書跡
三重にある専修寺は多くの国宝を抱える。2017年に御影堂と如来堂が国宝指定を受けた。内装は金箔で華やかに装飾された絢爛豪華な仕様。建立は御影堂が1666年、如来堂が1748年と来歴もはっきりしていることから評価された。建物は現地へ行かない…
JR紀勢本線の亀山駅から二つ目の駅、一身田駅から歩いてすぐにあるのが、真宗高田派総本山の専修寺がある。浄土真宗は親鸞の子孫の世襲をもって門主(門首)としているのに対して、高田派は親鸞の教えのみに帰依する。 その核となるの寺宝の一つが西方指南抄…
親鸞の若き日の直筆。浄土三部経の一つ観無量寿経を書写して、朱筆で注釈を加えている。45歳前後の執筆物とされる。作家の井上靖はこれを親鸞聖人誕生800年の記念展で見て感動したそうだ。 浄土三部経は大無量寿経と阿弥陀経、観無量寿経があり、どれも親…
2023年は親鸞聖人が 誕生して850年の年となる。親鸞は日本最多級の信徒を抱える浄土真宗の開祖で、当時としては、いや今の時代でも長寿とされる90歳まで生きた。その生涯と教えを紹介する展示会・親鸞 生涯と名宝が京都国立博物館で3月25日から5月21…
冬の福井市へ行くことになった。今年は大雪が何度もあったようだが、そこは雪国、融雪装置が十二分に機能しており、市内の交通網はスムーズに動いていた。 福井市内の国宝を観るべく、永平寺へ行った。こちらでも残雪は大量に残っているものの、道路状態は水…
金峯山寺仁王門の金剛力士立像がなら仏像館に安置されて2年になる。時が経つは早い。何度となく訪れているが、観るたびに力をもらっている。仁王門の修理完了(令和10年予定)まで観ることができるそうだが、これからもパワーをもらいに訪れたい。 さて、…
昨年11月に答申があった国宝・重要文化財(美術工芸品)の指定等の対象物を展示する企画展が東博で開催された。コロナ前までは4月下旬からゴールデンウィークにかけて開催だったが、コロナで答申の時期が変わった関係からか真冬の開催となっている。 さて…
台東区立書道博物館は東博からも近い鶯谷駅が最寄りである。線路沿いにはラブホテルが並び、文化的な施設に訪れる目的で歩いていても後ろめたい気持ちになる。 書道博物館と東京国立博物館はご近所ということもあり、同一の企画内容で連携して展示会開催して…
京都国立博物館は毎年新年恒例の干支の動物にまつわる美術展を平成館2階で開催していた。うさぎ年なので、可愛らしいものを期待していたがリアルなうさぎが多かった。昔から月に兎が定番で、掛け軸に描かれているものが展示されていた。置物や十二神将の兎…
数多ある大学で仏教系やキリスト教系はよく目にするが神道系はあまりない。明治政府が国家神道を推奨していたにもかかわらずである。具体的には2校しかなく、三重県伊勢市の皇學館大学と渋谷区にある國學院大學だけである。 渋谷区にある國學院大學の校舎地…
東京国立博物館開館150周年特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」は大好評につき、会期を1週間延長して、12月18日までの開催となった。会期延長に伴い、展示品は特別編成での公開となる。 特別編成の理由として、傷みやすい絵画などは公開日数に規…
東博150周年記念展の第二会場の刀剣の間は入れ替えなしの全期間展示だったので、入れ替えがあった国宝は第一会場にしかない。 漆工部門はすべて入れ替わった。片輪車蒔絵螺鈿手箱と八橋蒔絵螺鈿硯箱は三井記念美術館で開催していた大蒔絵展から続けて展示さ…
書の部屋では、書跡で人気ナンバー1の古今和歌集のみが全期間で展示されていた。その他はすべて入れ替わっていた。その中には京都帰りの圓悟克勤墨跡・印可状と虚堂痴愚墨跡法語もあった。 現存する最古の古琴の楽譜である碣石調幽蘭第五も後期のみの出品。…
新選組展で賑わう京都文化博物館では常設展で陽明文庫の名宝12を開催していた。新選組は見ずに陽明文庫だけを見に行ったが、ガラガラだったのが残念だった。 陽明文庫は五摂家の筆頭にあたる近衛家に伝来した史料を保存するために創られた。近衛家の遠祖にあ…
大徳寺から北大路バスタターミナルまでの便は頻繁に出ている。北大路駅すぐには大谷大学があり、博物館では仏法東帰というテーマで展示会を行っていた。 大学の博物館は独立した建物として大々的に構えるものも増えているが、大谷大学は構内の施設内に置いて…
