国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

観た

太刀 銘正恒 文化庁

京都のイメージは平安時代の雅な雰囲気で、京博の展示でも煌びやかなものの展示がよくある。今回も円山応挙の企画展示があり、目の保養になった。東博で開催されたやまと絵の豪華さをぜひ京博視点で企画してほしい。 さて、国宝は備前・備中・備後の名刀の企…

金銅藤原道長経筒 金峯山経塚出土 金峯神社

京博では新春の企画展の後半戦が始まっていた。毎年恒例となりつつある雛人形の展示は旧家からの寄贈品が並ぶ雅な空間となっている。 3階で開催されている平安時代人の祈り―経塚と経筒―では展示替えが行われ、新たな国宝が展示されていた。金銅藤原道長経筒…

観音堂 孝恩寺

孝恩寺は大阪府の泉南の貝塚市ある。水間鉄道に乗って、終着駅の水間観音駅を降りて歩いてニ十分ぐらい行った住宅街にある。 道中、駅名にもなる水間寺を横切る。天台宗の別格本山の地位が示す通り、かなり立派なお堂や三重塔のある格式高いお寺である。そこ…

十便十宜図のうち 課農便・宜夏 池大雅・与謝蕪村筆 川端康成記念会

出光美術館が入る帝劇ビルが建て替え、再開発されることとなった。美術館は2025年をめどに一時休館となる。2024年春から秋にかけて、「出光美術館の軌跡 ここから、さきへ」と題して、同館所蔵の名品たちが惜しげもなく展示される予定だ。 その前に、202…

金光明最勝王経金字宝塔曼荼羅図 大長寿院

東博の国宝室では金光明最勝王経金字宝塔曼荼羅図の第一幀・第四幀が掲げれれていた。遠くから見ると宝塔の絵だが、その絵がすべて文字によって構成されている。しかもそれが経典の写経となっているからビックリする。これをまじまじと見ていると六波羅蜜寺…

楼閣山水図屏風 池大雅筆 東京国立博物館

池大雅生誕300年を記念した展示会が出光美術館で行われていた。開催から15日間だけだが東博所有の国宝・楼閣山水図屏風を展示していたので、見に行った。 2018年春の京博特別展で天衣無縫の旅の画家として池大雅をピックアップした展示会を開催した。この…

金銅迦陵頻伽文華鬘 中尊寺金色院

模造品です。 文化財の複製プロジェクトが特別展に合わせて公開される機会が目立つようになってきた。キヤノンの綴プロジェクトでは未来へ文化財を継承ため、撮影技術を活かして絵画分野の複製に力を入れている。劣化したものを再現する複製もあり、東大寺ミ…

紺紙金銀字一切経(中尊寺経) 中尊寺大長寿院

東博で開催されている中尊寺金色堂展は入り口からド派手な映像美が楽しめる。 入ってすぐに巨大スクリーンを建てて金色堂の映像を流していた。この映像が単なる動画ではなく、NHKが撮影して三次元に落とし込んだものを再構築した8Kデータ画像で、PR番組…

阿弥陀三尊像 地蔵菩薩立像 二天像 中尊寺金色院

昨年5月に訪れた平泉にある中尊寺。震災以前に訪問したことがあったが、その時は国宝に興味がなく、改めての訪問だった。観光客はそれほど多くなく、ゆったりと拝観することが出来た。もちろん、金色堂も参拝したが、お堂全体をガラス張りで囲う展示方式で…

蔦蒔絵唐櫃 厳島神社

本阿弥光悦の大宇宙と題して展示会だが、光悦という特異点は本阿弥家の下地(鑑定士としての基礎に加えて教養やネットワーク)があって形成できたことが分かる。この特異点で類稀なるプロデュース力を活かして形に変えることが出来たのが天才なのだろう。 天…

短刀 銘備州長船住長重甲戌

本阿彌家は今はどうなっているか。現在まで脈々と続いており共に人間国宝に認定された本阿彌日洲・光洲親子は刀剣研磨の分野の第一人者となっている。なので、美術館や博物館、寺社などで保管されている価値の高い文化財(国宝や重要文化財クラス)の刀剣の…

刀 金象嵌銘 城和泉守所持 正宗磨上本阿 東京国立博物館

本阿弥家は代々刀剣の鑑定・研磨・浄拭を家業としてきた。戦の恩賞として土地を与えるのが最も分かりやすいが限りがあるため、褒美として地位や武具を分け与えることがある(のちにその地位や武具も不足してきたため、茶道具も恩賞となった)。おそらく、褒…

舟橋蒔絵硯箱 本阿弥光悦 東京国立博物館

東博の2024年特別展オープニングを飾ったのが本阿弥光悦の大宇宙展だ。大宇宙の題にかけた斬新なキャッチコピー「始めようか、天才観測。」が話題になっている。キャッチコピーとは対照的に実直な展示内容となっている。 まず、入り口すぐに東博が誇る奇想天…

寝覚物語絵巻 大和文華館

2023年秋の東博で開催されたやまと絵展に感化されてか、各館所有のコレクションだけでやまと絵展を開く企画が目に付く。大和文華館でもやまと絵のこころと題して同館所蔵のやまと絵たちを惜しみなく展示していた。 琳派を代表する作家である尾形光琳の扇面貼…

日光菩薩立像・月光菩薩立像 東大寺

東大寺ミュージアムの中心的な仏像は千手観音立像(重文)であるが、国宝はその脇侍である日光月光菩薩立像である。お松明の後ろにある写真にもある通り、派手さは平安時代に作られた千手観音が勝る。一方で、菩薩像は奈良時代に作られたことで、お顔立ちに…

