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【三井15周年】志野茶碗 銘卯花墻

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三井記念美術館開館15周年を記念した展示会「三井家が伝えた名品・優品」の第2部・日本の古美術が8月いっぱい開催している。7月は第1部として東洋美術の名品・優品がずらり。8月は日本美術と二部構成となっていた。

日本美術の名品には国宝・重文が多数出品。江戸時代から続く財閥である三井家の収集力の高さが分かる秀逸作品ばかりとなっている。

まず、最初のゾーンは茶道具関連を展示。どれものが名品となっており、茶道具展に出品されていてもそれぞれが目玉展示物になるものばかり。その会場の突き当り、1つだけ特別に展示されているのが国宝の志野茶碗。サンリツ服部美術館が所有する楽焼白片身変茶碗とこの志野茶碗のみが国産国宝茶碗である。陶器の国宝指定が少ない中でも、国産は厳選された貴重なものとなっている。

志野茶碗は白を基調に釉下に簡易な鉄絵が施されていている。大きな特徴は歪み。茶器表面は均整がとれておらず、波打つように仕上がっている。まさに白波を茶器で表現したようだ。志野特有のぼってりとした形が、心地よい揺らぎとなっており、曜変天目が宇宙を表すならば、志野茶碗は大海を想像させる自然派主義につながる。茶室という小さく狭い空間で茶器によって空間を広げる発想は他の文化ではなかなかないことだろう。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。