国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

慧可断臂図 雪舟等楊筆 

山水画の大家である雪舟だが、人物を中心とした作品でも国宝がある。慧可断臂図は達磨大師に弟子入りを希望していた慧可がその志の度合いを示すため自ら左腕を切り落して入門が許された場面を描いている。

自ら腕を切り落す残酷な場面であるはずなのだが、雪舟の絵ではなぜか悲壮感が全く感じられない。座禅をし続ける達磨の表情も決意を込めた行為の後の慧可も、ともにその表情は禅の境地を達観して無となっている。そのため、激しい自傷行為のはずがなんともユーモラスに見えてくる。周りの風景が山水画で名声を得た雪舟ならではの構図で、人物はあっさりと素早く描くことでメリハリがついていることも効果を生んでいる。

レア ★☆☆

観たい ★★☆

秋冬山水図 雪舟等楊筆

雪舟と玉堂―ふたりの里帰りのもう一人の主役は雪舟である。その中で東博所有の秋冬山水図は2月中のみの期間限定の展示となっている。展示している季節とぴったり合う雰囲気の水墨画である。また、80年以上に渡って行方不明だった倣夏珪山水図が出品される。この夏珪の模倣で鍛錬したことが、国宝の秋冬山水図誕生に繋がっている作品で、比較してみてみたい。

レア ★☆☆

観たい ★☆☆

凍雲篩雪図 浦上玉堂筆

岡山県立美術館で2月10日〜3月14日と短期間ではあるが岡山にゆかりのある国宝画家「雪舟と玉堂―ふたりの里帰り」が開かれる予定だ。国宝7点が出品されるようでぜひ行ってみたい。

浦上玉堂の国宝は凍雲篩雪図。川端康成が愛蔵していたもの。琴士、詩人、書家と多才だった玉堂は、とりわけすぐれていたのが水墨画家で、山水を主にした南画を残している。川端康成は国宝の池大雅与謝蕪村共作の十便十宜図も所有しており、その分野に肩入れしていたのだろう。川端康成記念会所蔵展で各地を巡回していたが凍雲篩雪図は期間限定での展示だったので観ることが出来ていない。ぜひ、見に行きたい。

レア ★☆☆

観たい ★☆☆

特別展 雪舟と玉堂 ――ふたりの里帰り (sanyonews.jp)

鳳凰耳花生 銘万声 和泉市久保惣記念美術館

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 2019年秋に渋谷区立松濤美術館で行われた和泉市久保惣記念美術館の名品展。記念館が所蔵する陶器や日本画が出品され、楽しませてもらった。今度は所蔵館で観たいと思い、現地まで行った。

記念館は新大阪駅よりか関空の方が近い和泉市にある。電車だと泉北高速鉄道に乗ることになるが、この鉄道は駅数に比べて運賃が高いことで知られている。なかもず駅から記念館の最寄り駅・和泉中央駅まで6駅しかないにも関わらず330円かかる。ただ、高速鉄道を謳うだけあり距離が長いので、距離での運賃比較だと相応の価格となるようだ。

駅を降りて記念館行きのバスが出ているが今回は歩いて行ってみる。歩いて30分ぐらいの距離にあり、道中は郊外の住宅地となっていた。起伏に富んだ道中であったが、久保惣と分かる看板が現れたところで変化があった。記念館が現れた場所は下り坂になっていて、見晴らしのとても良い高い場所だった。記念館まで住宅街で、その奥の風景は畑とまたその奥に巨大な物流センターが遠目に見えてた。住宅事情が飽和状態になったバブル期が手前、合従連衡が進んで流通形態が変化した平成が奥に見え、関空に近いこともあり時代の変化が分かりやすく見える場所となっている。

和泉市久保惣記念美術館の看板が見えてから200メートル行ったところに入口があった。入って分かったことだが看板があったあたりは旧館があり、新館ができたので入口が変わったようだ。

