国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

仏画

金光明最勝王経金字宝塔曼荼羅図 大長寿院

東博の国宝室では金光明最勝王経金字宝塔曼荼羅図の第一幀・第四幀が掲げれれていた。遠くから見ると宝塔の絵だが、その絵がすべて文字によって構成されている。しかもそれが経典の写経となっているからビックリする。これをまじまじと見ていると六波羅蜜寺…

紺紙金銀字一切経(中尊寺経) 中尊寺大長寿院

東博で開催されている中尊寺金色堂展は入り口からド派手な映像美が楽しめる。 入ってすぐに巨大スクリーンを建てて金色堂の映像を流していた。この映像が単なる動画ではなく、NHKが撮影して三次元に落とし込んだものを再構築した8Kデータ画像で、PR番組…

【密教マンダラ】両界曼荼羅 (西院曼荼羅 ) 教王護国寺

国宝の両界曼荼羅図は神護寺、子嶋寺、東寺所有の3件ある。どれも寺院の平面一杯に掲げるような大きさで作られていて、かなりの展示スペースが必要となる。今回の展示会では神護寺と東寺の曼荼羅図が同時に展示されそうだ。 昨年秋に東寺の宝物館でも弘法大…

【密教マンダラ】両界曼荼羅 (高雄曼荼羅) 神護寺 

4月13日から6月9日まで奈良国立博物館で空海生誕1250年を記念した展示会「空海 KUKAI - 密教のルーツとマンダラ世界」が開催される。 展示会の目玉は神護寺が所蔵する巨大曼荼羅図で、最も古い両界曼荼羅が修理を終えて寺外初公開となる。昨年の5月に…

後七日御修法

真言宗で最も重要な儀式のひとつである後七日御修法は教王護国寺(東寺)の灌頂院にて1月8日~14日まで行われる。鎌倉以降に拡大した仏教宗派が個人の帰依(ミクロ的な大衆仏教)に対する教えを説くのに対して、真言宗は(マクロ的な)国全体を護るため…

阿弥陀三尊及び童子画像 法華寺

法華寺の境内にある慈光殿は寺宝を保管する建物がある。確かコロナ禍の時期にリニューアルをしていた記憶があり、特別公開していたので久しぶりに拝観した。 慈光殿には一般で言う宝物館があり、法華寺の寺宝を保管する建物がある。コンクリート造りでしっか…

顕浄土真実教行証文類(坂東本) 東本願寺

大谷大学博物館で開催された古典籍の魅力は宗祖親鸞聖人誕生850年・立教開宗800年記念であることから真宗大谷派・東本願寺の至宝「顕浄土真実教行証文類(坂東本)」(略称:教行信証)が展示されていた。 教行信証は親鸞の著作であり、数ある浄土真宗系が共…

黄不動明王像 曼殊院

京都の東北部、修学院離宮近くにある曼殊院で国宝秘仏の黄不動明王の特別公開が行われていた。曼殊院の悲願であった宸殿が150年ぶりに再建復興された記念での公開である。 曼殊院は京都でも外れにあることから、外国人観光客で賑わう中心部と違って休日でも…

両界曼荼羅 子嶋寺

冬の奈良大和路キャンペーンで1月に続き、2月もならまちの普段は入れない寺院を公開していた。京都に比べて宣伝が下手な奈良だけあって、それ程多くの人は来ていなかった。十輪院に近い興善寺と金躰寺の涅槃図公開に合わせて行ったが、見ると作画がほぼ一…

扇面法華経冊子 市場図 四天王寺

昨年の四天王寺は聖徳太子遠忌1400年だったことから、様々なイベントが企画された。なかでも慶讃法要は各宗派本山による法要を実施。名だたる宗派の総本山で行われ、聖徳太子が日本仏教の祖としての位置づけが分かるイベントとなっていた。 平常時を取り戻し…

【東博150年】普賢菩薩像

本日、開幕する東博150周年記念展示会。東博の国宝89件が一挙公開される。昨年12月の発表から89件すべてについて書いてきたが、今回はそのフィナーレです。 普賢菩薩は白象に乗っているが、当時の日本の絵師は国内に存在しないので象を見たことがない…

【東博150年】虚空蔵菩薩像

虚空蔵菩薩像は仏様と天蓋、座る蓮など最低限の形式を整えた絵である。シンプルゆえに画力が問われる作品だが、その名の通り「むなしさ」が十二分に伝わる。平安時代の作品だが、彩色が鮮やかに残っており、製作当時から続く美しさが色あせていないように見…

【東博150年】千手観音像

彫刻の千手観音菩薩は腕の多さからくる立体感が半端なく、近くでまじまじと見てしまう。一方で絵画だと彫刻ほどの立体感は出せない。東博所蔵の千手観音像は立体感ではなく截金による精密な文様が見どころ。平安時代の仏画、いや截金を用いた絵画の中でもト…

【東博150年】十六羅漢像

地味なおじいちゃんたちの絵。羅漢十六名を一人一幅ずつ、計16幅に分けて描いている。各地の仏教関連の展示会に出張展示されたり、東博の通常展でも出ていることがあり、年を通して16名の誰かとは会っている。通期の展示となっているが、4幅ずつの展示に…

【東博150年】孔雀明王像

仏さまが眷属として乗りこなす動物には、大威徳明王の牛や文殊菩薩の唐獅子などがある。その眷属で一番派手なものが孔雀明王。なんといっても鮮やかな羽根を持つ孔雀を乗りこなす。高野山霊宝館には快慶作で彫刻の孔雀明王があるが、黄金に輝く体は派手でお…

