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【西国三十三所】千手千眼陀羅尼経残巻(玄昉願経)

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聖地を訪ねて西国三十三所の前期目玉展示は京博所有の千手千眼陀羅尼経残巻だろう。

741年の盂蘭盆会に玄昉が1000巻写経させたもので、巻首のない109行のみが残っていた。東大寺要録に記載があったが、長い間現物の存在が確認できたかった貴重なもので国宝となった。

発願した玄昉は学問僧として入唐(留学)した経験があり、玄宗皇帝から紫衣が許されるくらい才能ある僧であった。帰国に際して沢山の経典や仏像を持ち帰り、僧正の位を授かる。しかし、位が上がったことで、時の政変に巻き込まれることとなり、筑紫の観世音寺(国宝の梵鐘があり、九博で展示中)へ左遷され、そこで息を引き取った。写経僧が書いているだけあって、画一的な均整の取れた字で書かれている。東大寺に残る歴史資料を証明する貴重な経典である。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。