新館には古代の青銅器や瓦屋根の文様など古代の品々と、モネ、ルノアールなど印象派の絵画やロダンの彫刻などが常設している。これらは松濤美術館には来ておらず、西洋画も蒐集していたことを初めて知った。新館から旧館までは200メートル。その間にホールや貸し展示会場などあったがコロナのため閉館中だった。整備された日本庭園を見ながら移動できるので歩かされている感覚はない。

旧館では東洋の焼き物展が開催。日本の焼き物は茶道具が多く、アジアのものは工芸品となっていた。その中で一番奥の部屋の真ん中に国宝の鳳凰耳花生・銘万声が鎮座していた。大きなショーケースに1点だけの展示はこれのみ。2020年秋に東博で開催された桃山展示も出品されていたので、とんぼ返りで帰阪したのだろう。東博では出口近くの最後の最後に展示されたが綺羅星の如く集まった国宝・御物群に埋没していた。流石に同館ではナンバーワンの焼き物なので一番目立っていた。解説で鳳凰耳のついた青磁の花瓶は静嘉堂や東洋陶器美術館、陽明文庫なども所蔵していていると書かれており、一堂に集めた展示を観たい。

根本中堂 比叡山

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2020-21年のNHKゆく年くる年のオープニングを飾ったのは比叡山延暦寺だった。2021年6月4日に開祖である伝教大師最澄の1200年大遠忌を迎えるからだろう。比叡山延暦寺を総本山とする天台宗では、記念の展示会の開催を企画している。東博や九博、京博などへ「最澄天台宗のすべて」と題して巡回する予定だ。天台宗が誇る国宝群が展示されることだろうから出品一覧が出るのを待ちたい。(各会場で限定展示品があると全国行脚しないとかも)

さて、国宝建築物の根本中堂が令和の大改修に入り、外観はすべて幕に覆われていた。工事中なので普段は見ることができない場所を見学できる点はよいが、やはり根本中堂は全体が見渡せる風景が一番よい。早く修繕工事を終えて真新しいお堂を見たい。

五智如来坐像 安祥寺

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京都国立博物館は旧館などの建物が重要文化財に指定されている。もちろん修繕しながら今日まで博物館として利用され続けてきているので、文化財修理展のりっぱな展示物とも言える。

修理展開催中の平成館1階中央部にある彫刻展示室のメインを飾る仏像は、各寺院から与って修繕を終えたものを常設で1年以上展示している。以前は金剛寺の本尊が修繕を終えて鎮座されていた。金剛寺の本堂を含む平成の大修理に合わせて調査した結果、2017年に国宝となった縁起のいい場所である。

代わってメインを飾った安祥寺の五智如来坐像は2019年に国宝に指定された。五躰一具が揃って伝わる国内最古の五智如来坐像ということが証明されたため指定替えとなった。国宝彫刻に指定替え続き縁起のいい場所に次に鎮座するのはどの仏像か楽しみである。

 

病草紙 京都国立博物館

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韃靼人狩猟・打毬図屏風(複製)

京博所有の文化財の多くも修理の対象になっている。病草紙はいろいろな病気をグロテスクな表現を交えて描いている。それが今日的にはユーモアに見えてしまうのだがから、いかに現代がすさんだ世の中であるかを感じる。

さて、文化財の本物を長く保存する取り組みも必要だが、文化財をもっと活用するための複製事業も広まっている。キヤノンの綴プロジェクトは本物を忠実に再現することで、普通ならばお披露目できない場所でも文化財の複製なので公開することができる。

キヤノン:綴プロジェクト (global.canon)

京博でも1階のオープンスペースに韃靼人狩猟・打毬図屏風と四季山水図屏風が展示されていた。もちろん展示ケースもない野ざらし状態。自治体が設立運営している博物館の中には複製品を丁寧に陳列しているため、本物か複製品か分からないものがたまにある。複製品は陳列に差をつけてほしい。(特に九博の金印は最初見た時は本物と思い込んでいた)

 

国宝は2017年10月3日~11月26日が会期で無事終了した。 この展示会に出ていない800件以上の品々も見ていきたい。