国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

2020-01-01から1年間の記事一覧

コロナ元年の国宝を振り返りつつ展望する

2020年を振り返ると東京オリンピック一色になるはずだったが、一転してコロナ一色となった。 年明け早々に中国・武漢で発生した感染症。渡航規制のないまま、楽観的な対応で春節による観光客の受け入れで北海道がパンデミック状態に陥り、全国の施設で自主閉…

阿弥陀三尊および童子像 法華寺

阿弥陀三尊および童子像は法華寺の収蔵庫でも見たことがある。ただ、よい照明と距離を空けてじっくり見られるという点では奈良博は最高の環境である。 この仏画は三幅でワンセットで、大きさがバラバラ。阿弥陀様が大きく描かれているのは分かるとして、左の…

倶舎曼荼羅 東大寺

おん祭り展は展示総数45件とこじんまりとした陳列のため東新館で完結した。西新館では新たに修理された文化財がお披露目されていた。昨年から続く修理された文化財の公開展ムーブメントは一つのカテゴリーになりつつある。 公共事業予算が年々先細る中で、文…

若宮御料古神宝類のうち銀鶴 春日大社

奈良国立博物館では毎年恒例のおん祭展が開催されている。おん祭は五穀豊穣、万民安楽を祈り大和一を挙げて盛大に執り行われてきた行事で、870年余りにわたり途切れることなく続いている国指定重要無形民俗文化財である。その信仰に関わる文化財を披露する展…

2020-21年 年末年始の国宝TV番組

コロナ感染が落ち着かない中で、不要不急の外出を控えると、どうしてもTVばかり見てしまう。そこで、年末年始の国宝関連番組をピックアップしてみた。(ほかにもいろいろあるのかもしれないが目に着いた番組のみです) ◎京都ぶらり歴史探訪は歌舞伎俳優の…

俊乗坊重源上人坐像

働き者の俊乗坊重源上人は今年も12月16日の御開帳があった。同上人は7月5日にも公開があり、展示会があれば地方遠征にも度々連れ回されている像である。 しわだらけのよぼよぼのお爺さんに見える坐像だが、全身からは力強さがにじみ出てオーラを感じる。平家…

良弁僧正坐像

東大寺法華堂で執金剛神立像を観たならば、道を挟んで向いにある四月堂の隣にある開山堂も参拝しておきたい。 開山堂は法華堂(三月堂)と違い普段は開いておらず、12月16日にしか一般に開かれない。開山堂には東大寺初代別当の良弁僧正像が祀られている。東…

執金剛神立像 東大寺

12月16日、東大寺の秘仏特別公開が例年通り行われた。 ただし、コロナ対策を採った上での開催だった。 法華堂(三月堂)の執金剛神立像はいつもの通り、本尊の不空羂索観音立像の真後ろにある厨子を開放して拝観する形だった。ただし、入場までがいつもと違…

無銘正宗 名物日向正宗 三井記念美術館

ついに三井でも刀剣展が開催される。開館15周年記念展に国宝で唯一展示がなかった日向正宗が満を持して登場。三井記念美術品が誇る武具、国宝2点、重文7点がすべて公開されるスペシャル刀展となっている。 今回は入館に際して予約制を導入。刀剣女子たちへの…

蓮池水禽図 俵屋宗達筆

ブリヂストン美術館が建物も新たにアーティゾン美術館へと生まれ変わった。コロナ禍でなかなか行けなかったが、俵屋宗達の国宝・蓮池水禽図が出品されるということで、「琳派と印象派」を観に行った。 石橋財団のコレクションの中心は西洋美術画で、ルノアー…

弥勒菩薩半跏思惟像 広隆寺

11月22日、広隆寺では毎年、聖徳太子御火焚祭が開催される。聖徳太子の月命日である同日の午後1時から本堂で法要があり、その後、護摩供養が行われ数万本の護摩木が焚き上げられる。そして本堂も開けられ、聖徳太子33歳像が拝むことができる。 しかし、今年…

【源氏物語】源氏物語絵巻 橋姫

五島美術館での源氏物語展が延期になったことから、徳川美術館では「読み継がれた源氏物語」で橋姫を公開。五島の紫式部日記絵巻とともに夢の競演を果たした。 徳川美術館の展示で大々的にPRしていたのは絵巻物よりも初音の調度の修理後初公開だった。三代将…

【平安の書画】源氏物語絵巻 五島美術館

根津美術館の庭園も素晴らしいが、五島美術館の庭園も見る価値がある。多摩川流域の縁に造られた日本庭園は勾配がきつく、根津のような平面的な庭園とは趣が全く違う。庭園を構成する木々はツツジ、枝垂桜など、季節ごとに花を咲かせるが、上から下からと立…

【根津 国宝・重文】根本百一羯磨

根津美術館は青山の一等地にあり、おしゃれなブティックなどを横目にしつつ美術館へ向かう。そのイメージが強いせいか、同館の展示会と言えば幻想的な東洋絵画や煌びやかな工芸品の企画展の記憶が強く残っている。また、エキゾチックな大陸系の石像や古代の…

【根津 国宝・重文】那智滝図

根津美術館は都心の一等地にあるにも関わらず広めの庭園を備えている。入館者は無料で散策でき、同館が誇る燕子花屏風絵に合わせるように実物のカキツバタを活けていたり、所蔵の茶器や掛け軸などに合った茶室(入室不可)が4棟あったり、観る者を楽しませ…

