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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

【大和文華館】寝覚物語絵巻

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近畿・東海地方以外の人は球団経営として名前を知っている人が多いであろう近鉄。球団経営から身を引いて早16年が経った。中学生以下は近鉄いてまえ打線は過去の映像としてのみ知る時代となった。

さて、近鉄近畿日本鉄道の略称で、近畿の冠がついてはいるが伊勢志摩や名古屋まで伸びる私鉄では日本一の路線網を誇る鉄道会社である。そんな、近鉄創立50周年記念に誕生したのが大和文華館である。近鉄学園前駅から歩いて数分(信号が長い)の好立地にあり、東洋美術の名品を数多く所有、国宝は実に4点も持っている。今年が開館60周年のメモリアルイヤーにあたり、大和文華館のコレクションを惜しげもなく展示する「コレクションの歩み展」を企画していた。

Ⅰ期、Ⅱ期と順序立てて企画されていたコレクションの歩みだが、Ⅰ期はコロナ禍の中で休館を余儀なくされ、Ⅱ期からの開催となった。国宝はⅠ期に集中していたことから幻の大和文華館国宝展となるかと思ったが、順序を入れ替えて開催する運びとなった。一部の作品は開催時期に貸し出しが決まっていたことから複製品の展示となっていたが、国宝はすべて実物の展示となった。

寝覚物語絵巻は平安時代の物語で更級日記の作者である菅原孝標女の作といわれる。物語がすべて残っていないこともあり、大和文華館が所有する絵巻物はストーリーを補う役割もあり、国宝となっている。実業家で茶人の原三渓の旧蔵品。傷みが激しいのが残念だが、金銀や色などは残っており作成当時は豪華だった雰囲気が想像できる。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。