2017-10-01から1ヶ月間の記事一覧
普段は興福寺の北円堂にいる無著菩薩立像・世親菩薩立像が東京へお勤め。北円堂では結界の中には入れないので近くでは見ることができない。また、位置が決まっているため、全体を眺めるのは至難の業であった。 近くで観ることができる東博では、指先の血管ま…
南宋画の傑作にして東山御物のひとつ。徽宗皇帝筆とされる夏秋冬、国宝三幅の山水画が勢ぞろい。その中で夏景は老師が大きな松を揺らす風景が描かれている。構図の中では老師は小さい。だが、見た瞬間に空間に吸い込まれ、雪村の呂洞寶図ぐらい、大きく描か…
前半戦が終わった国宝展。雪舟押しの前半は予想通りの混雑で、それ以上ではなかった。しかし、11月の京都は紅葉シーズンと重なり、一年で最も混雑する。これに合わせて地方から大挙して見に来ることが予想される。また、Ⅰ・Ⅱ期からの大幅入れ替えがある。六…
平安時代の大鎧で、完品はかなり貴重なもの。綺麗に保存されているのは、平重盛が厳島神社への寄進物だから。色あせた紺糸と(のちに補修した)紫糸のコントラストが絶妙で見ていてほれぼれする。春日大社の源義経が使った(とされる)籠手などに見られる不…
仏像の表情は時代によって流行がある。円派は柔らかい表情で中肉的、慶派は厳つい顔つきで肉感的など、派閥によっても違う。そんな中で出品されている教王護国寺の兜跋毘沙門天立像は、お笑いコンビ・コロコロチキチキペッパーズのナダルのように面長で目が…
中国留学は海を渡って行き来することから極めて危険な旅であった。留学に当たり幾艘も難破して留学・帰国ができないことがざらにあった。そのため、留学を終えて無事に帰って来ることはそれだけで誇れることである。雪舟などは中国へ留学したことを常に自慢…
ブラタモリでも取り上げられた聾瞽指帰。24歳の空海が高級官吏の道を捨てて仏門へ出家する決意を書いた書物である。決心を固めるために起草したので筆圧は力強い。空海は様々な顔がある。密教の伝道師にして宗教家、書道の達人、治水事業の監督などがある…
相撲取りかプロレスラーか、手形を紙へ押す人はそう多くない。ところが、書物が本物であるということで手形を押し、それが後宇多天皇だったら国宝になる。達筆であるのはもはや当たり前。どうしても気になるのが手の大きさ。昔の人であるのでそれほど大きな…
雪舟の国宝6点勢ぞろいで賑わう国宝展だが、南宋の本家の絵には圧倒される。Ⅰ期出展作品も素晴らしかったが、水墨画と言えば険しい山と自然という定番のパターン図柄。その最高峰は観る者の足を必ず止めてしまう。 高桐院の山水図は遠近法の概念がなかった時…
今回の展示会で一番観たかったもの。それが龍光院の曜変天目茶碗だ。京博も力が入っており、各階に曜変天目は「1階陶器にある」との看板。陶器の入口は近くで観るためと、その他の作品と遠くから眺めるための2通路を設けるなど、混雑をいかに回避するか入念…
価値観が時として美術品を破壊・再生させたがる。茶器ではわざと割って金で接合することで、その部分が味となって評価が高くなることがある。 絵画でも裁断されることがある。茶の湯を楽しむために建てられた茶室が小さいためだ。それまで大きな寺院のために…
縫製技術によって唐花が浮き出るように見える布。最初観た時は古い布だとだけ思って素通りしてしまった。 隣の展示へ移って観ていた時に、ふいに唐花文様横被を観ている人が「角度を変えると模様がでるよ」との声が聞こえた。友達が「これのなにが凄いのか」…
大反響の運慶展。ほぼ国宝と重文の展示で、今年最大の仏像展といっても過言ではない。 奈良で春に開催された快慶展では仏像以外の出品も多かったが、運慶展は関連の仏像を集めまくった結果、ほとんど仏像の陳列に終始している。(陳列できなかった仏像以外の…
六道絵はファンタジー(地獄)の世界を描いている。地獄草紙の鶏(火の鳥に見える)などは、ファイナルファンタジーに出てきてもおかしくない出来栄えである。 それらと同等の扱いである病草紙は現実にあることを面白おかしく誇張している。二形(雌雄同体の…
空海が入唐して学んだことを書写し持ち帰った冊子。橘逸勢なども書写に加わったとされている。日本に持ち帰ることを前提にしているため、冊子のサイズは小さくいつでも持ち歩いて書き写していたのかもしれない。 三十帖冊子を巡っては、東寺にあったものを金…
