国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

【大和文華館】婦女遊楽図屏風 (松浦屏風)

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和文華館のコレクションの歩み展の開催期間が1と2で入れ替わったことで、婦人遊楽図屏風が東京から急いで帰ってくることとなった。

予定していた展示スケジュールではコレクション展Ⅰが終わった後、東博のきもの展に出展する運びだった。それが、きもの展は後ろ倒しで開催期間を延長、コレクション展はⅡが終わった後の開催となったため、東博での展示は1週間となり、とんぼ返りで奈良へ戻ってきた。もともとの展示予定日を過ぎての貸し出し展示なので東博で見た人は幸運かもしれない。

東京からお帰りになった婦人遊楽図屏風は等身大に近いぐらいの大きさで人物が描かれており、当時の流行であろう派手な衣装を着て描かれている。絵画や絵巻物がファッション雑誌とするならば、屏風は等身大のポスターといったところかもしれない。

【大和文華館】寝覚物語絵巻

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近畿・東海地方以外の人は球団経営として名前を知っている人が多いであろう近鉄。球団経営から身を引いて早16年が経った。中学生以下は近鉄いてまえ打線は過去の映像としてのみ知る時代となった。

さて、近鉄近畿日本鉄道の略称で、近畿の冠がついてはいるが伊勢志摩や名古屋まで伸びる私鉄では日本一の路線網を誇る鉄道会社である。そんな、近鉄創立50周年記念に誕生したのが大和文華館である。近鉄学園前駅から歩いて数分(信号が長い)の好立地にあり、東洋美術の名品を数多く所有、国宝は実に4点も持っている。今年が開館60周年のメモリアルイヤーにあたり、大和文華館のコレクションを惜しげもなく展示する「コレクションの歩み展」を企画していた。

Ⅰ期、Ⅱ期と順序立てて企画されていたコレクションの歩みだが、Ⅰ期はコロナ禍の中で休館を余儀なくされ、Ⅱ期からの開催となった。国宝はⅠ期に集中していたことから幻の大和文華館国宝展となるかと思ったが、順序を入れ替えて開催する運びとなった。一部の作品は開催時期に貸し出しが決まっていたことから複製品の展示となっていたが、国宝はすべて実物の展示となった。

寝覚物語絵巻は平安時代の物語で更級日記の作者である菅原孝標女の作といわれる。物語がすべて残っていないこともあり、大和文華館が所有する絵巻物はストーリーを補う役割もあり、国宝となっている。実業家で茶人の原三渓の旧蔵品。傷みが激しいのが残念だが、金銀や色などは残っており作成当時は豪華だった雰囲気が想像できる。

金堂 仁和寺

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国宝の旅で仁和寺を訪れて金堂を見逃すわけにはいかない。

仁和寺を訪れてる機会は金堂の特別公開の時期と重なることが多く、結構人が多いためシャッターチャンスがなかった。今回はコロナの影響もあって人がほとんどおらず、綺麗に金堂を写すことができた。

もとものは紫宸殿だったものを江戸時代初期に移設。ほかの寺院では見られないちょっとした部分に金細工が施されるなど豪華さを兼ね備えている。仁和寺でも一番高い位置にあり、寺院の要となっている。

御室相承記 仁和寺

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仁和寺霊宝館の名宝展での出品国宝では御室相承記も展示してあった。

仁和寺に住持された寛平法皇以来の歴代の門跡の記録で、鎌倉初期に出来上がったものだ。経典のような整然とした文字が書かれているのではなく、あくまでも歴史を残すために書かれたものなので、他の名宝に比べて生々しさがある。

前期に訪れたため、国宝の高倉天皇宸翰消息(後期展示)の附けたしの守覚法親王消息が展示されているなど、いつもより気合の入った展示内容となっていた。秋の三十帖冊子展も期待できそうだ。

阿弥陀如来坐像 仁和寺

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仁和寺の霊宝館と言えば仁和寺初代の阿弥陀如来坐像を見ずして帰れない。2代目が金堂に祀られてからご隠居となり、こちらに移った阿弥陀如来像。毎日の御勤めを眼前で見続けるには文化財的に耐えられないこともあり移られたが、輝きはまだまだ健在。

霊宝館の入り口から反対側にいつも鎮座している阿弥陀如来坐像。仁和4年(888年)の創建当時から仁和寺を見守り続けており、現存する最古の阿弥陀如来坐像の彫刻である。ふくよかなお顔立ちと人々のすべてを見通している眼差しは拝顔する度に幸福度が増してくる。仁和寺の公式の御役目は終えられたが、霊宝館で一般に公開されることで、民に寄り添う仏になった。年に数週間の出番となったが新たな役割でも十二分に存在感がある。

医心方 仁和寺

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仁和寺は霊宝館で夏の特別展を開催している。「法親王が誓った 国宝孔雀明王」と題した展示会は国宝の孔雀明王図が出ていると期待していた。しかし、薬師如来坐像がお出ましになっている期間には展示がなく、残念であった。しかし、今回の展示は国宝以外の孔雀明王図が数点展示されていたので、毒を食らう孔雀明王のご利益は頂けたはずだ。

仁和寺の寺宝には神頼みの以外にも国宝の医学書が残っている。医心方は東博も所有する国宝で、平安時代に宮中医官を務めた鍼博士・丹波康頼が撰した、日本に現存する最古の医学書とされる。健康は古今東西、誰しもが気にする。ましてや天皇家についてはまつりごとをする上で最も重要なこととされる。御室と呼ばれる仁和寺ではその健康管理について、心身ともに収集されてきたものが寺宝となっている。拝観者に配られていた覆面(マスク)はまさに古くて新しい健康管理グッツである。平安時代の人々も科学的ではないまでも、病は気からでその出入り口を塞ぐことが効果的だと体感的に理解して普及していたのだろう。

薬師如来坐像 仁和寺

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疫病退散は国家課題で、解決するための原因が分からなかった昔の人は、仏に祈ることしかできなかった。国家鎮守の寺として多くの寺院が建てられているが、仁和寺もその一つである。

タイミングがよかったのか分からないが、2020年の春・夏・秋と、仁和寺の至宝で、国宝彫刻最小の薬師如来座像が期間限定で特別公開される。病魔退散を祈念するにはもっとも相応しいと思い、夏の特別公開を訪れた。

国宝展や仁和寺展で拝見した薬師如来坐像はその小ささもあって結構な人集りできる人気の展示物であった。行列まではできていなかったが、それでも小さな彫刻は間近でみなければ見えない部分が多かった。今回の霊宝館での展示は密を避けるために館内の人数制限をする体制を採っていたので、じっくり見ることができる。ちなみに来館者がそれほど多くないので万全の体制は杞憂に終わっているようだった。

薬師如来本体はもちろん、後背部分の眷属や台座の十二神も細かく彫刻されており、その表面に截金細工による幾何学的な文様をあしらい豪華さを演出していた。さすが、代々の天皇家とかかわりの深い寺院だけある。

そして、独立して展示されている場所でこの時期だからの特別演出があった。コロナ禍の影響を踏まえて、薬師如来の前には祈祷された和紙製の覆面(マスク、写真はアップで写しました)が無料配布されていた。コロナを追い払うには友好的な対策で、薬師如来が見つめているのでありがたさも倍増する。(御殿にも置いてあったので、拝観すればそちらでももらえる)秋の展示はもっと気軽に行けることを期待している。

 

国宝は2017年10月3日~11月26日が会期で無事終了した。 この展示会に出ていない800件以上の品々も見ていきたい。