国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

金工

太刀 銘正恒 文化庁

京都のイメージは平安時代の雅な雰囲気で、京博の展示でも煌びやかなものの展示がよくある。今回も円山応挙の企画展示があり、目の保養になった。東博で開催されたやまと絵の豪華さをぜひ京博視点で企画してほしい。 さて、国宝は備前・備中・備後の名刀の企…

金銅藤原道長経筒 金峯山経塚出土 金峯神社

京博では新春の企画展の後半戦が始まっていた。毎年恒例となりつつある雛人形の展示は旧家からの寄贈品が並ぶ雅な空間となっている。 3階で開催されている平安時代人の祈り―経塚と経筒―では展示替えが行われ、新たな国宝が展示されていた。金銅藤原道長経筒…

金銅迦陵頻伽文華鬘 中尊寺金色院

模造品です。 文化財の複製プロジェクトが特別展に合わせて公開される機会が目立つようになってきた。キヤノンの綴プロジェクトでは未来へ文化財を継承ため、撮影技術を活かして絵画分野の複製に力を入れている。劣化したものを再現する複製もあり、東大寺ミ…

蔦蒔絵唐櫃 厳島神社

本阿弥光悦の大宇宙と題して展示会だが、光悦という特異点は本阿弥家の下地(鑑定士としての基礎に加えて教養やネットワーク)があって形成できたことが分かる。この特異点で類稀なるプロデュース力を活かして形に変えることが出来たのが天才なのだろう。 天…

短刀 銘備州長船住長重甲戌

本阿彌家は今はどうなっているか。現在まで脈々と続いており共に人間国宝に認定された本阿彌日洲・光洲親子は刀剣研磨の分野の第一人者となっている。なので、美術館や博物館、寺社などで保管されている価値の高い文化財(国宝や重要文化財クラス)の刀剣の…

刀 金象嵌銘 城和泉守所持 正宗磨上本阿 東京国立博物館

本阿弥家は代々刀剣の鑑定・研磨・浄拭を家業としてきた。戦の恩賞として土地を与えるのが最も分かりやすいが限りがあるため、褒美として地位や武具を分け与えることがある(のちにその地位や武具も不足してきたため、茶道具も恩賞となった)。おそらく、褒…

舟橋蒔絵硯箱 本阿弥光悦 東京国立博物館

東博の2024年特別展オープニングを飾ったのが本阿弥光悦の大宇宙展だ。大宇宙の題にかけた斬新なキャッチコピー「始めようか、天才観測。」が話題になっている。キャッチコピーとは対照的に実直な展示内容となっている。 まず、入り口すぐに東博が誇る奇想天…

懸守 松喰鶴文 四天王寺

懸守は平安時代の高貴な身分の女性が懐に忍ばせていたお守り。手のひらサイズの俵型の小物で、中には念持仏が入っている。表装には凝った装飾が施されている。1月17日までは松と鶴がデザインされた松喰鶴文、その後は桜透丸文が展示される。 NHK大河は紫…

金銀鍍宝相華文経箱 延暦寺

2024年の大河ドラマは紫式部を主人公にした平安貴族の物語。国宝を知る前まではなんとなく雅やかな異世界の話と思い込んでいた。しかし、平安時代の延長線上に今がある。それを伝える文化財は山ほどある。知識として歴史の教科書で習った平安時代に造ら…

金銅八角燈籠 東大寺

大仏殿の正面に置かれている八角燈籠は、国宝であるにも関わらずあまり注目されない。高さが約4.6メートルと結構な大きさであり、大仏殿を正面に見ると必ず視線に入るにも関わらずである。それだけ、大仏殿の大きさが特異なのだろう。 八角燈籠の見どころは…

曜変天目 (稲葉天目) 静嘉堂文庫美術館

静嘉堂文庫美術館が静嘉堂@丸の内として明治生命館へ移って1周年を記念した展示会が開かれている。「二つの頂―宋磁と清朝官窯」と題して、中国史上で陶器の名品が数多く作られた2つの時期に(磁器だけに)スポットを当てた内容だった。 第一、第二展示室に…

小桜韋威鎧 兜 大袖付 菅田天神社

御嶽神社で平安末期の武士の名残りを見た後、河内源氏の源新羅三郎義光の時代のものを見に行く。 山梨県甲州市塩山にある菅田天神社の国宝・小桜韋威鎧は見る機会がとにかく不規則で短期間となっている。おまけに天候によっては公開が中止されるため非常にチ…

円文螺鈿鏡鞍 武蔵御嶽神社

武蔵御嶽神社の奥之院まで行くことは時間的に難しかった。そのため遠くから拝もうと山を臨むと紅葉で色づいた山肌(写真)が見えた。急に寒くなったが木々は敏感に反応していた。 さて、宝物殿の続き、2階に国宝の赤糸威鎧 兜・大袖付が中央にあったが、階…

赤糸威鎧 兜・大袖付 武蔵御嶽神社

2023年10月22日(日)9時半から11時にかけて山梨県の菅田天神社で小桜韋威鎧が公開されると知った。その前日、21日に中央線の高尾ー八王子間が夜にグリーン車導入に伴う線路切替工事が行われるとのアナウンスがあった。もしも、工事がうまくいかず山梨ま…

金銅燈籠 興福寺

興福寺国宝館の豪華な彫刻群に埋もれて見逃しがちなのが金銅燈籠だ。 入り口から真っすぐ行き、ドン付きの左側にひっそりと国宝の燈篭がある。ちょうど奥ばった目立たない隠れた位置にある。もともとは南円堂の正面に置かれていたもので、南円堂創建当初の唯…

