仏が描いたとされる。当時同時代に生きていた人たちがまるで親鸞を写した鏡のようだと言うことで、鏡御影と称され…

【親鸞】観無量寿経註 親鸞筆 西本願寺

親鸞の若き日の直筆。浄土三部経の一つ観無量寿経を書写して、朱筆で注釈を加えている。45歳前後の執筆物とされる。作家の井上靖はこれを親鸞聖人誕生800年の記念展で見て感動したそうだ。 浄土三部経は大無量寿経と阿弥陀経、観無量寿経があり、どれも親…

【親鸞】教行信証 坂東本 親鸞筆 本願寺

2023年は親鸞聖人が 誕生して850年の年となる。親鸞は日本最多級の信徒を抱える浄土真宗の開祖で、当時としては、いや今の時代でも長寿とされる90歳まで生きた。その生涯と教えを紹介する展示会・親鸞 生涯と名宝が京都国立博物館で3月25日から5月21…

普勧坐禅儀 道元筆 永平寺

冬の福井市へ行くことになった。今年は大雪が何度もあったようだが、そこは雪国、融雪装置が十二分に機能しており、市内の交通網はスムーズに動いていた。 福井市内の国宝を観るべく、永平寺へ行った。こちらでも残雪は大量に残っているものの、道路状態は水…

短刀 銘則重  永青文庫

永青文庫は早稲田方面から行くと一山登る必要がある。美術館となっている洋館が眺めを重視した小高い丘の立地となっている。この丘の麓に細川家の庭園が残っている。隣の椿山荘の庭園が素晴らしすぎるが、細川庭園も泉水式庭園の基本に沿った造りで和む空間…

短刀 無銘正宗 (名物庖丁正宗) 永青文庫

コロナも落ち着いてきたが、今回の展示会は完全予約制だった。念には念を入れた対応と思っていたが、別の次元で予約制だったことが入ってみて思い知らされた。それは刀剣女子たちの過熱した人気に対応するためだった。3年間のコロナ禍で予約制にすっかり慣…

太刀 銘豊後国行平作 永青文庫

江戸川橋駅から永青文庫まで歩いて行くと、講談社や鳩山会館といった文京区の名建築と出会える。急な坂を登り、永青文庫の案内看板を目印に路地に入ると和敬塾が名に入る。和敬塾は男子大学生寮で前川製作所の創立者でもある前川喜作が人材育成のために設立…

刀 金象嵌銘光忠 光徳 永青文庫

永青文庫は肥後・熊本藩主であった細川家の至宝を保管・公開するために作られた美術館である。明治の廃藩置県で大名は華族へ鞍替えし、戦後の身分制度廃止に伴って一般人となった。そのため、先祖伝来の家宝の保存が膨大な相続税の課税により持ち続けること…

一切経箱 大長寿院

金峯山寺仁王門の金剛力士立像がなら仏像館に安置されて2年になる。時が経つは早い。何度となく訪れているが、観るたびに力をもらっている。仁王門の修理完了(令和10年予定)まで観ることができるそうだが、これからもパワーをもらいに訪れたい。 さて、…

火焔宝珠形舎利容器・五瓶形外容器 西大寺

国宝に指定されているものの多くが観た瞬間に美しいと思えるものが多い。それは美術的な細工の最高峰として美が見て取れるからである。西大寺の火焔宝珠形舎利容器は素材としての美しさに驚嘆した。 舎利容器は釈迦の遺骨を納めるものとして、それそのものが…

両界曼荼羅 子嶋寺

冬の奈良大和路キャンペーンで1月に続き、2月もならまちの普段は入れない寺院を公開していた。京都に比べて宣伝が下手な奈良だけあって、それ程多くの人は来ていなかった。十輪院に近い興善寺と金躰寺の涅槃図公開に合わせて行ったが、見ると作画がほぼ一…

北海道白滝遺跡群出土品 遠軽町埋蔵文化財センター

令和5年新指定 国宝・重要文化財の企画展が平成館で開催されている。実に4年ぶりだそうで、これまでは本館での開催だったものが、平成館での開催となっていた。ついこの前まで東博150年記念展示会を2階で行っていたが、訪れた時は閉まっていて、祭の後の…

智証大師関係文書典籍(目録) 園城寺

昨年11月に答申があった国宝・重要文化財(美術工芸品)の指定等の対象物を展示する企画展が東博で開催された。コロナ前までは4月下旬からゴールデンウィークにかけて開催だったが、コロナで答申の時期が変わった関係からか真冬の開催となっている。 さて…

