金工
ふくやま美術館の展示会では林原美術館の名物九鬼正宗と文化庁の名物寺沢貞宗の2口の国宝が貸し出されていた。中央に展示してあった江雪左文字の脇を固める位置にあった。 作者の貞宗は正宗の実子とも養子ともいわれる人物で、親子共演となる展示配置となる…
ふくやま美術館の展示会には9口の国宝刀が出品されていた。借り受けている刀などは撮影NG。林原美術館所蔵の名物九鬼正宗も撮影できなかった。 もともとは小早川隆景の所有だった正宗を九鬼守隆の弟に舞の褒美として授けた。しかし、九鬼の弟は関ヶ原の戦い…
昨年秋口から続く自館所蔵の国宝刀剣一気に見せます企画。東博、永青文庫と続いて、ふくやま美術館の「名刀 江雪左文字 ―江雪斎、家康、頼宣が愛した刀の物語―」に会期終了前に行くことが出来た。これで、19口(東博)+4口(永青文庫)+9口(ふくやま美…
永青文庫は早稲田方面から行くと一山登る必要がある。美術館となっている洋館が眺めを重視した小高い丘の立地となっている。この丘の麓に細川家の庭園が残っている。隣の椿山荘の庭園が素晴らしすぎるが、細川庭園も泉水式庭園の基本に沿った造りで和む空間…
コロナも落ち着いてきたが、今回の展示会は完全予約制だった。念には念を入れた対応と思っていたが、別の次元で予約制だったことが入ってみて思い知らされた。それは刀剣女子たちの過熱した人気に対応するためだった。3年間のコロナ禍で予約制にすっかり慣…
江戸川橋駅から永青文庫まで歩いて行くと、講談社や鳩山会館といった文京区の名建築と出会える。急な坂を登り、永青文庫の案内看板を目印に路地に入ると和敬塾が名に入る。和敬塾は男子大学生寮で前川製作所の創立者でもある前川喜作が人材育成のために設立…
永青文庫は肥後・熊本藩主であった細川家の至宝を保管・公開するために作られた美術館である。明治の廃藩置県で大名は華族へ鞍替えし、戦後の身分制度廃止に伴って一般人となった。そのため、先祖伝来の家宝の保存が膨大な相続税の課税により持ち続けること…
国宝に指定されているものの多くが観た瞬間に美しいと思えるものが多い。それは美術的な細工の最高峰として美が見て取れるからである。西大寺の火焔宝珠形舎利容器は素材としての美しさに驚嘆した。 舎利容器は釈迦の遺骨を納めるものとして、それそのものが…
自館所蔵刀を一気に見せます展。東の永青文庫に遅れて、2月4日からはふくやま美術館所蔵の7口+他館から2口借りての計9口見せます特別展が開催される。 2019年年末から20年の年始かけて1度、小松安弘コレクションが寄贈されたことを祝して7口す…
東博150周年展で人気企画だった自館所蔵国宝刀の一挙公開。年が明けて東西の有力国宝刀保有館が一挙公開展示を開催している。 一つは永青文庫。言わずと知れた肥後藩主の細川家の至宝を保存・公開している美術館。細川家が室町時代から続く名家で自館所有物…
綴プロジェクトで複製した四季山水図屏風 昨年はMOA美術館と三井記念美術館に巡回した大蒔絵展。今年は徳川美術館で4月15日から開催される。ツイッターにはすでに国宝の展示物の一部がアナウンスされている。金地螺鈿毛抜形太刀(春日大社)、籬菊螺鈿蒔…
新春の四天王寺宝物館ではここ最近、懸守の公開が恒例となっている。とくにX線解析を行ってからは、中に小さな仏が入っていることが分かり、それを再現したものと同時に公開している。再現された仏様は3Dプリンタで作っているので、高精度の出来ばえとなっ…
最近の文化財の修繕時に新しい試みが進んでいる。古い文化財は修繕はもちろん必要となってくるのだが、その時に最新の機器を用いて調査して最適の修繕をするとともに、再現いわゆるコピー品を作ることが増えた。コピー品は、現在の劣化状態も踏まえた写しと…
若宮国宝展は春日大社にある若宮の20年に1度行われる式年造替に合わせて奈良国立博物館で企画された。若宮は春日大宮と同じ御子神様を祀るため、大社内でも最も位が高い宮に位置づけられる。 とは言え、もともと春日大社は駅から遠く、たどり着くまでに興…
2022年、静嘉堂文庫や藤田美術館などが国宝を展示する施設をリニューアルした。とても見やすく、おしゃれな施設となって再開している。そして、今年にリニューアルされて気になっていた国宝を展示する施設を見に行くことにした。 敦賀湾沿いにある常宮神社は…
