国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

【きもの】黄地窠霰模様二陪織物 鶴岡八幡宮

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東博で2020年春に企画されていたきもの展。きものには全く興味がなく、夏に開催予定の鳥獣戯画展を楽しみに、完全スルーを決め込んでいた。コロナ禍により、開催期間中のほとんどが緊急事態宣言に重なり、きもの展は中止・延期なのだろうと思っていた。しかし、延期になったのは鳥獣戯画展の方で、きもの展は見事?スライド開催となった。

スライドされるだけの展示会なので、興味を少し持ったなかでの、SNSでの評判良さと、もともと夏に東博へ行くことを予定していたのだから、この際、だまされたと思ってきもの展を観に行くことにした。

まず、東博への入場はすべて事前予約が必要となった。予約はWEBを使えば簡単で、予約後に表示されるQRコードが付いた画面をスクショしておくだけでOK。特別展は入場時間までは待機。入場は時間前でも可能なので、その間に常設展を見て時間を潰す。予約時間が近づき平成館へ。すでに列ができており入場までは少し時間が掛かった。特別展への入場にQRコードを使うのかと思いきや、チケットが手元にあったので目視で済んだので拍子抜けした。

さて、きもの展のいの一番に、国宝の染織物が登場。訪問したのが後半だったので 鶴岡八幡宮の黄地窠霰模様二陪織物が寝かせて展示されていた。他のほとんどはきものは立てて展示だったが、古くて貴重な国宝文化財はさすがに生地に負担の少ない形での展示だった。染め物の国宝は仏教関連のかなり古いものや、琉球王家に伝わる派手なものがある。鶴岡八幡宮の国宝織物は実用的な(といっても超高級)ものが奉納されているので、派手さや宗教感はない。身分の高い人が羽織っていたものだそうで鎌倉時代の流行の最先端が分かる逸品である。

さて、国宝が入り口の近くに展示されているので、人だかりが出来てしまい、陳列としてはどうかと思ったが、なぜこの位置になったかは見進めていくうちに理解できる。展示はほぼ時系列に進み、きものが華やかな最盛の期間は男女や貴族・武士などの職種で分けていた。そして、評価が高かった理由は現代ゾーンの圧倒的な華やかさとボリューム感。近くの西洋国立美術館で開催されているロンドンナショナルギャラリーが61点しかない(これでも素晴らしいものばかりで厳選して来日しているので比較すべきでないがあえて)のに対して、294点!!も展示されている。後半に進めば進むほどこれでもかときものが陳列。第二会場は差し詰め東博IN御見立会、もしくはきものランウェイと化していた。アートとしてのKIMONOのポテンシャルの高さが存分に味わえる展示会は満足の一言である。海外からの観光客が観れば、さぞ驚いたことだろう。この展示会をパッケージにして、海外巡業(日本文化を広める)は大いに可能だと思う。中抜きされる無駄な補助金をばらまくよりも有意義な政策かもしれない。(東博が企画料収入を得る仕組みができれば、ほかの美術館や博物館でも企画コンペが活性化され、海外を視野に入れたパッケージ巡回展が旺盛になるかもしれない)

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きもの展示数、どんだけ~

 

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。