国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

高松塚古墳

高松塚古墳の発見が昭和の古代史ブームの火付け役となった。1970年に村民により偶然発見された切り石はやがて世紀の大発見へとつながった。

1972年から本格的な発掘が開始され、翌年の1973年には特別史跡、されには1974年4月17日に国宝の指定を受ける。このスピード感ある対応が後々の保存作業に大きく影響した。(この反省からかキトラ古墳は発見から国宝指定まで33年経ってからとなった)

国宝に指定されたことで、現状保存が絶対となったことから、発見現場での保存をする羽目となった。世界的にも例がなく、作業は多くの困難を伴った。石室内の温度・湿度を保つことで、現状を維持しようとするものの、雨漏りをはじめカビや虫などが発生して壁画の退色や変色が起こり、現地での現状保存の限界となり、石室を解体して移動させることとなった。そして、現在の飛鳥歴史公園にある修理施設へ移動させて、定期的な公開されるようになった。

施設では解体したすべての石が観ることができる。ただ、あくまでも修理施設のため、手前にあるものは肉眼でも見えるが奥にあるものは絵の部分はほとんど見えない。そのため、簡易な双眼鏡を借りることができる。施設公開に合わせたかは分からないが、比較的に絵が残っている飛鳥美人や玄武などを見やすい手前の位置に置いていた。

飛鳥美人正倉院の鳥毛立女屏風のような大陸風の美人が複数人並ぶ。身にまとっているカラフルな衣装は残っており、1300年前のファッションモードが分かる。ほかにも玄武は頭部分が潰れていたがとぐろを巻いている鱗の部分が繊細に描かれており、空想の生き物に命を吹き込むべく丁寧な仕上がりとなっていた。

施設が修理を前提としたものであるため、見学スペースはそれほど広くはない。参加した組では7名だった。見学時間は10分。石を運び出して修理するための施設なので、この後に新たな施設を建設するためのアンケートも取っていた。国宝にふさわしい壁画であるのは間違いない。一目見ただけで古代ロマンに思いを馳せられる貴重な文化財である。

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高松塚古墳

 

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。