国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

近世絵画

十便十宜図のうち 課農便・宜夏 池大雅・与謝蕪村筆 川端康成記念会

出光美術館が入る帝劇ビルが建て替え、再開発されることとなった。美術館は2025年をめどに一時休館となる。2024年春から秋にかけて、「出光美術館の軌跡 ここから、さきへ」と題して、同館所蔵の名品たちが惜しげもなく展示される予定だ。 その前に、202…

楼閣山水図屏風 池大雅筆 東京国立博物館

池大雅生誕300年を記念した展示会が出光美術館で行われていた。開催から15日間だけだが東博所有の国宝・楼閣山水図屏風を展示していたので、見に行った。 2018年春の京博特別展で天衣無縫の旅の画家として池大雅をピックアップした展示会を開催した。この…

桜図 長谷川等伯 智積院

2023年4月4日、新しく智積院に宝物館が誕生した。これまでも寺宝を公開する蔵?はあったものの、温度・湿度管理が行き届いたものではなく、文化財保護の観点から現代的な保管機能を有した器を準備することが急務だった。 新しく出来た宝物館では開館を記念し…

婦女遊楽図屏風(松浦屏風) 大和文華館

大和文華館で開催中の染織品と松浦屏風ー織物・染物・刺繍 いろとりどり―のメイン展示は松浦屏風こと婦女遊楽図屏風である。当時の風俗をよく表した屏風で、18人の女性が煙管やロザリオ、かるたなどそれぞれ思い思いの嗜好と向き合っている。 この屏風と言…

源氏物語関屋澪標図屛風 俵屋宗達筆

第3室は入り口から見て左の部屋。金銀かがやく琳派の美と題した部屋となっていた。ここは少し広く、大きめの作品を陳列していた。尾形光琳・乾山兄弟の作品を初め、酒井抱一、鈴木其一、原羊遊斎が並び、本阿弥光悦の草木摺絵新古今集和歌巻が通期で展示さ…

【三の丸尚蔵館展】動植綵絵 若冲

若冲の動植綵絵は国宝界のスーパースター。なにせ、客を呼べる。東京芸大美術館での三の丸尚蔵館展でも動植綵絵目当ての人が多いと肌身で感じた。 展示を見る順番は3階から地下1階というルートで、3階はそこそこ人がいたが一部の作品を見る時以外は肩が触…

【東博150年】納涼図屏風 久隅守景筆

なんともゆるい作品である。内容しかり、描き方しかり。ゆるい雰囲気は建物と軒下の構造がきっちりしていない点が拍車をかけている。このゆるさが納涼にはちょうど良い。暑い夏に見るべき作品。でも、ピカソが評価されると同様に、久隅守景は狩野探幽の弟子…

【東博150年】洛中洛外図屏風(舟木本) 岩佐又兵衛筆

浮世絵の源流とも言われる岩佐又兵衛の作品は人物がそれぞれ生き生きしている。源氏物語や伊勢物語、浄瑠璃物語、小栗判官絵巻などストーリ性の高い作品を手掛けている。洛中洛外図屏風は屏風内に数多くの人物が描かれており、その一人一人にストーリが感じ…

【東博150年】観楓図屏風 狩野秀頼筆

花を愛でる習慣がある一方で、紅葉狩りの習慣が日本にはある。狩野秀頼は楓を愛でる人々(といっても高貴な人)を描いた。それぞれ派手でよそ行きの着物を着て、老若男女問わず楽しみ、生き生きしている姿を描いている。そこに色づいた楓と遠くに白化粧した…

【東博150年】檜図屏風 狩野永徳筆

狩野派のイメージを決定づけた作品のひとつは檜図屏風だろう。武将が好みそうな豪快で力強い檜の大木を実寸以上に派手に仕上げた作品となっている。永徳以降の狩野派の絵師たちが将軍のお抱え絵師になり、各所に屏風絵を描くことになるが、この派手さを超え…

【東博150年】松林図屏風 長谷川等伯筆

長谷川等伯筆の松林図屏風は東京国立博物館のお正月の顔となる作品だ。三井記念美術館所蔵の円山応挙筆・雪松図屏風とともに、冬の名物作品である。今回の記念展では最初の2週間限定で公開される。松林は冬に見ることが多いので、寒いイメージがあるが、も…

【東博150年】花下遊楽図屏風 狩野長信筆

桃山から江戸時代にかけての花見の風景を描いた屏風。狩野永徳の末弟である長信によって描かれた。関東大震災で右隻の2扇が焼失したが、それでも踊りながら楽しく花を愛でる人々の描写は残っている。遊楽図とはまさにこのこと。コロナ禍になった現在、改めて…

【東博150年】鷹見泉石像 渡辺崋山筆

渡辺崋山筆の鷹見泉石像は人物画なのだが、服は線描を使った東洋の伝統的な画法に対して、相貌は西洋の陰影法や彩色法を取り入れて描かれた。国宝人物画には神護寺所蔵の伝源頼朝像などや、金沢北条氏四将像、高僧や天皇家など教科書で一度は目にした人物た…

【東博150年】楼閣山水図屏風 池大雅筆 

池大雅は与謝蕪村とともに南画の大家。楼閣山水図は6曲一双の大作で、宋代の図を参考に、楼上には文人墨客が集って雅会を催している風景と、湖水が長江に注ぐありさまを描いている。単なる水墨画ではなく、緑青、群青、朱などの濃彩を用いて視線を誘導して…

源氏物語関屋澪標図屏風 俵屋宗達筆 静嘉堂

三菱の至宝展で大きな展示物のひとつが屏風絵である。橋本雅邦の龍虎図屛風(六曲一双)と俵屋宗達の源氏物語関屋澪標図屏風の澪標図が並んで展示されていた。 龍虎図はともの二体ずつ描かれ、片方に空から睨む龍二体、もう片方に陸から迎え撃つ虎二体が描か…