釈迦如来像 神護寺

ゴールデンウィークに登った神護寺。曝涼展はなく、寺宝の数々には会えず仕舞いだった。それに代わってではないが、奈良博の大安寺展のラスト2週間だけ、釈迦如来像(通称は赤釈迦)が展示された。 大安寺は高野山真言宗に所属する。南都七大寺に列せられて…

釈迦金棺出現図 京都国立博物館

京博でも延暦寺の根本中堂の内陣を再現していた。ここだけが写真OK。1階の個室に再現していたので周りに展示物はなく、展示会に来ていることを忘れて、ここだけ祈りの空間と化していた。 京博所有の中から国宝の仏画、釈迦金棺出現図が展示されていた。前所…

【名画の殿堂 藤田美】両部大経感得図 藤原宗弘筆

今年の最後に見た国宝は両部大経感得図であった。奈良博の名画の殿堂展でも最後に飾られていたので締めるのにふさわしい作品である。 2メートル四方の襖絵となっているが、もともとは廃寺となった内山永久寺の須弥壇の建具で、曼荼羅の裏側に描かれていた。…

【名画の殿堂 藤田美】玄奘三蔵絵 巻第四 高階隆兼筆 

藤田美術館は2022年春にリニューアルを終えて展示を再開する。この間、兄弟的な施設で隣接する太閤園が売却され、ホテルとしての運用を終えるなど周辺の雰囲気が変わってしまった。一番変わったのがもちろん藤田美術館自体である。以前は古びた建物に蔵内展…

聖徳太子及び天台高僧像 一乗寺

「最澄と天台宗のすべて」展は9カ月をかけて東京・九州・京都の国立博物館で巡回する。その嚆矢は東京国立博物館が勤めるのが相応しい。なぜならば、同館が建つ上野の大地は寛永寺があった場所で、東京の天台宗の聖地だからだ。なにせ山号は東叡山、つまり…

仏涅槃図 金剛峯寺

仏涅槃図は高野山の名宝展、ラストを飾るにふさわしい作品だ。 入滅した釈迦を囲む人々(神々)に加えて、神獣たちも悲しみ悶える図は去る者が如何に慕われているかが一目で分かる。3月15日に各寺院で行われる涅槃会では涅槃図が所狭しと講堂に掛か画られ…

吉祥天像 薬師寺

天平絵画の最高傑作だと思う薬師寺の吉祥天像。薬師寺での年始御開帳を除くと、直近では昨年にあべのハルカスで開催された薬師寺展へお出ましになったが、コロナウイルス蔓延のため二日間で休止となり、見ることができなかった。そして1年が過ぎ、龍谷ミュ…

善女竜王像 金剛峯寺

高野山は夏が終わり、葉っぱがうっすらと赤みを帯びていた。いつの間にか名宝展も後半の3期が始まっていた。せっかく年間パスポートを買ったのに、真夏に行く機会を逸したので9月に入ってから見に行った。 後半の展示では前半にあったものがいくつかなくな…

【奈良博三昧】辟邪絵

奈良博三昧も後半戦に突入。前半が怒涛の国宝ラッシュだったことを思うと、被りもあり少し寂しい。しかし、奈良博でも屈指の人気を誇る辟邪絵が登場するとあっては観に行かない訳にはいかない。 辟邪絵は断簡となって5幅に分かれて保存されている。益田鈍翁…

【京の国宝】釈迦如来像(赤釈迦) 神護寺

京の国宝は3階から2階へ移動。まずは絵画部門を観る。 仏教絵画が中心になる中、十二天像4幅や十六羅漢像がいる。目を引いたのは釈迦如来像である。毎年5月の初旬に神護寺で行われる曝涼展では間近で観ることができたのだが、昨年今年とコロナの影響で公…

五大力菩薩像 有志八幡講

4月以来の高野山。雨の中の桜を堪能したのが、つい先日のことだと思っていたが時の流れは年々早くなっている気がする。時を支配することはできないが、時を感じることができる。写真には写っていないがすぐ横に六時の鐘がある。同じ時間を知ることで人々に…

天橋立図 雪舟筆 京都国立博物館

冬に岡山県立博物館で開催された雪舟と玉堂展では展示されなかった唯一の雪舟の国宝作品が天橋立図である。巨大な鳥観図はじっくり観たくなる作品のひとつ。現在でも使えそうなぐらい精密に描いている部分とデフォルメした部分が混在しているのも見どころの…

阿弥陀三尊像 清浄華院

清浄華院は京都御所の東隣で、南側は廬山寺と接している。円仁が宮中に禁裏内道場として建立されたのが始まりである。天台宗山門派と宮中をつなぐ重要な拠点である。阿弥陀三尊像は数少ない南宋仏画の中でも優れた作品。普段から国立博物館に寄託されている…

釈迦如来像(赤釈迦) 神護寺

神護寺では毎年、ゴールデンウィーク期間中に寺宝の虫干しをする。その機会に寺宝を公開する曝涼展が行われる。伝源頼朝像や潅頂暦名など歴史的一級資料がガラス越しでなく目の前で見ることができる貴重な機会となっている。ただ、コロナの影響で2年連続公…

十二天像 京博

十六羅漢像は単独や2幅(コンビ)など少数精鋭の展示が多いように感じる。一方で、十二天像は4幅ぐらいのユニット展示が多い気がする。十二天のそれぞれの役割が個別ではなくユニットとして成立するためかもしれない。 レア★☆☆ 観たい★☆☆ 通期・4幅ずつ前…

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。