世説新書巻 第六残巻 文化庁

台東区立書道博物館は東博からも近い鶯谷駅が最寄りである。線路沿いにはラブホテルが並び、文化的な施設に訪れる目的で歩いていても後ろめたい気持ちになる。 書道博物館と東京国立博物館はご近所ということもあり、同一の企画内容で連携して展示会開催して…

福岡県宗像大社沖津宮祭祀遺跡出土品・伝福岡県宗像大社沖津宮祭祀遺跡出土品

宗像大社は福岡県宗像市にある神社。御神体は沖ノ島で、島では現在でも女人禁制、禊や一木一草一石たりとも持ち出し禁止となっている。 古くから海上・交通安全の神として信仰されている。そのため、島では連綿と祭祀が行われてきたが、立ち入りが制限されて…

宮地嶽古墳出土品 宮地嶽神社

福岡県福津市にある宮地嶽神社。大陸と九州をつなぐ玄関口に位置し、参道は玄海灘まで真っすぐ伸びている。その神社には奥之院八社があり、三番社・不動神社がある場所に宮地嶽古墳はある。江戸時代末期に発見された。石室が全長は23mあり、全国で2番目に長…

奈良県藤ノ木古墳出土品 文化庁

奈良県藤ノ木古墳出土品は文化庁所蔵で奈良県立橿原考古学研究所附属博物館が保管する文化財である。この古墳は斑鳩町にあり、法隆寺から350メートルほどしか離れていない場所にある。法隆寺はもともと聖徳太子が住んでいたとされる場所なので、人々の往…

群馬県綿貫観音山古墳出土品 文化庁

令和の国宝である群馬県綿貫観音山古墳出土品は文化庁が所蔵しているが、保管は群馬県立歴史博物館となっている。綿貫観音山古墳は6世紀の後半に築造されたと推定される古墳である。被葬者は分かっておらず、そのためもあってか未盗掘の古墳から大量の副葬品…

奈良県東大寺山古墳出土品 東京国立博物館

奈良県東大寺山は天理市にある。東大寺とあると奈良市内を想像するがそうではない。自然地形を利用した北向の前方後円墳で、 「中平」銘金象嵌花形飾環頭大刀は紀年銘をもつ日本最古の遺物が見つかった。中平とは後漢の霊帝の年号で、184~189年である。そし…

武蔵埼玉稲荷山古墳出土品 埼玉県立さきたま史跡の博物館

埼玉の由来となった場所にある古墳、埼玉(さきたま)稲荷山で発掘された出土品は日本の歴史を記す古事記や日本書紀の記述を裏付ける発見となった。 出土品した金錯銘鉄剣は、115字からなる銘文が刻まれていた。その内容がヤマト政権との関係性が分かるも…

肥後江田船山古墳出土品 東京国立博物館

先週は古墳時代の遺跡で大発見が相次いだ。熊本城跡から出土の鉄刀は甲子年の銘文が刻まれていて、聖徳太子時代に地方に配られた可能性が高まった。そして、日本最大の円墳である奈良県の富雄丸山古墳では前例ない盾形銅鏡出土した。ニュースでは国宝級とも…

油滴天目茶碗 大阪市立東洋陶磁美術館

2025年に大阪で開催される万博を前に、 大阪市立東洋陶磁美術館はリニューアル工事を行っている。再開は24年春を予定していることから、同館所蔵の名品たちが各地へ巡回している。 この巡回で最も気合の入っている展示会となりそうなのが泉屋博古館東京で3…

北海道白滝遺跡群出土品 遠軽町埋蔵文化財センター

東博で行われる今年度分の新指定国宝・重要文化財展が1月31日〜2月19日で開催されることとなった。コロナ前までは、前年度分の新指定国宝・重要文化財を4月中旬からゴールデンウィーク最終盤までの期間で開催していた。しかし、気候の良い春先だと人…

太刀 銘筑州住左 江雪左文字 ふくやま美術館

自館所蔵刀を一気に見せます展。東の永青文庫に遅れて、2月4日からはふくやま美術館所蔵の7口+他館から2口借りての計9口見せます特別展が開催される。 2019年年末から20年の年始かけて1度、小松安弘コレクションが寄贈されたことを祝して7口す…

太刀 銘豊後国行平作 (古今伝授の太刀) 永青文庫

東博150周年展で人気企画だった自館所蔵国宝刀の一挙公開。年が明けて東西の有力国宝刀保有館が一挙公開展示を開催している。 一つは永青文庫。言わずと知れた肥後藩主の細川家の至宝を保存・公開している美術館。細川家が室町時代から続く名家で自館所有物…

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。