仏画
冬の奈良大和路キャンペーンで1月に続き、2月もならまちの普段は入れない寺院を公開していた。京都に比べて宣伝が下手な奈良だけあって、それ程多くの人は来ていなかった。十輪院に近い興善寺と金躰寺の涅槃図公開に合わせて行ったが、見ると作画がほぼ一…
昨年の四天王寺は聖徳太子遠忌1400年だったことから、様々なイベントが企画された。なかでも慶讃法要は各宗派本山による法要を実施。名だたる宗派の総本山で行われ、聖徳太子が日本仏教の祖としての位置づけが分かるイベントとなっていた。 平常時を取り戻し…
本日、開幕する東博150周年記念展示会。東博の国宝89件が一挙公開される。昨年12月の発表から89件すべてについて書いてきたが、今回はそのフィナーレです。 普賢菩薩は白象に乗っているが、当時の日本の絵師は国内に存在しないので象を見たことがない…
虚空蔵菩薩像は仏様と天蓋、座る蓮など最低限の形式を整えた絵である。シンプルゆえに画力が問われる作品だが、その名の通り「むなしさ」が十二分に伝わる。平安時代の作品だが、彩色が鮮やかに残っており、製作当時から続く美しさが色あせていないように見…
彫刻の千手観音菩薩は腕の多さからくる立体感が半端なく、近くでまじまじと見てしまう。一方で絵画だと彫刻ほどの立体感は出せない。東博所蔵の千手観音像は立体感ではなく截金による精密な文様が見どころ。平安時代の仏画、いや截金を用いた絵画の中でもト…
地味なおじいちゃんたちの絵。羅漢十六名を一人一幅ずつ、計16幅に分けて描いている。各地の仏教関連の展示会に出張展示されたり、東博の通常展でも出ていることがあり、年を通して16名の誰かとは会っている。通期の展示となっているが、4幅ずつの展示に…
仏さまが眷属として乗りこなす動物には、大威徳明王の牛や文殊菩薩の唐獅子などがある。その眷属で一番派手なものが孔雀明王。なんといっても鮮やかな羽根を持つ孔雀を乗りこなす。高野山霊宝館には快慶作で彫刻の孔雀明王があるが、黄金に輝く体は派手でお…
ゴールデンウィークに登った神護寺。曝涼展はなく、寺宝の数々には会えず仕舞いだった。それに代わってではないが、奈良博の大安寺展のラスト2週間だけ、釈迦如来像(通称は赤釈迦)が展示された。 大安寺は高野山真言宗に所属する。南都七大寺に列せられて…
京博でも延暦寺の根本中堂の内陣を再現していた。ここだけが写真OK。1階の個室に再現していたので周りに展示物はなく、展示会に来ていることを忘れて、ここだけ祈りの空間と化していた。 京博所有の中から国宝の仏画、釈迦金棺出現図が展示されていた。前所…
今年の最後に見た国宝は両部大経感得図であった。奈良博の名画の殿堂展でも最後に飾られていたので締めるのにふさわしい作品である。 2メートル四方の襖絵となっているが、もともとは廃寺となった内山永久寺の須弥壇の建具で、曼荼羅の裏側に描かれていた。…
藤田美術館は2022年春にリニューアルを終えて展示を再開する。この間、兄弟的な施設で隣接する太閤園が売却され、ホテルとしての運用を終えるなど周辺の雰囲気が変わってしまった。一番変わったのがもちろん藤田美術館自体である。以前は古びた建物に蔵内展…
「最澄と天台宗のすべて」展は9カ月をかけて東京・九州・京都の国立博物館で巡回する。その嚆矢は東京国立博物館が勤めるのが相応しい。なぜならば、同館が建つ上野の大地は寛永寺があった場所で、東京の天台宗の聖地だからだ。なにせ山号は東叡山、つまり…
仏涅槃図は高野山の名宝展、ラストを飾るにふさわしい作品だ。 入滅した釈迦を囲む人々(神々)に加えて、神獣たちも悲しみ悶える図は去る者が如何に慕われているかが一目で分かる。3月15日に各寺院で行われる涅槃会では涅槃図が所狭しと講堂に掛か画られ…
天平絵画の最高傑作だと思う薬師寺の吉祥天像。薬師寺での年始御開帳を除くと、直近では昨年にあべのハルカスで開催された薬師寺展へお出ましになったが、コロナウイルス蔓延のため二日間で休止となり、見ることができなかった。そして1年が過ぎ、龍谷ミュ…
高野山は夏が終わり、葉っぱがうっすらと赤みを帯びていた。いつの間にか名宝展も後半の3期が始まっていた。せっかく年間パスポートを買ったのに、真夏に行く機会を逸したので9月に入ってから見に行った。 後半の展示では前半にあったものがいくつかなくな…