Ⅰ期で撮影した見返り美人(手振れしてます) 「国宝 東京国立博物館のすべて」はアンコールに応える形で1週間の延長を経て、無事に終了した。おそらくは、今年の展示会では最多級の入場者を記録しているだろう。 さて、振り返りではないが、刀剣の間につ…
町田久成が書いた「博物局」 第1会場の鑑賞を終えて、ミュージアムショップブレイク。特別展ではオリジナルグッツが大量に販売されるので、買い物客でごった返すことが多い。その対策として一人1回の購入のみに限定にすることで混雑回避していた。しかし、…
法隆寺献納宝物、考古、漆工のコーナーは中心に漆器、周りを囲むように法隆寺献納宝物と考古の国宝たちが並ぶ。ただ、漆器を展示する空間を演出するためか、大きな柱や幕などで仕切りがあり、全体的に見学できるスペースが狭くなっており、混雑していた。 法…
JR東海道線の名古屋駅や金山駅周辺はビルが立ち並び都会に来たと感じるが、次の熱田駅に降りると下町感が漂う。熱田神宮の参拝客用に出来た駅だが、参道商店街には昭和が色濃く残っている。一方で、名鉄の神宮前駅の駅ビルは取り壊し中。綺麗な施設が出来上…
徳川美術館の「名物―由緒正しき宝物―」には刀剣女子と思われる人々が多く来場していた。男女比では1:9ぐらいの割合で、改めて根強い人気を確認できた。 名物に展示されている国宝は刀剣ばかり。その中でも個人的に好きな刀である庖丁正宗が出品されていた。…
尾張徳川家の名品を中核にしてできた徳川美術館。すべてが名品の数々だが、その中でも個々に二つ名がついている「名物」を集めた展示会となっている。 名物は歴史に裏打ちされた名や、持主に由来する名、姿から取った名などがある。名物・津田遠江長光は長船…
徳川美術館では名物と題して、展示会を開催している。国宝刀が数点出ていたので、見に行くことにした。 まず、名品コレクションの展示室では国宝の正恒を展示。古備前を代表する名工で、鎌倉初期の作品。暴れん坊将軍でお馴染み8代吉宗が将軍職を退いた際、…
泉屋博古館東京は最寄り駅の地下鉄・六本木一丁目駅からはエスカレーターを乗り継ぐこと数分。高台にたどりつき少し歩くと館が見える。周りが住友グループが建てた高層ビル群に囲まれているため影が多く少し涼しい。ビル群が完成する前は都内を一望できる場…
鎌倉殿の十三人も大詰めを迎えてきた。北条氏の一強となり、新しい世の中となる過渡期。鎌倉武士の内紛から都人たちの対峙に移行し始めており目が離せない。 結果として時代は武士政権へと移行し、甲冑にもデザインが求められるようになった。派手で目立つも…
国宝に指定された刀の中で、刀身が湾曲しているいわゆる日本刀は数多くある。これは戦後のGHQが価値を全く無視して日本刀=武器として接収したことに対する反動である。古来から現在に至るまで刀は武器であるが、その中には奉納品や来歴を受け継いだ先祖代々…
奈良博では貞享本當麻曼荼羅修理完成記念として、中将姫と當麻曼荼羅展を開催している。貞享本當麻曼荼羅は国宝の綴織當麻曼荼羅が朽ちてきたことから、江戸時代初めに新調された曼荼羅である。2018年に国宝の綴織當麻曼荼羅図が修理を終えて公開された…
大安寺展で三宝絵詞と入り口を挟んで反対側に長谷寺の法華説相図が展示されていた。ちょうど長谷寺に行ったところで、奈良博へ寄託されている寺宝がお出まししていた。 法華説相図は銅板に千体の仏像を鋳出・押出などの金工技法によって浮き彫りで表現し、下…
黒川古文化研究所の展示室はそれほど広くはなく、名品展では余り展示数は多くない。その中で、鈴木其一や渡辺崋山の江戸時代中期の日本画の名品や、伏見天皇宸翰御願文は重要文化財に指定される名品である。 その中で一番の名品は短刀の銘来国俊である。来国…
国宝の刀を二振所有している黒川古文化研究所で名品展を開催、その展示会で2振とも展示されているというので、現地に見に行った。 黒川古文化研究所は兵庫県西宮市苦楽園にあり、東洋美術を中心に収集している。春と秋の1か月間程度の開館で、常時開いてい…
當麻寺は4月14日にお練り供養が行われる。天気予報では午後から雨予想だったので、午前中に訪れた。 近鉄当麻寺駅から歩いて十数分。當麻寺までは一本道のため迷うことなく東大門正面へ着く。寺の伽藍は一段高い地にあるため、東大門前についてもほとんど…