2024-01-01から1ヶ月間の記事一覧
2021年冬に岡山県立美術館で開催された雪舟と玉堂展では7点の国宝が出品されていた。その内の5点は雪舟の作品であった。雪舟の国宝は6点ある。出ていなかったのは天橋立図である。 京博所蔵のため、その年の夏にあった京の国宝へ出品されていたので競…
雪舟は長さ16メートルの巻物に四季の変化に富んだ山水画を書いた。 2023年の春に開催された重要文化財の秘密で出ていた40メートルもの長さの巻物に描かれた横山大観の生々流転を初めて見た瞬間に、四季山水図巻を思い出した。長尺の絵巻物のトリッキ…
これも山水図と同じく、賛が見どころ。禅僧6名が賛を書いている文字だらけの掛け軸になっているが、その下に雪舟本人が賛をしたためている。まさに自画自賛の作品。内容も雪舟自らの経歴を書くという、雪舟好きにはたまらない。修行を終えた弟子に宛てた作…
この作品の見どころは賛の部分だ。賛とは描かれた絵に関して詩歌や文章を画面の中に記すことである。山水図では牧松周省と了庵桂悟が賛を書いているが、了庵桂悟の賛に雪舟逝と記されている。この賛を書いたのが1507年で、画賛は没後に間を置かずに書くこと…
4月13日~5月26日の期間、京都国立博物館で「雪舟伝説」と題した展示会が開催される。雪舟作品で国宝指定を受けている6点すべてが公開されると発表され、展示リストの一部も公開され、今から楽しみな展示会である。東博のやまと絵展が煌びやかで華や…
真言宗で最も重要な儀式のひとつである後七日御修法は教王護国寺(東寺)の灌頂院にて1月8日~14日まで行われる。鎌倉以降に拡大した仏教宗派が個人の帰依(ミクロ的な大衆仏教)に対する教えを説くのに対して、真言宗は(マクロ的な)国全体を護るため…
四天王寺の中心伽藍は入場にお金がかかる(ただし、縁日である21日、22日は無料で入れる)。そのため、参拝者の多くが参るのは六時堂である。その六時堂が写真のように改修工事に入った。戦後に復興されたお堂でかなりボロボロであったのは参拝した誰しもが…
懸守は平安時代の高貴な身分の女性が懐に忍ばせていたお守り。手のひらサイズの俵型の小物で、中には念持仏が入っている。表装には凝った装飾が施されている。1月17日までは松と鶴がデザインされた松喰鶴文、その後は桜透丸文が展示される。 NHK大河は紫…
新春恒例の四天王寺の宝物館公開は聖徳太子生誕1450年を記念していた企画であった。国宝では扇面法華経冊子が例年の公開であり、才子訪佳人図が出ていた。光るの君へが今年度の大河ドラマとなっているので、平安貴族が描かれた図柄を展示したのだろう。 …
京博はたびたび訪れているが、久しぶりに豊国神社を参拝した。京博とは地続きの神社で、京博の西門から出るとすぐであるが今は閉鎖中なので回り道をして行った。 豊臣秀吉の派手好きを体現するような唐門で、豪華な装飾が散りばめられている。正月らしさと言…
2024年の大河ドラマは紫式部を主人公にした平安貴族の物語。国宝を知る前まではなんとなく雅やかな異世界の話と思い込んでいた。しかし、平安時代の延長線上に今がある。それを伝える文化財は山ほどある。知識として歴史の教科書で習った平安時代に造ら…
2024年はコロナ禍が落ち着いた久々の元旦となった。しかし、能登半島沖での巨大地震が起き、自然の恐ろしさを改めて思い知らされた。 ハレの日を感じるべく出向いたのは八坂神社。境内には沿道に所狭しと屋台が並ぶ。から揚げなどを揚げて酸化した油のに…
2023-24にまたがる奈良博の名品展は西新館のみの展示となっている。そして、新たに修理された文化財の展示が年末年始の短期間のみとなっていた。せっかく修理されたのだから、もう少し長めの展示があってもよさそうだが、借り物がほとんどのため難しいのだろ…
校倉造り。中学校の時に習った建物様式で、木材を組み合わせて湿気の調節ができる仕組みに仕上げ、お宝保存に最適な建物と習った。高床式にすることで、ネズミなどの侵入を防ぐ。正倉院が代表例であるが、唐招提寺にもある。 金堂や講堂に目がいく中で、国宝…
ユネスコ世界遺産「古都奈良の文化財」登録25周年を記念して発売されている6寺社共通拝観券で、これまで春日大社、興福寺、東大寺、元興寺、薬師寺と行った。残るは唐招提寺だけだった。 薬師寺には修学旅行生が来て賑やかな雰囲気があったが、唐招提寺は…