奈良博三昧も後半戦に突入。前半が怒涛の国宝ラッシュだったことを思うと、被りもあり少し寂しい。しかし、奈良博でも屈指の人気を誇る辟邪絵が登場するとあっては観に行かない訳にはいかない。 辟邪絵は断簡となって5幅に分かれて保存されている。益田鈍翁…
京の国宝は3階から2階へ移動。まずは絵画部門を観る。 仏教絵画が中心になる中、十二天像4幅や十六羅漢像がいる。目を引いたのは釈迦如来像である。毎年5月の初旬に神護寺で行われる曝涼展では間近で観ることができたのだが、昨年今年とコロナの影響で公…
4月以来の高野山。雨の中の桜を堪能したのが、つい先日のことだと思っていたが時の流れは年々早くなっている気がする。時を支配することはできないが、時を感じることができる。写真には写っていないがすぐ横に六時の鐘がある。同じ時間を知ることで人々に…
冬に岡山県立博物館で開催された雪舟と玉堂展では展示されなかった唯一の雪舟の国宝作品が天橋立図である。巨大な鳥観図はじっくり観たくなる作品のひとつ。現在でも使えそうなぐらい精密に描いている部分とデフォルメした部分が混在しているのも見どころの…
清浄華院は京都御所の東隣で、南側は廬山寺と接している。円仁が宮中に禁裏内道場として建立されたのが始まりである。天台宗山門派と宮中をつなぐ重要な拠点である。阿弥陀三尊像は数少ない南宋仏画の中でも優れた作品。普段から国立博物館に寄託されている…
神護寺では毎年、ゴールデンウィーク期間中に寺宝の虫干しをする。その機会に寺宝を公開する曝涼展が行われる。伝源頼朝像や潅頂暦名など歴史的一級資料がガラス越しでなく目の前で見ることができる貴重な機会となっている。ただ、コロナの影響で2年連続公…
十六羅漢像は単独や2幅(コンビ)など少数精鋭の展示が多いように感じる。一方で、十二天像は4幅ぐらいのユニット展示が多い気がする。十二天のそれぞれの役割が個別ではなくユニットとして成立するためかもしれない。 レア★☆☆ 観たい★☆☆ 通期・4幅ずつ前…
東博の十六羅漢像は本館での通常展示にも出品されることもあり、観る機会は多い。ただ、16名のどれを観たかと言えば覚えていない。推しメンのいないアイドルグループを見ているのと同じ感覚で観てしまう。 レア★★☆ 観たい★☆☆ 後期 1幅(東博)、8幅(清…
高野山の霊宝館を訪れた日は大雨だったため、寺院を回る観光客はほとんどいなかった。しかし、霊宝館に国宝などお宝を観ることを楽しみにしていた人が若干来ていた。開幕日であったのだが、肌寒い気温と同様、待ちに待った熱気感はあまり感じあられなかった。…
観心寺の特別公開を見終えて、高野山へと向かう。 明治時代以前ならば歩いて1日かかると観心寺で言っていたが、モータリゼーションの発展により2時間弱で行くことが出来た。 標高が900メートルと山頂にある宗教都市・高野山。すでに桜の時期が終わった下界だ…
往生際に現れて天に召されるお導き(手助け)をするのが阿弥陀如来である。阿弥陀様が極楽浄土へ連れていってくれるので、死後の世界も怖くない。死を感じた人の心のよりどころするために、仏画でも派手に描いている。 上野コレクションの中でも最高傑作であ…
阿弥陀三尊および童子像は法華寺の収蔵庫でも見たことがある。ただ、よい照明と距離を空けてじっくり見られるという点では奈良博は最高の環境である。 この仏画は三幅でワンセットで、大きさがバラバラ。阿弥陀様が大きく描かれているのは分かるとして、左の…
おん祭り展は展示総数45件とこじんまりとした陳列のため東新館で完結した。西新館では新たに修理された文化財がお披露目されていた。昨年から続く修理された文化財の公開展ムーブメントは一つのカテゴリーになりつつある。 公共事業予算が年々先細る中で、文…
根津美術館は都心の一等地にあるにも関わらず広めの庭園を備えている。入館者は無料で散策でき、同館が誇る燕子花屏風絵に合わせるように実物のカキツバタを活けていたり、所蔵の茶器や掛け軸などに合った茶室(入室不可)が4棟あったり、観る者を楽しませ…
NHK大河もいよいよ佳境。普通のドラマならば明智光秀の最後が気になるが、大河は史実を元に描いているので本能寺の変があり、羽柴秀吉に討伐される筋書き。大往生場面は麒麟が去る場面で終わるのだろう。 さて、大河の主役であるに光秀に縁がある大津・下坂…