国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

【超国宝】七支刀 石上神宮

2020年2月に東博で開催していた日本書紀成立1300年を記念した出雲と大和展で七支刀を見た。その頃は、横浜港に入港したダイヤモンド・プリンセス号内でコロナ感染が広がったと連日ニュースで伝えてられていた。ニュース自体が少し別世界の出来事で他人…

【超国宝】金亀舎利塔 唐招提寺

超国宝展では奈良県内にある祈りに関する国宝も展示される。日本仏教の祈りを確立するため、海を渡ってきた鑑真和上の遺志を継いだ唐招提寺からももちろん出品がある。 金亀舎利塔は金色の(スッポンに近い)亀の甲羅の上に舎利塔を納める円柱の籠のようなも…

【超国宝】金光明最勝王経(国分寺経) 奈良博

国宝の経典を見ると統一された美しい字をよく書けるものだとつくづく感心する。現代アート化した書道も味があってよいのだが、基本に忠実に書くことがいかに難しいかは小学生の時の書道の授業で体験しているのよく分かる。 国分寺経は国家プロジェクトとして…

【超国宝】刺繡釈迦如来説法図 奈良博

来年春に開催される奈良博の超国宝では奈良博所蔵の国宝ももちろん登場する。 刺繡釈迦如来説法図は刺繍で作られた仏画である。白鳳時代に作られたもので、国産か請来品は説が分かれるが、非常に手の込んでいることは間違いない。 レア ★☆☆観たい ★☆☆ https:…

法然上人絵伝 知恩院

2024年夏の京博企画展はテーマが乱立しており、少ない展示品数となっているが見どころが多い展示となっていた。 まず、エレベーターで3階へ行くと陶器と考古類の展示。普段の企画展でのカテゴリー分けであるものの、陶器は保管するための箱や袋を展示し…

【超国宝】辟邪絵 奈良国立博物館

奈良国立博物館が開館して130年の記念展となる超国宝展。もちろん、奈良博が所蔵する国宝たちも登場する。 仏教美術には極楽浄土の天国を表したものがある一方で、阿鼻叫喚の地獄を表現したものが存在する。恵心僧都源信が書いた往生要集で生前の行いが死後…

【超国宝】信貴山縁起絵巻 朝護孫子寺

信仰者を獲得するためのツールとして絵解きを使うことがある。江戸時代以前は識字率が高くなく、絵は見るだけでおおよその内容が分かるので民衆に伝えるには最適のツールである。観ただけで内容が理解できるとあって、絵因果経は釈迦の一生を描き、聖徳太子…

【超国宝】吉祥天像  薬師寺

来年、奈良博で開催される超国宝展は祈りのかがやきの副題がつく。国宝の東塔などを有する薬師寺では正月の三が日のみ公開して、祈りを捧げられる寺宝がある。 吉祥天像は今から1200年前の奈良時代に制作されたと見られる麻布著色の画像である。年の初めに開…

【超国宝】大日如来坐像 運慶作 圓成寺

来年奈良博で開催される超国宝の副題は祈りのかがやき。まさに祈りをささげるため輝く仏像が圓成寺所蔵の大日如来坐像である。 平安時代に広まった浄土信仰。その本尊の仏像たちは金箔で光り輝く仕上がりとなっている。鎌倉時代になると肉体美やリアリティを…

【超国宝】菩薩半跏像 宝菩提院願徳寺

お寺では常に公開しているが寺外にはなかなか出品されない文化財は多くある。宝菩提院願徳寺は京都の中心部からは離れたお寺で、交通の便がよいとは言えない場所にある。だが、遠方からもぽつぽつと訪れる人がいる。 そのお目当ては菩薩半跏像。仏像の男前ラ…

【超国宝】観音菩薩立像(百済観音) 法隆寺

2025年4月19日(土)~6月15日(日)、奈良国立博物館で開催される超国宝展のキービジュアルの左側には法隆寺の観音菩薩立像(百済観音)が配置されている。 奈良の国宝の中でも法隆寺の寺宝は歴史の古いものは多い。その中で観音菩薩立像(通称:百済観音)…

【超国宝】菩薩半跏像(伝如意輪観音) 中宮寺

国宝展が帰ってくる。 2025年春展のプレス発表が東京であったようだ。珍しく京博と奈良博が共同で行ったもの(チラシも裏表を使って共同で作成)で、国宝と銘打った展示会が奈良博で開催されるとのことだった。 奈良博は来年に開館130年を迎えるが、国宝を集…

源氏物語絵巻 東屋二 徳川美術館

ハルカス美術館で開催していた徳川美術館展尾張徳川家の至宝の終わりの時期に訪問した。チケット売り場はあまり混んでいなかったが、中に入ると人の多さにびっくりした。特に最初の方に展示していた刀剣類はじっくりと見る人が多かったため、そこがボトルネ…

紫式部日記絵詞 藤田美術館

NHK歴史大河ドラマの光の君へを毎週、楽しく見ている。個人的には戦国時代や幕末など、戦でドンパチするものを好みとしているが、国宝に触れ始めて見かたを変えることができた。セットや美術品などNHKがこだわって作った品々に注目することで平安時代の歴史…

曜変天目茶碗 藤田美術館

藤田美術館の至宝である曜変天目茶碗が公開されているので、久しぶりに見に行った。藤田財閥が所有していた敷地に建つ藤田美術館だが、同じく所有したていた敷地に建っていた隣の太閤園の建物は解体されていた。関西の名門ホテルだったが、コロナ禍で売却さ…

