国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

観た

大雄宝殿、法堂、天王堂 萬福寺

国宝指定を受けて1年。黄檗宗の総本山・萬福寺の建築3棟を見に行った。 萬福寺は宇治にある禅宗寺院で、隠元禅師によって創建された。隠元禅師は江戸時代初期に中国から来日して日本に黄檗宗をもたらした。あまり馴染みのない宗派ではあるが、その理由は萬福…

曜変天目茶碗 藤田美術館

藤田美術館の至宝、曜変天目茶碗は万博開催の後半に合わせて8月から公開していた。藤田美術館は基本3ヶ月の展示期間があるので10月末までの展示となっていた。 今回の展示では、茶器を保管・運搬するために作られた袋や木製の保管用箱も一緒に展示していた。…

花蝶蒔絵挟軾 藤田美術館

大阪・関西万博が終わったが、まだ大阪市内の美術館では万博級のお宝が公開されていた。 藤田美術館はコロナ禍後のリニューアルオープンで展示スケジュールを大きく変更。基本的に3つに分けて同館所蔵物をテーマごとの企画展示している。企画は3ヶ月公開で1…

五重塔 教王護国寺

教王護国寺(東寺)の五重塔は一番高い国宝の五重塔である。広々とした境内の南東部の端にそびえ立っている。その昔は東寺とともに西寺があり、両寺の間に羅生門が作られ、門から一直線に御所へと続く道が作られた。いわば御所への玄関口を守る寺院として機…

西院御影堂 教王護国寺

国宝の建築物は閉ざされていたり、拝観料が必要だったりするものが多い。教王護国寺(東寺)の国宝・西院御影堂は時間内であれば誰でも気軽に入室して拝むことができる。4年の歳月をかけて2020年に改修工事を行ったこともあり、手すりについている金の…

唐櫃 熊野速玉大社

大阪市立美術館で2階の半分だけ使用して開催している「NEGORO 根来 - 赤と黒のうるし」を見に行った。この後に東京・サントリー美術館に巡回するそうだが、東京では集客できそうな内容だった。根来と言われて想起するのが新義真言宗の総本山・根来寺…

兜跋毘沙門天 教王護国寺

東寺(教王護国寺)の宝物館は開館して60年となった。2階まで展示スペースはあるものの、それほど広い展示館ではないので、国宝クラスを一度に多数展示することはそれほど多くない。あっても1点か2点、書物で関連の国宝展示が多いように思える。 その中で…

密教法具 教王護国寺

東寺(教王護国寺)宝物館開館60周年記念、秋の特別公開は国宝密教法具と金工品と題した展示会となっていた。 東寺は空海が始めた真言宗の根本道場であると同時に、江戸時代までは皇居との距離が近いこともあり、地政学的にも重要な拠点となっていた。後七日…

四天王寺縁起根本本 四天王寺

大阪・関西万博が閉幕した。万博に合わせて開催された近畿圏の美術展の豪華さに、改めて日本の文化財のポテンシャルの高さを感じた。四天王寺は万博関連展示会で大阪市立美術館で開催された日本国宝展に国宝刀2振、扇面法華経冊子、金銅威奈大村骨蔵器を惜…

【宋元仏画】一遍聖絵 円伊筆 清浄光寺

今回、一遍聖絵で開いていた個所は吉備津神社と厳島神社の中国地域神社巡りの場面だった。ともに現在では国宝建築物を有する神社だが、歴史的な神社へ一遍上人は参詣していることになる。この絵伝を見ると全国各地の名所を訪れており、鎌倉時代の旅行指南書…

【宋元仏画】紺紙金字大宝積経 京都国立博物館

宋元仏画というテーマで影響を受けた各国の文化財も紹介している。日本は交易を通じて多大な影響を受けたが、陸続きの朝鮮半島も影響を受けている。宋元時代の朝鮮半島では長期政権であった高麗王朝が実権を握っていた。長期政権ではあったものの、宋と同じ…

【宋元仏画】孔雀明王像 仁和寺 

2階へ降りて一角奥まった部屋には仁和寺の孔雀明王像と岐阜の永保寺所蔵で重要文化財の千手観音像が並んで展示していた。岐阜の永保寺と言えば、国宝の観音堂と開山堂を有する寺院で、夢窓疎石が開創した禅寺だ。池式庭園は国指定の名勝となっている名寺院…

孔侍中帖 搨王義之書 前田育徳会

滋賀県東近江市五箇荘にある観峯館は、常設展示がとても充実している書の殿堂だった。最寄り駅は近江鉄道の五箇荘駅で、博物館までは歩いて行ける距離にある。2駅先の豊郷へ行けば、建築家ヴォーリズが設計した小学校があり、アニメ「けいおん」の舞台のモ…

【宋元仏画】弥勒菩薩像 (木造釈迦如来立像像内納入品のうち) 清凉寺 

宋元仏画の出品リストの中で国宝のマークがついているもの内で、清凉寺の弥勒菩薩像というものがあった。かっこ書きで清凉寺の国宝・釈迦如来立像の納入品のひとつであることは分かるが、宋元仏画との関係性が分からないまま、展示会へ行った。清凉寺の釈迦…

【宋元仏画】秋景冬景山水図 伝徽宗筆 金地院

2025年の秋展は春に大量の国宝展示会が開催された反動で、国宝の出品数は少ない。そのような中でも一番楽しみにしていた京都国立博物館で開催されている宋元仏画展を見に行った。宋元仏画展も近年の特別展同様に前期後期で入れ替えがあり、秋の紅葉シーズン…

【九州の国宝】催馬楽譜 鍋島報效会

気持ちの良い時に自然と出る鼻歌。周りを気にせず、能天気に音程を外してもお構いなしで歌う。歌とはそんなものだと個人的には思う。とは言え、格式が高くなると歌にも役割が発生してきっちりと形式に則り歌い上げなければならない。形式が存在すれば正しく…

