国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

仏画

【超国宝】辟邪絵 奈良国立博物館

奈良国立博物館が開館して130年の記念展となる超国宝展。もちろん、奈良博が所蔵する国宝たちも登場する。 仏教美術には極楽浄土の天国を表したものがある一方で、阿鼻叫喚の地獄を表現したものが存在する。恵心僧都源信が書いた往生要集で生前の行いが死後…

絹本著色五大力菩薩像 有志八幡講

高野山の有志八幡講所蔵の絹本著色五大力菩薩像は超巨大な五大力菩薩像である。火事で2幅が焼けてしまったが、残り3幅のうち前期が金剛吼、後期で竜王吼と無畏十力吼を展示していた。 大きいため、飾る場所を選ぶ。前期はガラスのない壁掛けで迫力ある展示…

両界曼荼羅 (高雄曼荼羅) 金剛界 神護寺

展示品で唯一、撮影がOKだった文殊菩薩坐像。西安碑林博物館から借りたもので、一級文物(日本だと国宝相当)に指定されている。少し壊れているのが残念だが、日本の仏像とはお顔立ちが違うのが興味深い。日本の方が彫が深く、憧れを具現化したような顔にな…

真言七祖像 恵果 教王護国寺

展示会で人が混雑する法則として、 ・(ボトルネックとなりやすい)入り口近く ・キービジュアルになっている目玉展示品 ・誰もが知る有名で見栄えのする展示品 ・音声ガイドの展示品 ・小さな展示品 (・導線が悪い) などがある。 国宝かどうかは二の次で…

絹本著色五大尊像 5幅 醍醐寺

「空海 KUKAI - 密教のルーツとマンダラ世界」展の第一室は後期で展示が変わっていた。前期は入り口から見て右側のショーケースが西大寺の十二天像12幅そろい踏みだったが、後期は左側のショーケースが神護寺の真言八祖像(重文)がそろい踏みで展示して…

絹本著色十二天像 5幅 京都国立博物館

奈良博で開催していた「空海 KUKAI - 密教のルーツとマンダラ世界」の後期に行った。前期で訪れた際は展示室内は混雑していたが、入り口は閑散としていた。後期の訪問では長蛇の列ができていた。なんでもチケット購入の列で、正倉院展かと思う人気ぶりであ…

絹本著色伝船中湧現観音 龍光院

高野山霊宝館創設100周年記念展示会では真言仏教の至宝が惜しげもなく出品され、目を楽しませてくれた。その中で、一番煌びやかな仏画が伝船中湧現観音だった。 伝船中湧現観音は空海が入唐の際、嵐を鎮め、航海の安全を守るため出現したと伝えられる。空海…

両界曼荼羅 (高雄曼荼羅)胎蔵界 神護寺

奈良博で開催中の「空海 KUKAI - 密教のルーツとマンダラ世界」。展示会の中盤に差し掛かってようやく今回の主役・神護寺の両界曼荼羅が登場した。奈良博で巨大な曼荼羅図を展示できるショーケース(そのために作ったとも思える)が西新館にあるため、導線…

絹本著色五大尊像  教王護国寺

真言宗で重要な儀式のひとつが御七日御修法である。今年の1月、儀式が終わった後に公開される現場を見に行った。両界曼荼羅を初め、法具や十二天像などが用いられていた。その中心にあったのは五大尊像。正面に五大尊、左右に両界曼荼羅が掲げられていた。2…

絹本著色十二天像 西大寺

奈良博で開催中の「空海 KUKAI - 密教のルーツとマンダラ世界」展の第1章(密教とは̶ 空海の伝えたマンダラの世界)は、東新館2階の展示場全体を使ってマンダラ世界を再現していた。奈良博で一番広い会場全体を使っているにも関わらず、9件(点数はもっ…

金光明最勝王経金字宝塔曼荼羅図 大長寿院

東博の国宝室では金光明最勝王経金字宝塔曼荼羅図の第一幀・第四幀が掲げれれていた。遠くから見ると宝塔の絵だが、その絵がすべて文字によって構成されている。しかもそれが経典の写経となっているからビックリする。これをまじまじと見ていると六波羅蜜寺…

紺紙金銀字一切経(中尊寺経) 中尊寺大長寿院

東博で開催されている中尊寺金色堂展は入り口からド派手な映像美が楽しめる。 入ってすぐに巨大スクリーンを建てて金色堂の映像を流していた。この映像が単なる動画ではなく、NHKが撮影して三次元に落とし込んだものを再構築した8Kデータ画像で、PR番組…

【密教マンダラ】両界曼荼羅 (西院曼荼羅 ) 教王護国寺

国宝の両界曼荼羅図は神護寺、子嶋寺、東寺所有の3件ある。どれも寺院の平面一杯に掲げるような大きさで作られていて、かなりの展示スペースが必要となる。今回の展示会では神護寺と東寺の曼荼羅図が同時に展示されそうだ。 昨年秋に東寺の宝物館でも弘法大…

【密教マンダラ】両界曼荼羅 (高雄曼荼羅) 神護寺 

4月13日から6月9日まで奈良国立博物館で空海生誕1250年を記念した展示会「空海 KUKAI - 密教のルーツとマンダラ世界」が開催される。 展示会の目玉は神護寺が所蔵する巨大曼荼羅図で、最も古い両界曼荼羅が修理を終えて寺外初公開となる。昨年の5月に…

後七日御修法

真言宗で最も重要な儀式のひとつである後七日御修法は教王護国寺(東寺)の灌頂院にて1月8日~14日まで行われる。鎌倉以降に拡大した仏教宗派が個人の帰依(ミクロ的な大衆仏教)に対する教えを説くのに対して、真言宗は(マクロ的な)国全体を護るため…