東寺百合文書 京都府立京都学・歴彩館

なかなか地味な展示会だった。京都文化博物館で行われていた「松尾大社展 みやこの西の守護神」は松尾大社の寺宝を大々的に公開した初めての展示会だが、派手さがほぼない内容だった。 そもそも、お寺に比べると神社のお宝は実用的なものが多い。春日大社の…

絹本著色五大力菩薩像 有志八幡講

高野山の有志八幡講所蔵の絹本著色五大力菩薩像は超巨大な五大力菩薩像である。火事で2幅が焼けてしまったが、残り3幅のうち前期が金剛吼、後期で竜王吼と無畏十力吼を展示していた。 大きいため、飾る場所を選ぶ。前期はガラスのない壁掛けで迫力ある展示…

両界曼荼羅 (高雄曼荼羅) 金剛界 神護寺

展示品で唯一、撮影がOKだった文殊菩薩坐像。西安碑林博物館から借りたもので、一級文物(日本だと国宝相当)に指定されている。少し壊れているのが残念だが、日本の仏像とはお顔立ちが違うのが興味深い。日本の方が彫が深く、憧れを具現化したような顔にな…

真言七祖像 恵果 教王護国寺

展示会で人が混雑する法則として、 ・(ボトルネックとなりやすい)入り口近く ・キービジュアルになっている目玉展示品 ・誰もが知る有名で見栄えのする展示品 ・音声ガイドの展示品 ・小さな展示品 (・導線が悪い) などがある。 国宝かどうかは二の次で…

絹本著色五大尊像 5幅 醍醐寺

「空海 KUKAI - 密教のルーツとマンダラ世界」展の第一室は後期で展示が変わっていた。前期は入り口から見て右側のショーケースが西大寺の十二天像12幅そろい踏みだったが、後期は左側のショーケースが神護寺の真言八祖像(重文)がそろい踏みで展示して…

絹本著色十二天像 5幅 京都国立博物館

奈良博で開催していた「空海 KUKAI - 密教のルーツとマンダラ世界」の後期に行った。前期で訪れた際は展示室内は混雑していたが、入り口は閑散としていた。後期の訪問では長蛇の列ができていた。なんでもチケット購入の列で、正倉院展かと思う人気ぶりであ…

浮線綾螺鈿蒔絵手箱 サントリー美術館

北条政子が愛用したと言われるサントリー美術館の至宝、浮線綾螺鈿蒔絵手箱がコレクション展で公開されていた。この企画のタイトルは「名品ときたま迷品」で普段の企画展だと展示しにくい品でも陳列できる、おもしろい試みとなっている。 とはいえ、サントリ…

太刀 名物童子切安綱 東博

東博は国宝刀を19口所蔵している。その中でも天下五剣に分類される銘 三条(名物三日月宗近)と銘 安綱(名物童子切安綱)は別格の名刀とされる。この別格の刀のうち、名物童子切安綱が展示されていた。湾曲の少ないすらっと長い姿の刀で太刀の基本なる形状…

興福寺鎮壇具 東博

興福寺の五重塔の修繕工事準備が着々と始まっている。塔の隣にある国宝の東金堂まで囲われており、東金堂内に安置していた仏像の傑作たちはいずこへと思う。 東博ではこの建物たちが建てられた際に、安全を祈って埋められた鎮壇具を展示していた。五重塔は修…

医心方 丹波康頼撰 

医心方は日本最古の医学書で、丹波康頼が隋・唐の医書より引用、撰述したもの。984年に円融天皇へ奏進した。16世紀に入り、正親町天皇が典薬頭・半井光成(瑞策)へ写本を与え、大切に受け継ぎ、ほぼ完品で残る最古のものとして国宝となった。この半井瑞策…

円珍関係文書のうち 台州温州公験

昨年5月にユネスコが智証大師円珍の関係文書を世界の記憶に登録することを決めた。智証大師円珍関係文書典籍は園城寺と東博が所蔵しており、園城寺分は2023年7月に大津市歴史博物館で一挙公開された。東博分も見ておきたいと思っていたところ、2024年新国宝…

賢愚経残巻(大聖武) 伝聖武天皇筆

東博の本館2室は1点豪華主義の厳選された作品を1つだけ展示している。国宝を中心としたラインナップなので、国宝好きは必ず寄りたい場所である。 訪問した時は、日本の書跡の最高峰とされる聖武天皇が書いたとされる賢愚経の残巻を展示していた。大きくて…

海賦蒔絵袈裟箱 教王護国寺

東博本館の彫刻の部屋で大報恩寺の新国宝を見た隣の部屋にも国宝を展示していた。蒔絵細工の部屋には毎回、絢爛豪華という言葉がふさわしい品々が並ぶ。その中心に展示していたのが海賦蒔絵袈裟箱であった。教王護国寺(東寺)の宝物館ではあまり見ない国宝…

金峯山経塚出土紺紙金字経 金峯神社・金峯山寺

文化財で制作過程では同じだったが泣き別れになり、文化財の指定がちぐはぐになることがたまにある。大和文華館所蔵の雪中帰牧図は南宋の宮廷画家・李迪が描いた騎牛と牽牛が2幅が対になっているいるにも関わらず、国宝指定は騎牛図で牽牛図は附となってい…

三重県宝塚一号墳出土埴輪 松阪市

国宝となった三重県宝塚一号墳出土埴輪を見たのは東博であるが、ゴールデンウィーク中に松阪市を訪れた時の写真である。町中上げての国宝指定をお祝いしているとまではいかず、駅前のみに幕が貼っていた。夏ごろに国宝指定を受けた埴輪たちの大公開があるよ…

国宝拝観者たちの夢、千件越えをいつの間にか達成した。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標が完結した。 次の1100件は果てしなく遠いので、1050件を一区切りにしよう。