東大寺金堂鎮壇具 東大寺

奈良博で毎年行われているお水取り展を見に行った。そこで、東大寺ミュージアムで行われている「二月堂ー修二会を支える法会空間ー」を合わせて観覧すると散華がもらえるとの情報をゲットし、久しぶりに東大寺ミュージアムへ入った。 東大寺には度々訪れてい…

四天王寺縁起 四天王寺

四天王寺の中心伽藍は入場にお金がかかる(ただし、縁日である21日、22日は無料で入れる)。そのため、参拝者の多くが参るのは六時堂である。その六時堂が写真のように改修工事に入った。戦後に復興されたお堂でかなりボロボロであったのは参拝した誰しもが…

懸守 松喰鶴文 四天王寺

懸守は平安時代の高貴な身分の女性が懐に忍ばせていたお守り。手のひらサイズの俵型の小物で、中には念持仏が入っている。表装には凝った装飾が施されている。1月17日までは松と鶴がデザインされた松喰鶴文、その後は桜透丸文が展示される。 NHK大河は紫…

扇面法華経冊子 四天王寺

新春恒例の四天王寺の宝物館公開は聖徳太子生誕1450年を記念していた企画であった。国宝では扇面法華経冊子が例年の公開であり、才子訪佳人図が出ていた。光るの君へが今年度の大河ドラマとなっているので、平安貴族が描かれた図柄を展示したのだろう。 …

唐門 豊国神社

京博はたびたび訪れているが、久しぶりに豊国神社を参拝した。京博とは地続きの神社で、京博の西門から出るとすぐであるが今は閉鎖中なので回り道をして行った。 豊臣秀吉の派手好きを体現するような唐門で、豪華な装飾が散りばめられている。正月らしさと言…

金銀鍍宝相華文経箱 延暦寺

2024年の大河ドラマは紫式部を主人公にした平安貴族の物語。国宝を知る前まではなんとなく雅やかな異世界の話と思い込んでいた。しかし、平安時代の延長線上に今がある。それを伝える文化財は山ほどある。知識として歴史の教科書で習った平安時代に造ら…

本殿 八坂神社

2024年はコロナ禍が落ち着いた久々の元旦となった。しかし、能登半島沖での巨大地震が起き、自然の恐ろしさを改めて思い知らされた。 ハレの日を感じるべく出向いたのは八坂神社。境内には沿道に所狭しと屋台が並ぶ。から揚げなどを揚げて酸化した油のに…

一字蓮台法華経 龍興寺

2023-24にまたがる奈良博の名品展は西新館のみの展示となっている。そして、新たに修理された文化財の展示が年末年始の短期間のみとなっていた。せっかく修理されたのだから、もう少し長めの展示があってもよさそうだが、借り物がほとんどのため難しいのだろ…

経蔵(写真手前)・宝蔵(写真奥) 唐招提寺

校倉造り。中学校の時に習った建物様式で、木材を組み合わせて湿気の調節ができる仕組みに仕上げ、お宝保存に最適な建物と習った。高床式にすることで、ネズミなどの侵入を防ぐ。正倉院が代表例であるが、唐招提寺にもある。 金堂や講堂に目がいく中で、国宝…

金堂 唐招提寺

ユネスコ世界遺産「古都奈良の文化財」登録25周年を記念して発売されている6寺社共通拝観券で、これまで春日大社、興福寺、東大寺、元興寺、薬師寺と行った。残るは唐招提寺だけだった。 薬師寺には修学旅行生が来て賑やかな雰囲気があったが、唐招提寺は…

2023年を振り返って

2023年も多くの国宝を観た。今年は親鸞聖人生誕850年であったころから、浄土真宗系の一大生誕展示会が行われた。京博では各派の寺宝をこれでもかと展示。なかでも、教行信証の坂東本、高田本、西本願寺本が並ぶ展示は何度でも見比べたくなる贅沢な空間で…

東院堂 薬師寺

東院堂は薬師寺の伽藍で見ると、回廊を挟んで東塔とは真向かいに位置し、回廊の外側に立地している。そのため、かなり目立ちにく場所にあり、導線的にも東院堂を目指して行かないと見逃してしまう。 国宝の東院堂は養老年間(717~724)に吉備内親王が元明天…

東塔 薬師寺

薬師寺と言えば修学旅行生のイメージが強い。コロナ前は広い伽藍内に整列して歩く学生の姿をよく見かけた。コロナでどうなるかと思っていたが、悪ふざけをする学生姿が戻ってきていた。 戻ってきたのは学生だけではない。東塔の落慶式を終え、特別公開を見に…

極楽坊禅室 元興寺

元興寺の本堂の裏に続く形で禅室が建っている。公開されておらず、本堂に比べてひっそりしている。もとは僧坊でここで僧侶たちが寝起きしていた。若き日の空海が大志を抱いて奈良で勉学に励んでいた場所とされ、首都が平安京へ遷った後、紆余曲折の末に真言…

五重小塔 元興寺

元興寺の寺宝は本堂を正面に左手にある法輪館で展示している。行った日は秋の特別公開をしていて重要文化財の智光曼荼羅図を2階で見ることが出来た。年代物だけあってかなり色あせて見難い部分が多かったが、全体はしっかりと残っていた。曼荼羅図はごちゃ…

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。