国宝の山越阿弥陀図は禅林寺と京博所蔵のもの2点ある(二つは全く別物)。今回、出品されているものはもともと朝日新聞社の創業主である上野精一が所有していた。それを精一没後50回忌あたる1970年に京博へ譲渡、現在に至っている。一方で譲渡対価の…
彫刻全般は通期展示が多い。テーマはそれほど設けられず、作製時代が飛鳥時代から鎌倉時代まで時系列的に観ることができる。 その中で、法隆寺保有の四天王像は飛鳥時代のもので、彫刻技術は後世に見劣りしているが表現力は目を見張る。顔は面長で、漫才師で…
開幕直後は行列ツイートもほどほど待ち時間だった「国宝」展。3連休の初日こそ雨で人気の特別展並の混雑状態だった。ところが、夏日がぶり返し気温が上昇したことと比例したように人出もうなぎ上りになる。ツイートでは60分以上の待ち時間表示がちらほら…
「国宝」展のⅠ期も本日が最終日。出品されている作品のなかで、相国寺所有のものは、承天閣美術館(相国寺内)で見ることができる。無学祖元の墨蹟は4幅中、2幅がⅠ期のみ出品されている。だが残る2幅は美術館で引き続き見ることができる。 臨済宗相国寺派 …
切り立つ山々、写実的な花々など中国画の傑作の中にあって、ポツリと佇んでいるのが宮女図。 ほんとうに2階のトリを飾る作品でよいのか。どこにでもいそうな宮廷の女性が一人だけ書かれていて、派手さに欠けるシンプルな構図。これまで2階で見てきた色あざ…
言わずと知れた屏風におけるキング・オブ・キングは風神雷神図である。 俵屋宗達が描いたオリジナルは建仁寺蔵で京博へ寄託されている。今回出品されているものはそれだが、構図があまりにも優美なため尾形光琳が模写(模写でも重文指定)し、酒井抱一が原本…
吉祥天像は奈良時代8世紀頃に作られたとされる。今から1300年以上前にも関わらず色彩が美しく残っている。色白の天子は浄瑠璃寺の吉祥天立像(こちら重文)でも感じたが、ふくよかな豊穣の女神だ。信仰の重要な日以外は大切に保管されていたことで、綺…
螺鈿細工の超絶技法を用いているのが時雨螺鈿鞍。蒔絵の場合は時が経つにつれて摩耗などで色が褪せてくる。ところが螺鈿は貝そのものの光沢のため、物理的な破壊がない限り光沢を生み続ける。反面、光り輝く貝殻を加工するのだから、細かくなるにつれて難し…
国宝展・Ⅰ期の見どころは雪舟の国宝指定全6作品勢ぞろい。早い段階から発表があり、展示会全体のアピールポイントにもなっていた。水墨画の巨匠である雪舟は単独でも展示会が開催できる超ビックネームである。その傑作6点を贅沢に1室に見渡せる形で展示し…
3階書跡室は展示会の入口になっている。その一番最初に陳列されているのが土佐日記。日本史の教科書で習ったのみで、机上のものでしかなかった。それが生まれて初めて実物を観ることができた。そのことが、私だけでなく周りにいた同じよう人々で溢れかえり…
国宝のⅠ期を見てきた。例によって3階から降りてくる方式の京都国立博物館。普段から考古分野を展示している部屋には、国宝だらけの土器や土偶、古墳出土品が陳列されていた。 そのなかでひと際人気があったのが深鉢形土器(火焔型土器)だ。岡本太郎ならず…
鞍馬には天狗が住むと言われている。その天狗に教育された(とする)源義経が大活躍する物語は未だに根強い人気だ。そんな神秘な場所である鞍馬で埋めた経が出土したものが出展。奈良時代から平安時代後期頃までのもので、鞍馬寺が古くから修行の場であった…
琉球王国の貴重な資料。工芸品から記録書類など三百点近くを一気に国宝指定されている。そのうちの工芸・衣装類を出品。鎖国化にあった本土に比べて貿易などにより吸収した文化を独自に発展させた点が見どころ。 レア ★☆☆ 観たい ★☆☆ コラボ ★☆☆ 期間 ★☆☆ 文…
今回の国宝展には北野天満宮からの出品がない。菅原道真関連では道明寺の寺宝が出品されている。遺品として宝物館で定期的に見ることができる。 レア ★☆☆ 観たい ★☆☆ コラボ ★☆☆ 期間 通期 道明寺天満宮・宝物
いよいよ始まった「国宝」展。見に行く前に期ごとの各部屋見どころを予習。 書跡 古今和歌集コラボ、墨蹟 考古 土偶と永青文庫秘宝(Ⅱまで) 仏画 吉祥天像、釈迦・観音・如来(Ⅱまで) 六道 六道絵と草紙(Ⅱまで) 中世画 雪舟 近代画 観楓図、風神雷神(Ⅱ…