
東博の東慶館で展示していた複製品
教科書で見た狩野永徳の作品は唐獅子図屏風であった。天皇家が所蔵する御物だったこともあり、現物は見る機会がない永徳作品ぐらいの認識で歴史の授業を受けていた。時代が平成に移り、天皇家から国庫に寄贈された御物が三の丸尚蔵館で公開されるようになるが、それでも見る機会はなかった。大きく変わったのが令和になってから。三の丸尚蔵館の展示室拡張リニューアルと天皇家が所蔵していた文化財の収蔵庫の建て替えなどが始まり、2023年10月には管理運営が宮内庁から国立文化財機構に移管されたこともあり、全国の美術館で三の丸尚蔵館所蔵の品が貸し出し展示されるようになった。
御物という天皇家の持ち物から文化財へと扱いが変わったこともあり、唐獅子図屏風は2021年に国宝指定を受ける。さらには綴るプロジェクトにより高精細な複製品も登場して、現物に近いものがショーケースなしで見ることができるようになった。迫力ある狩野永徳の唐獅子が、小さな教科書の写真ではなく、原寸大で見られる機会が増えた。2026年春に東博の表慶館で伊藤若冲の動植綵絵の複製とともに展示していたが、屏風の表具に至るまでこだわって再現していた。
唐獅子図屏風は幕末まで毛利家が所蔵し、明治に入って天皇家に献上された。右隻は狩野永徳の作だが、左隻は永徳のひ孫にあたる狩野常信によって描かれた。今回の大狩野派展は時代を分けて展示替えがあるが、この六曲一双は作られた時代が第1部と第2部に分かれてしまう。演出として分かれて展示となるとかなりのこだわりだが、今秋に三の丸尚蔵館が再オープンする記念展には出品されそうなので本物の展示がないかもと思うと少し寂しい。(本物がでないとなるとエントランスで複製品の公開となるだろう)
daikanouha2027.exhibit.jp