【九州の国宝】江田船山古墳出土 東京国立博物館

東博平成館1階では日本の古代の出土品を常設展示している。国宝の展示数も多いため時間があれば見て回るが、展示内容があまり変わり映えしないのが残念である。主な展示は縄文時代から古代、中世にかけての出土品が中心で、時代ごとに区切って見やすく陳列…

【九州の国宝】琉球国王尚家関係資料 紅色地龍宝珠瑞雲文様紅型綾袷衣裳 那覇市歴史博物館

九州とつながりが深い沖縄からの国宝も展示していた。琉球王朝で使用していた衣類や生活用品だが、その技巧は匠の技がつまった国宝に相応しいものとなっている。2022年に東博で行われた沖縄復帰50年記念の琉球展でも様々なものが展示されていて記憶に残…

【九州の国宝】短刀 銘吉光 立花家史料館

きゅーはくのたから展、最初の展示会場では梵鐘が中央に、出土品関連や翰苑、誓願寺盂蘭盆縁起が並んでいた。そして仕切られた隣では国宝の刀剣類7振が囲むように展示されていた。刀剣人気はすさまじく行列必至のため規制線貼って隊列にて近くで見る順番を…

【九州の国宝】宮地嶽古墳出土 金銅製壺鐙 宮地嶽神社

大阪市立美術館で開催されていた日本国宝展で見た国宝が九博でも展示されていた。宮地嶽古墳から出土した金銅製壺鐙で、大阪で会期を通してずっと展示していたにも関わらず、九博でも全期間で展示されている。鐙は馬に装着する壺状のもので、騎乗時に足を掛…

【九州の国宝】翰苑 太宰府天満宮

太宰府天満宮には暑い最中でも多くの参拝客が訪れていた。土産物屋から一番近い場所にある寝牛像にも列をなしていたが、日陰がないこともあり以前訪れた時よりも心なしか列が短いように見えた。太宰府天満宮の御本殿は124年ぶりの改修工事中だった。なの…

【九州の国宝】梵鐘 観世音寺

2025年度は国宝展の当たり年。まずは関西・大阪万博の開催に合わせて大阪市立美術館で日本国宝展、京博で美のるつぼ展、そして奈良博は開館130周年記念と合わせて超国宝展を6月まで開催した。徳川美術館でも開館90周年記念展として刀剣に関する展…

【時をかける名刀】短刀 銘吉光 名物後藤藤四郎 徳川美術館

刀剣乱舞にほぼ関心はないが国宝刀を観て回るとなにかと出会うコンテンツである。同ゲームに登場する刀がある場合はたいていキャラクターパネルを展示している。展示会の成功を表すもので一番わかりやすいのが入場者数であるから利用しない手はない。コンテ…

【時をかける名刀】短刀 無銘正宗 名物庖丁正宗 徳川美術館

尾張徳川家に伝わる国宝の駿府御分物がもう一つ出ていた。短刀・無銘正宗で名物庖丁正宗だ。庖丁正宗は国宝の刀、特に短刀類の中で個人的に好きな刀のひとつで、出品されていたらなるべく足を運びたい刀である。国宝を追いかけると刀類はを数多く見ることに…

【時をかける名刀】太刀 銘来孫太郎作 徳川美術館

時をかける名刀展は後期でもかなりの来館者がいた。女性比率が8割弱ほどで、刀剣女子たちがお気に入りの刀の前で熱視線を向けて見つめるためか、並んだ列が遅々として進まないことが多々あった。人気の三井記念美術館所蔵・日向正宗も短期間であるが展示さ…

【時をかける名刀】太刀 銘三条 名物三日月宗近 東京国立博物館

徳川美術館で開催している時をかける名刀展の後期を見に行った。刀剣女子たちがお祭り状態で見に出かけていた前期は避けての日程である。酷暑の夏となった2025年。少しでも暑さを避けるため、徳川美術館には午前中の早い時間に到着した。さすがに暑いた…

赤糸威大鎧 (梅鶯飾) 春日大社

春日大社国宝殿で開催中の大鎧展は、奈良が中世から近世にかけて甲冑の一大生産地であったことから、大鎧たちの故郷凱旋となった。ただ、ほかの展示会同様に前期・後期で入れ替えが多い。国宝で通期展示されるのは赤糸威大鎧の3点。メインビジュアルを張り…

白糸威鎧 日御碕神社

春日大社国宝殿で開催中の大鎧展はゲームのモンスターハンター(モンハン)とコレボレーションして開催している。1階に展示している鼉太鼓前には所狭しと展示会グッツが並んでいたが、展示会に合わせたオリジナルモンハングッツも作られていた。モンハンを…

黑韋威矢筈札胴丸 春日大社

春日大社国宝殿を開催中の大鎧展では国宝以外でも気になる展示があった。7月19日から21日の3連休と8月28日~9月7日だけ公開される奈良県川上村所蔵の縹糸威筋兜(自天王御遺品)である。村外での展示は初めてで、年に一度だけ朝拝式で開扉される…

小桜韋黄返威鎧 嚴島神社

小桜韋黄返威鎧は細かい部分でデザイン性が高い。鎧の小札をつなぎ合わすための紐や革が特によい。鹿のなめし革に小桜の模様を染め上げ、さらに黄色を重ねて染めたものを使用。つなぎ合わすためのアイテムにくっきりと意匠が加わることでおしゃれな出来栄え…

国宝拝観者たちの夢、千件越えをいつの間にか達成した。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標が完結した。 次の1100件は果てしなく遠いので、1050件を一区切りにしよう。