真言宗で重要な儀式のひとつが御七日御修法である。今年の1月、儀式が終わった後に公開される現場を見に行った。両界曼荼羅を初め、法具や十二天像などが用いられていた。その中心にあったのは五大尊像。正面に五大尊、左右に両界曼荼羅が掲げられていた。2019年にあった東博の東寺展ではその道場を再現していたが、さすがに奈良博で二番煎じの再現はなかった。
真言密教には欠かせないアイテムである五大尊像は、教王護国寺(東寺)から不動明王と大威徳明王の2幅が展示されていた。位置的には東新館の入り口から見て、一番左奥にある両界曼荼羅の近くのショーケースに陳列。見様によっては、この空間だけ御七日御修法の一部を模していると言えなくもない(不動明王が中央、大威徳明王が西を司るので厳密には全く違う)。東寺の五大尊像は西大寺の十二天像に比べて表情が豊かで畏怖を感じる。明王と天の位による違いの対比が鮮明に出ている。
この奇跡の空間が誕生したことから、やってみたいことができた。奈良博の展示位置だと、両界曼荼羅の前に両部大壇具が置かれおり、そこに座して五大尊像を見上げることが出来る空間を作ってほしかった。両界曼荼羅の前で祈祷する僧侶たちが感情をむき出しにする明王たちと対峙する場面の実体験である。さすがに平常時の人が大勢きている最中では行列ができるので、特別鑑賞などプレミアムな特典で企画してほしい。