【根津 国宝・重文】漁村夕照図 牧谿筆

2020年はオリンピックイヤーであったことから、東京の多くの美術館で国宝の展示が企画されていた。しかし、コロナでオリンピックが延期されたことで三菱財閥の至宝たちの展示は来年に持ち越し、一方で三井財閥は開館15周年として記念美術館で今夏に開…

【皇室の名宝】花園天皇像 豪信筆 長福寺

三の丸尚蔵館の名品が集合した京都国立博物館の「皇室の名宝」展の後期にぎりぎり行くことができた。 展示会は予約制となったため、予定が立つまでやきもきしながら予約サイトを見続け、スケジュール調整がついた途端に朝一番の開館すぐの時間で予約した。普…

木造阿弥陀如来及両脇侍坐像 三千院

京都観光で静寂を求めるなら大原の三千院だった。デューク・エイセスの「女ひとり」の歌詞では女性が寂しい旅をする雰囲気と合っていた。ただ、この歌の記憶にある人は昭和生まれ。いまや静けさとは程遠い賑わいのある観光スポットとなっている。 コロナ禍で…

金堂 五重塔 法隆寺

法隆寺と言えばご存じ金堂と五重塔の並列の伽藍配置。写真は大講堂から撮ったバックショット。秋空が澄み渡る景色に紅葉がチラリ。正岡子規もこの風景を見て、柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺と読んだのかもしれない。 horyuji-kondohekiga.jp さて、五重塔と金…

釈迦三尊像 法隆寺

法隆寺の大講堂奥にある上御堂は毎年11月1日~3日の期間のみ特別公開される。今年はコロナ禍で多くの特別公開や特別行事が中止されていたが、上御堂の公開は無事に行われた。 法隆寺の寺院建築の多くは国宝に指定されているが、上御堂は重要文化財(それでも…

法語(破れ虚堂) 虚堂智愚

国宝は日本のものばかりでなく、海外から輸入されたものや贈呈されたものも指定される。海外製で圧倒的に多いのが東洋美術である。漢字文化圏にある日本においては、中国大陸らもたらされた東洋芸術は師となるためだ。 東京国立博物館の本館では主に日本の美…

【粉河寺創建1250年】粉河寺縁起絵巻 粉河寺

西国33ヶ所巡礼地の一つである粉河寺が創建1250年を迎えた。それ記念して「国宝粉河寺縁起と粉河寺の歴史」展が和歌山県立博物館で開催していた。 和歌山城の南側に近代美術館と隣接する形で建っている博物館は非常に新しい施設である。ただ、JRと南海の駅の…

本堂 善水寺

湖南三山の内、一つだけ外れた位置にあるのが善水寺。最寄り駅は甲西駅で、バスはこちらも1時間に1本程度だ。 善水寺の名称通り、清らかな湧水が出ており、本堂の横には簡易な池泉式庭園が作られている。国宝は本堂で木造入母屋造檜皮葺で南北朝時代に建立。…

本堂 長寿寺

常楽寺(西寺)から歩くこと15分。山道ではあるが勾配はあるもののそこまで厳しくなく、車も通る舗装された道をひたすら歩く。道の駅のような作りのじゅらくの里福祉パーク館が見えてくるとすぐそばにお寺はある。 入り口で体温測定(機械に不慣れな方だった…

本堂 三重塔 常楽寺

穏やかな秋である。感染症で市中は騒がしいが、山々は季節の移り変わりを例年通り進めている。 昔から滋賀の湖東三山の寺院巡りは有名で、国宝では西明寺の本堂と三重塔、金剛輪寺の本堂があり、以前に訪れたことがあった。この知名度のある湖東にあやかる形…

【埋忠】太刀 銘助包

昨年は福岡市博物館で開催された「もののふの美の系譜」、一昨年は京都国立博物館で開催された「京のかたな」と、大規模な刀の展示が開催され、観に行くことができた。そして、今年は大阪歴史博物館で開催されている「埋忠」を観に行った。 どの刀展でも同じ…

【天平礼賛】石川年足墓誌 大阪府高槻市真上町出土 個人蔵

大阪市廃止法案、またの名を大阪都構想で二分された大阪市で開催されている美術展、天平礼賛はもっと注目されてもよさそうな展示会である。(ちなみに都になることはこの選挙の賛成多数でもないのに、都構想というのはミスリードでは) あべのハルカスを望む…

春秋経伝集解 藤井斉成会有鄰館

有鄰館は謎の博物館だった。 京都・岡崎の絶好の立地にあり、近くには平安神宮を初め、リニューアルオープンした京セラ京都市美術館や京都近代美術館、細見美術館など芸術好きが集まる場所にある。にもかかわらず、行きたくても開いていないことがほとんどだ…

【下阪本の社寺】六道絵 聖衆来迎寺

NHK大河もいよいよ佳境。普通のドラマならば明智光秀の最後が気になるが、大河は史実を元に描いているので本能寺の変があり、羽柴秀吉に討伐される筋書き。大往生場面は麒麟が去る場面で終わるのだろう。 さて、大河の主役であるに光秀に縁がある大津・下坂…

八橋蒔絵螺鈿硯箱 尾形光琳作

桃山100年があったからこそ誕生した系譜に琳派がある。俵屋宗達の風神雷神図屏風や尾形光琳の紅白梅図屏風、酒井抱一の秋草鶉図、鈴木其一の夏秋渓流図屏風など、現実と非現実の狭間を行く構図に金箔をここぞとばかりに使用して煌びやさを演出し、支援してい…

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。