国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

中世絵画

両部大経感得図 藤田美術館蔵

両部大経感得図は密教の両界曼荼羅図で知られる大日経と金剛頂経が伝来した場面を描いた図である。もともとは奈良県天理市にあった内山永久寺にあったもので、明治時代に廃寺となって寺から流出した。 大きさ的には屏風ぐらい。寺では須弥壇の建具であったも…

紫式部日記絵詞 藤田美術館蔵

源氏物語の作者である紫式部は、藤原道長の要請で宮中に上がった。その1008年秋から1010年正月までの、宮中の様子を中心に書いた日記と手紙が残っている。それらを絵と詞書に書きあげたものが紫式部日記絵詞である。 藤田美術館蔵のものは1917年まで館林藩秋…

柴門新月図 藤田美術館蔵

リニューアルオープン以来、久々に藤田美術館を訪れた。ITを進めている同館では、電子決済はもちろん解説書もスマホのみで読むことができる仕様となっている。そういえば、美術館によく見るPR用のフライヤーやポスターも見かけなかった。ペーパレスな美術館…

【東博150年】洛中洛外図屏風(舟木本) 岩佐又兵衛筆

東博開館150年を記念した展示会「国宝 東京国立博物館のすべて」の第Ⅳ期に行ってきた。後期なら第Ⅲ期へ行きたかったのが、日時予約が販売を開始した午前中にはほぼ完売となり、行くことが出来なかった。この反省を踏まえて、15日は朝から予約画面を開き…

【東博150年】鷹見泉石像 渡辺華山筆

待ちに待った東京国立博物館150周年記念展示会「国宝 東京国立博物館のすべて」が開幕。テンションマックスにて馳せ参じた。その陰でデジカメの設定確認を忘れてブレブレの写真となった。 入場は時間予約制なのだが、入る時間の指定だけなので昼前の入…

【東博150年】扇面法華経冊子

持ち運びが出来て、実用的、おまけに信心を表現できる。扇面法華経冊子は扇子状の紙に、法華経の一部と美しい日本画が描かれ、奉納されたものだ。巻物状の経典だと長々と写経があり絵は扉絵のみが多い。それが、扇面という限られたスペースにすることで絵画…

【東博150年】破墨山水図 雪舟等楊筆

雪舟の人となりが分かる作品。賛に自身が大陸に渡って本格的に勉強したことや、周文や如拙の水墨画の名人たちの系譜を引き継ぐのは自分だとか、とにかん自慢を書き連ねている。この水墨画は弟子に宛てたもので、この弟子・如水宗淵も持ち帰った道中で京都五…

【東博150年】竹斎読書図 伝周文筆

周文は相国寺の僧侶で、足利将軍家に画家として仕えていた。現在の感覚からすると僧侶が画家というのはなんとなく違和感があるが、そもそも現代ですら画業で生計を立てるのは至難の業。そして、中世ではどれだけ才能があっても見出される機会は多くないので…

【東博150年】秋冬山水図 雪舟等楊筆

雪舟が四季それぞれを山水画で描いた中の秋と冬が東博所蔵となっている。山水画を描く季節としては陽気な春夏よりも、秋冬の方が見応えがある。雪舟らしさを感じるのは冬。断崖絶壁が非現実的な形で描かれており、これぞ雪舟画の真骨頂といった作品である。 …

【河内長野の霊地】日月四季山水図屏風 天野山金剛寺

日月四季山水図屏風は2018年に国宝の指定を受けた。金剛寺の特別公開などでたまに公開している。今回の展示会ではキービジュアルにも使われている。展示品の中で美術的なインパクトは一番ある。 屏風は右から春夏秋冬の山脈のうつろいを表し、春夏は日、秋冬…

花下遊楽図屏風 狩野長信筆 東京国立博物館 

京都の一番よい季節は桜の季節だ。秋の紅葉もよいが、京都の冬は底冷えするため、春になる喜びは一塩であるためだ。また、春は田植えが始まる前で、昔の人たちにとって秋の収穫時期に比べ余裕があった。浮かれまくった世相を屏風で楽しみたい。 レア ★★☆観た…

松に秋草図屏風 長谷川等伯筆 智積院

狩野永徳対長谷川等伯の国宝対決。結構の頻度で共演しているが、等伯は智積院のものが登場。東京なら松林図となるのだろう。 レア ★☆☆ 観たい ★☆☆ 前期 tsumugu.yomiuri.co.jp

花鳥図襖・琴棋書画図襖 狩野永徳筆 聚光院

コロナで開催が遅れに遅れた京の冬の旅で訪れた聚光院に複製画があった。すべて寄託されたので、現地では観ることは困難となった(そもそも聚光院に入るのも困難だが)。一方で寄託されたことで博物館や美術館での展示機会が増えるメリットもある。雰囲気は…

山水図 雪舟筆

個人蔵の雪舟作品の国宝。個人とは言いつつ大原美術館(大原家当主)の理事長が所蔵している。雪舟没後に賛が書かれていることから、作成年で死去したことが確認できる重要な資料となっている。死ぬ間際に描かれたとは思えない作品である。 レア ★☆☆ 観たい …

天橋立図 雪舟筆 京都国立博物館

冬に岡山県立博物館で開催された雪舟と玉堂展では展示されなかった唯一の雪舟の国宝作品が天橋立図である。巨大な鳥観図はじっくり観たくなる作品のひとつ。現在でも使えそうなぐらい精密に描いている部分とデフォルメした部分が混在しているのも見どころの…