欧陽文忠公集は欧陽脩の一連の作品を南宋の周必大がまとめたもの。欧陽脩は唐宋八大家の一人に数えられ、同じく唐宋八大家の一人である蘇軾を見出した。 天理大学付属図書館が所有する欧陽文忠公集は歴史的な発見につながった。欧陽文忠公集の初期刷りは天理…
中国の古典書と言えば漢詩で、学生時代に悪戦苦闘した苦い記憶しかない。唐時代から科挙に受かれば官吏となれるようになった。そこで、官吏としての優秀さは仕事ができるだけでなく、嗜みとして遊興も一流が求められるようになった。官僚文人として書画や音…
大学で国宝を所有しているところはそれほど多くない。東京大学が島津家文書、早稲田大学はつい最近公開があった礼記子本疏義と玉篇、東京芸術大学にも絵因果経と観世音寺資材帳、慶應義塾大学の秋草文壺は東博で頻繁に展示されている。地方では東北大学が類…
東寺宝物館の2022年秋の特別展示会のテーマは大河ドラマに引っかけた「鎌倉時代の東寺– 弘法大師信仰の成立 –」であった。鎌倉と京を結ぶ糸が大師信仰にあるというより、後嵯峨天皇の政治に対する執着があればこそ、大師に結び付いたと思える。 鎌倉幕府…
世田谷にある静嘉堂文庫美術館の品々が東京駅からほど近い場所で観ることがようになった。場所は丸の内の明治生命館で、その名も静嘉堂@丸の内。三菱1号館美術館は道路を挟んですぐの区画にあり、三菱系美術館のコラボ企画が期待できそうだ。 さて、丸の内…
NHKでは「東京国立博物館のすべて」に合わせた番組が矢継ぎ早に放送されている。BSプレミアムでの開幕直前の会場での内覧生中継を皮切りに、英雄たちの選択、歴史探偵、日曜美術館と切り口を変えて紹介した。そして今後は、チコちゃんに叱られる!で取り上げ…
東博の150周年記念展示会とほぼ同時期に、京博では茶の湯展を開催している。千利休の生誕500年を祝う企画で、国宝・重文クラスがこれでもかと展示している。 茶の湯展の前期には150周年記念展を控えている東博所有の国宝が登場していた。虚堂智愚墨蹟の法語…
三重県にある高田本山専修寺の宝物館の改修工事がもうすぐ終わる。そして、2023年は親鸞聖人生誕850年の記念イヤー。すでに京博で2023年3月25日より「親鸞 生涯と名宝(仮)」が開催されると発表があった。専修寺の国宝は公開されるのかとネットサ…
聖武天皇宸筆の伝承があるもので、1行12字前後の堂々とした大字で書写されているものを大聖武と呼ぶ。大聖武は手鏡の最初に貼るものとして、日本の書で最重要とされる。紙が貴重な時代に、大きな文字で書けること自体が高貴にほかならない。のちの禅宗の扁額…
近衛家に伝来した十巻本歌合の一部で、その巻第四に含まれているので「十巻本」とも呼ばれる。歌合せは左右1首ずつ組み合わせた短歌の優劣を競う行事。宇多天皇の代に皇太后が主催した歌合せ計200首からなる。 レア★☆☆観たい★☆☆コラボ★☆☆ 公開期間:後期 emu…
平安時代中期に律令の施行細則をまとめた法典が延喜式である。全50巻からなるが、古写本は27巻分が現存し、1巻を除く残りすべては平安時代後期に書写された現存最古の写本が国宝となっている。九条家に伝わってきたことから九条家本という。 レア★☆☆観たい★☆…
琵琶湖の北の方に浮かぶ竹生島に奉納された経典。もとは法華経8巻がそろっていたと思われるが、現存するのは、方便品の1巻と、宝厳寺に残る折本仕立ての序品の1帖だけけ。湖に囲まれた島への奉納のため、上質な紙に文様を描いた上に写経されている。 レア★☆☆…
円珍は死後36年目の延長5(927)年に、醍醐天皇から法印大和尚位と智証大師(ちしょうだいしの諡を贈られた。この時の勅書が国宝で、執筆者が三蹟として知られる小野道風ということで、二重の意味で希少性が高い。 レア★☆☆観たい★☆☆コラボ★☆☆ 公開期間:前期…
円珍が入唐する前後の関係資料が国宝となっている。8巻あり、自筆の書状のほか、円珍の経歴を示すもの、唐への出発にあたって発行された証明書などがある。日本の僧が大陸に渡った記録としても貴重だが、円珍の書き残した書としても歴史的に価値が高い。 レ…
高野山霊宝館開館100周年だった昨年、年間パスポートを購入して期ごとに楽しむことが出来た。周年展示が終わり、足が遠のく中、パスポートの期限切れを前に霊宝館を訪れた。 展示は鎌倉時代の高野山と題して、NHK大河ドラマに合わせた展示内容となっていた。…