【ユネスコ25周年】薬師寺 白鳳伽藍と玄奘三蔵院伽藍

ユネスコ登録25周年での薬師寺は白鳳伽藍と玄奘三蔵院伽藍を拝観できる。ただし、玄奘三蔵院伽藍は1月15日まで。 12年の歳月をかけた大修理が完了し、今年4月に落慶法要が行われた東塔。それを祝して東塔・西塔の特別公開が行われている。今回のチケット…

【ユネスコ25周年】興福寺 国宝館

興福寺の記念チケットの拝観場所は国宝館である。 国宝指定を受けている彫刻の1割以上、17件を保有する興福寺で、国宝館には8件が収蔵されている。仏頭、十大弟子立像、八部衆立像、板彫十二神将立像、金剛力士立像、天燈鬼・龍燈鬼立像、千手観音立像、…

【ユネスコ25周年】東大寺 大仏殿

1998年12月2日に「古都奈良の文化財」がユネスコ世界遺産に登録され、今年が25周年の節目となる。それを記念して、この秋に様々な取り組みを行う。 その中で最も興味があるのが六社寺共通拝観券である。六社とは東大寺、興福寺、春日大社、元興寺、薬師寺…

太刀 銘長光 号大般若長光 東京国立博物館

どうする家康の「どうする」は選択肢があって初めて出てくるフレーズ。個人的には武田信玄と相まみえた三方ヶ原の戦いが最大のどうするだったと思う。信玄の病状が悪化し難を逃れたが、当時の家康はどうすることもできなかった。再戦となる長篠の合戦では家…

密教法具 嚴島神社

奈良博で珠玉の仏教美術が開催されていた期間中、広島ではG7サミットが開かれた。各国の首脳は宮島に渡って、厳島神社で記念撮影に応じていた。 奈良博でも厳島神社の密教法具を展示していた。神社でなぜ密教と一瞬思ってしまう。昔は神仏習合が当たり前だっ…

粟原寺伏鉢 談山神社

2023年春の奈良国立博物館での特別展は管内工事の影響で開催がなかった。そのため、西新館での名品展と仏像館のみの営業だった。特別展がないにもかかわらず、館内の来館者数は結構な数で、人気の展示物には少しではあるが人だかりも出来ていた。まあ、…

初音蒔絵 徳川美術館

徳川美術館での大蒔絵展の主役はもちろん初音蒔絵だ。三代将軍・徳川家光が目に入れても痛くない娘・千代姫の輿入れ(結婚)ために贅を尽くした日常品が初音蒔絵である。日本一の嫁入り道具は金ぴかで、それぞれ一点一点が美術品である。ただ、改めてじっく…

宝相華蒔絵経箱 延暦寺

大蒔絵展は昨年春からMOA美術館、三井記念美術館と巡回していた展示会で、最後の徳川美術館での開催にようやく行くことが出来た。 行くことが出来たとはいえ、MOA、三井とは展示品が変わっており、コロナさえ治まっていればすべて見に行きたかった。とは言え…

太刀 銘一

国宝らしからぬ展示会へ行った。オードリー・ヘップバーンの写真展で、会場が佐野美術館だった。オードリーにあまり興味を持っていないが、東洋美術の部屋にて「語りつがれる英雄」と題して国宝で法人蔵の太刀 銘一を展示しているとあったので行って見た。 …

中尊寺経蔵堂内具 大長寿院

東北地域に来たのなら、国宝の宝庫である中尊寺へ行くことは必須。新幹線で一関駅でおり、バスで中尊寺前まで行く。平泉駅が最寄り駅だが、一関駅前から出ているバスが平泉駅を経由するのでJRの本数的に一関の方が便利だ。 バス停からは少し山登り。息が切れ…

金堂天蓋 法隆寺(付属の飛天像)

奈良博のプレミアムカードが2023年度から値上げされると知り、急いで買いに行ったついでに企画展「新たに修理された文化財」を見た。すでに名品展は1度見ているが、子嶋寺の両界曼荼羅は巨大かつ緻密で美しさを兼ねており、西洋の教会壁画のように何度見て…

太刀 銘則房 ふくやま美術館

則房は元は吉房と同じ備前の福岡一文字派の刀工だったが、後に備中に移住し片山一文字と呼ばれるようになった 。ふくやま美術館所蔵の則房は同刀工の特徴である刃文が見事に表れているそうだ。また、今でも長さがおよそ77cmあるが摺り上げられており、もと…

太刀 銘吉房 ふくやま美術館

備前・福岡一文字派が最盛期の頃の代表的鍛冶が吉房である。東博150周年で、同館所蔵の国宝の吉房2口が並べて展示してあった。その記憶が冷めやらぬ時期にふくやま美術館所蔵のものも見られたのは感無量である。 ふくやま美術館所蔵の則房は後世に擦り上げ…

短刀 銘国光 名物会津新藤五 ふくやま美術館

名物会津新藤五は写真の通り、スマートな短刀である。直線的ですらっとした形状と乱れの少ない刃紋、刃先に沿っての曲線美と非常にクールな姿をしている。作者の新藤五国光は粟田口国綱の子というのが通説がある一方で備前三郎国宗の指導を受けて大成したと…

短刀 銘左/筑州住 太閤左文字 ふくやま美術館

南北朝時代に作られたとされる日本刀で、太閤の名を関することから豊臣秀吉の愛刀である。聚楽左文字とも呼ばれる。短刀の優美さもさることならが、鞘のなど装飾の美しさはこれまでに見た中でも断トツでかっこよかった。金銀財宝で彩るものは数あれど、シッ…

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。