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【三井15周年】雪松図屏風 円山応挙筆

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円山応挙の雪松図屏風の特別展は三井記念美術館の冬の名物となった。今回は15周年記念ということで真夏に公開。館内はエアコンが利いていて涼しいが、雪松を眺めると一段と涼しさが増す思いがする。

三井家がパトロンとして円山応挙を支援したので様々な作品を所有している。展示はいつもの場所、展示室4の奥正面。ちょうど屏風が入る大きさで、部屋を作る際に展示室の入り口から観ると屏風全体が見渡せるベストな配置となっている。松は3本で右から老木、真ん中が成長期、左が若木となっている。老木は右隻にあり、はみ出すぐらいダイナミックに描かれており、老いてなお盛んを体現した表現となっている。左隻は薄墨の若い木と、対比するかのように屏風から溢れ出さんばかりの勢いのある成長期の松が描かれている。

この松雪図を観ると古今亭志ん朝の出囃子・老松が脳裏に流れる。左隻の松がCDにも残る若いころからの志ん朝のうまさと平成に入ってからの円熟味に重なり、右隻の大きさが還暦を過ぎて演じられたあろう志ん朝の芸を想像させる。京の至宝であるはずの円山応挙の雪松図屏風が江戸の華を想像させるのは、室町の地に構えて15年経ち浸透してきたからかもしれない。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。