阿弥陀三尊及び童子画像 法華寺

法華寺の境内にある慈光殿は寺宝を保管する建物がある。確かコロナ禍の時期にリニューアルをしていた記憶があり、特別公開していたので久しぶりに拝観した。 慈光殿には一般で言う宝物館があり、法華寺の寺宝を保管する建物がある。コンクリート造りでしっか…

顕浄土真実教行証文類(坂東本) 東本願寺

大谷大学博物館で開催された古典籍の魅力は宗祖親鸞聖人誕生850年・立教開宗800年記念であることから真宗大谷派・東本願寺の至宝「顕浄土真実教行証文類(坂東本)」(略称:教行信証)が展示されていた。 教行信証は親鸞の著作であり、数ある浄土真宗系が共…

黄不動明王像 曼殊院

京都の東北部、修学院離宮近くにある曼殊院で国宝秘仏の黄不動明王の特別公開が行われていた。曼殊院の悲願であった宸殿が150年ぶりに再建復興された記念での公開である。 曼殊院は京都でも外れにあることから、外国人観光客で賑わう中心部と違って休日でも…

両界曼荼羅 子嶋寺

冬の奈良大和路キャンペーンで1月に続き、2月もならまちの普段は入れない寺院を公開していた。京都に比べて宣伝が下手な奈良だけあって、それ程多くの人は来ていなかった。十輪院に近い興善寺と金躰寺の涅槃図公開に合わせて行ったが、見ると作画がほぼ一…

扇面法華経冊子 市場図 四天王寺

昨年の四天王寺は聖徳太子遠忌1400年だったことから、様々なイベントが企画された。なかでも慶讃法要は各宗派本山による法要を実施。名だたる宗派の総本山で行われ、聖徳太子が日本仏教の祖としての位置づけが分かるイベントとなっていた。 平常時を取り戻し…

【東博150年】普賢菩薩像

本日、開幕する東博150周年記念展示会。東博の国宝89件が一挙公開される。昨年12月の発表から89件すべてについて書いてきたが、今回はそのフィナーレです。 普賢菩薩は白象に乗っているが、当時の日本の絵師は国内に存在しないので象を見たことがない…

【東博150年】虚空蔵菩薩像

虚空蔵菩薩像は仏様と天蓋、座る蓮など最低限の形式を整えた絵である。シンプルゆえに画力が問われる作品だが、その名の通り「むなしさ」が十二分に伝わる。平安時代の作品だが、彩色が鮮やかに残っており、製作当時から続く美しさが色あせていないように見…

【東博150年】千手観音像

彫刻の千手観音菩薩は腕の多さからくる立体感が半端なく、近くでまじまじと見てしまう。一方で絵画だと彫刻ほどの立体感は出せない。東博所蔵の千手観音像は立体感ではなく截金による精密な文様が見どころ。平安時代の仏画、いや截金を用いた絵画の中でもト…

【東博150年】十六羅漢像

地味なおじいちゃんたちの絵。羅漢十六名を一人一幅ずつ、計16幅に分けて描いている。各地の仏教関連の展示会に出張展示されたり、東博の通常展でも出ていることがあり、年を通して16名の誰かとは会っている。通期の展示となっているが、4幅ずつの展示に…

【東博150年】孔雀明王像

仏さまが眷属として乗りこなす動物には、大威徳明王の牛や文殊菩薩の唐獅子などがある。その眷属で一番派手なものが孔雀明王。なんといっても鮮やかな羽根を持つ孔雀を乗りこなす。高野山霊宝館には快慶作で彫刻の孔雀明王があるが、黄金に輝く体は派手でお…

釈迦如来像 神護寺

ゴールデンウィークに登った神護寺。曝涼展はなく、寺宝の数々には会えず仕舞いだった。それに代わってではないが、奈良博の大安寺展のラスト2週間だけ、釈迦如来像(通称は赤釈迦)が展示された。 大安寺は高野山真言宗に所属する。南都七大寺に列せられて…

釈迦金棺出現図 京都国立博物館

京博でも延暦寺の根本中堂の内陣を再現していた。ここだけが写真OK。1階の個室に再現していたので周りに展示物はなく、展示会に来ていることを忘れて、ここだけ祈りの空間と化していた。 京博所有の中から国宝の仏画、釈迦金棺出現図が展示されていた。前所…

【名画の殿堂 藤田美】両部大経感得図 藤原宗弘筆

今年の最後に見た国宝は両部大経感得図であった。奈良博の名画の殿堂展でも最後に飾られていたので締めるのにふさわしい作品である。 2メートル四方の襖絵となっているが、もともとは廃寺となった内山永久寺の須弥壇の建具で、曼荼羅の裏側に描かれていた。…

【名画の殿堂 藤田美】玄奘三蔵絵 巻第四 高階隆兼筆 

藤田美術館は2022年春にリニューアルを終えて展示を再開する。この間、兄弟的な施設で隣接する太閤園が売却され、ホテルとしての運用を終えるなど周辺の雰囲気が変わってしまった。一番変わったのがもちろん藤田美術館自体である。以前は古びた建物に蔵内展…

聖徳太子及び天台高僧像 一乗寺

「最澄と天台宗のすべて」展は9カ月をかけて東京・九州・京都の国立博物館で巡回する。その嚆矢は東京国立博物館が勤めるのが相応しい。なぜならば、同館が建つ上野の大地は寛永寺があった場所で、東京の天台宗の聖地だからだ。なにせ山号は東叡山、つまり…

国宝拝観者たちの夢、千件越えをいつの間にか達成した。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標が完結した。 次の1100件は果てしなく遠いので、1050件を一区切りにしよう。