竹斎読書図 伝周文筆 東京国立博物館

京都・相国寺の画僧・周文が描いたとされる水墨画。周文は雪舟の師匠と言われており、寺院では周文作と伝わっているものも少なくない。夏珪や馬遠など南宋の画家の影響を受けた作風で、山水画を得意としている。南禅寺の禅僧が所有して6名の僧に賛を書かせ…

柴門新月図 玉畹梵芳等十七僧賛 藤田美術館

作られた年代がはっきりしている中では最古の詩画軸。序文に「応永十二年」(1405年)と書かれている。友へと宛てた寄せ書きで、600年前から風習があったことが分かる。禅僧には詩文の才能が必要だったようで、墨蹟とともに禅文化として楽しみたい作品で…

瓢鮎図 退蔵寺

京都で文化度が一番華やいだ時期は室町時代である。武家政権にはなったが、政治の中心が鎌倉から京へ戻り、緊張感のある様々な対立軸が蠢いた。南北朝や応仁の乱など、戦が行われた一方で、大陸文化を取り入れた東山文化を醸成して文化面では充実したじきで…

山水屏風 京博

なぜ京都が1200年も続く都になれたのか。その一つに嵯峨天皇時代に密教を積極的に受け入れたことがある。南都・奈良に対応する宗教勢力を作ることで、南都北嶺の対立軸を作り、それを仲裁する役割を担うことで貴族政治力が復活したためだ。その密教の儀式に…

風神雷神図屏風 俵屋宗達筆 建仁寺

京と言えば都会。田舎者が憧れる京文化のど真ん中が風神雷神図屏風である。絢爛豪華で他に真似することができない唯一無二の作品である。ただ、最近は琳派が展示会で持て囃されている展示機会が増えているのでレア度は少し下がっている。 レア ★★☆ 観たい ★★…

聚光院障壁画 聚光院

コロナ禍の緊急事態宣言を受けて、延期されていた京の冬の旅がようやく始まった。 本来の京の冬の旅は1月に始まり3月中旬で終わるところが多かったが、延期分を丸まるとまではいかないが4月初旬まで期間を伸ばして公開している。普段は公開していない寺院…

【雪舟と玉堂】四季山水図巻 雪舟等楊

]約16メートルある雪舟作・四季山水図巻。毛利博物館では毎年秋にすべてを開いて見ることができる。そして、岡山県立美術館でも巻物すべてを一気に見ることができた。 展覧会のメインビジュアルに使用されていることもあり、一番人気で見るために長い列が…

【雪舟と玉堂】破墨山水図 雪舟等楊

雪舟と玉堂展に出展している国宝の中で唯一、後期にしか見ることができないのが破墨山水図である。他の作品に比べて絵の上に書かれている賛の数が多い。数えで76歳の時に雪舟が書いた山水図に、京都五山の有名な詩僧6人の題詩が書かれており、雪舟の評価が…

【雪舟と玉堂】慧可断臂図 雪舟等楊

岡山県出身者には多士済々の文人墨客がいる。その中でも際立っているふたりを取り上げた展示会が岡山県立美術館で行われた。ひとりは雪舟、もう一人は浦上玉堂。浦上玉堂については息子の春琴・秋琴作品も多く展示していたので浦上家を取り上げたと言っても…

山水図 雪舟等楊筆

「虎は死して皮を留め 人は死して名を残す」 そして、画家は死して絵を残す。 雪舟筆の国宝・山水図は牧松周省と了庵桂悟による賛が添えられている。牧松が賛を寄せて、雪舟の死後に了庵が賛を加えたことが文面で分かり、その内容から絶筆作品となっている。…

四季山水図(山水長巻) 雪舟等楊筆

毛利博物館で秋に公開される雪舟の四季山水図。同館では16メートルのすべてを一度に見ることができる展示スペースを備えている。岡山県立美術館では一度に見せるのか、それとも期間で巻き直しによる展示にするのか、気になるところだ。 レア★☆☆ 観たい★☆☆

慧可断臂図 雪舟等楊筆 

山水画の大家である雪舟だが、人物を中心とした作品でも国宝がある。慧可断臂図は達磨大師に弟子入りを希望していた慧可がその志の度合いを示すため自ら左腕を切り落して入門が許された場面を描いている。 自ら腕を切り落す残酷な場面であるはずなのだが、雪…

秋冬山水図 雪舟等楊筆

雪舟と玉堂―ふたりの里帰りのもう一人の主役は雪舟である。その中で東博所有の秋冬山水図は2月中のみの期間限定の展示となっている。展示している季節とぴったり合う雰囲気の水墨画である。また、80年以上に渡って行方不明だった倣夏珪山水図が出品される。…

【源氏物語】源氏物語絵巻 橋姫

五島美術館での源氏物語展が延期になったことから、徳川美術館では「読み継がれた源氏物語」で橋姫を公開。五島の紫式部日記絵巻とともに夢の競演を果たした。 徳川美術館の展示で大々的にPRしていたのは絵巻物よりも初音の調度の修理後初公開だった。三代将…

【平安の書画】源氏物語絵巻 五島美術館

根津美術館の庭園も素晴らしいが、五島美術館の庭園も見る価値がある。多摩川流域の縁に造られた日本庭園は勾配がきつく、根津のような平面的な庭園とは趣が全く違う。庭園を構成する木々はツツジ、枝垂桜など、季節ごとに花を咲かせるが、上から下からと立…

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。