凍雲篩雪図 浦上玉堂筆

岡山県立美術館の雪舟と玉堂展で出会った凍雲篩雪図が京の国宝として登場。浦上玉堂は絵画と七絃琴の技術を武器に50歳を過ぎてから江戸・京・大坂・信濃などを放浪していたことで知られる。凍雲篩雪図も全国各地で見てきた風景を元に制作されたのかもしれ…

夜色楼台図 与謝蕪村筆

風神雷神図屏風とは打って変って静寂な国宝が夜色楼台図である。賑わいと活気だけが京都の魅力ではなく、静まり返った雰囲気も京都である。市中に大寺院が多く建ち並ぶ中に、一般人も暮らしている。それを雪と屋根で表した。図内にはゆっくりとして時間が流…

風神雷神図屏風 俵屋宗達筆

京博で有名な寄託国宝と言えば風神雷神図屏風。もはや京のイメージを超えた江戸時代の日本を代表する絵となっている。オリエンタルで絢爛豪華、黄金の国・ジパングと思われていた時代の作品が現在でも一級品として残っている。いぶし銀となっている部分も計…

婦女遊楽図屏風(松浦屏風)

大和文華館は昨年の開館60周年記念の展示会以来の訪問である。この時に大和文化館所有の国宝を一度にすべて観ることができたが、所有物の名品の一挙展示だったのでそれぞれの陳列物が点々と配置されていた感じがした。そこで、今回のテーマである時系列で…

【雪舟と玉堂】凍雲篩雪図 浦上玉堂

文人画家の浦上玉堂は池大雅と共にノーベル賞作家・川端康成のお気に入り作家である。雪舟が注目を集める展示会だが、浦上家も負けてはいない。地階に設けられた第二会場は浦上玉堂を中心に息子の春琴、秋琴兄弟の作品を展示していた。 文人が嗜むべき4つ琴…

凍雲篩雪図 浦上玉堂筆

岡山県立美術館で2月10日〜3月14日と短期間ではあるが岡山にゆかりのある国宝画家「雪舟と玉堂―ふたりの里帰り」が開かれる予定だ。国宝7点が出品されるようでぜひ行ってみたい。 浦上玉堂の国宝は凍雲篩雪図。川端康成が愛蔵していたもの。琴士、詩人…

蓮池水禽図 俵屋宗達筆

ブリヂストン美術館が建物も新たにアーティゾン美術館へと生まれ変わった。コロナ禍でなかなか行けなかったが、俵屋宗達の国宝・蓮池水禽図が出品されるということで、「琳派と印象派」を観に行った。 石橋財団のコレクションの中心は西洋美術画で、ルノアー…

【桃山 天下人100年】花下遊楽図屛風 狩野長信筆

芸術品や美術品は失われるリスクと隣り合わせとなっている。法隆寺の金堂壁画は不慮の火災により焼損し、金閣寺も放火により焼け落ちてしまった。広隆寺の弥勒菩薩像も右指を折られて修復された。大切に受け継いできた文化財も一瞬の行為が取り返しのつかな…

【桃山 天下人100年】洛中洛外図屛風 狩野永徳筆 米沢市上杉博物館

コロナ禍の展示会は様々な試みがなされている。東京国立博物館の「桃山~天下人の100年」は春展示から夏開催にスライドした「きもの KIMONO」に続く、特別展示である。 まず、鳥獣戯画展が延期となり、スライドしたことで、きもの→戦国とイメージの繋がる展…

【三井15周年】雪松図屏風 円山応挙筆

円山応挙の雪松図屏風の特別展は三井記念美術館の冬の名物となった。今回は15周年記念ということで真夏に公開。館内はエアコンが利いていて涼しいが、雪松を眺めると一段と涼しさが増す思いがする。 三井家がパトロンとして円山応挙を支援したので様々な作…

納涼図屏風 久隅守景

久隅守景の作品で一番最初に知ったのが納涼図屏風であった。そのため、ゆるキャラの画家なのに国宝に指定される稀有な人というイメージがあった。 ところが調べると久隅は狩野探幽の高弟で、狩野派の流れを汲む画家であった。そのまま行けば宮廷画家で大成功…

天橋立図 雪舟

火曜日20時、BS日テレで放送中のぶらぶら美術・博物館で4週にわたりコロナ対応の著名美術評論家が選ぶ10選を放送。第3段は「死ぬまでに見たい日本絵画10選!山下裕二×仏画の最高峰から琳派、若冲、隠し玉まで」と題して、日本画をピックアップ。この…

雪松図屏風 円山応挙

白色は塗るためにある絵具である。金色は高価なので絵画ではピンポイントで使うことが多い。縁取りは墨でするのが水墨画など、既成概念をすべて壊してしまう作品が丸山応挙の雪松図屏風である。 松の木に積もった雪は下地の白い紙で色はなにも塗られておらず…

紅白梅図屏風 尾形光琳

尾形光琳が俵屋宗達をリスペクトしていたのは間違いない。風神雷神図屏風の模写を観れば明らかである。琳派の名前が光琳から取られてはいるものの、明治までの宗達の評価が低かった(光琳が高過ぎた)ことによるものであり、宗達あっての光琳の作風が誕生し…

風神雷神図屏風 俵屋宗達

屏風絵史上、最も有名な作品は俵屋宗達の風神雷神図屏風だろう。 風神と雷神の2人だけの空間に、浮遊感や対立構造、ユーモラスな表情までいろいろと詰め込んだ。空間美と神物描写の絶妙さから尾形光琳や鈴木其一が題材に選び、描いた傑作の原点である。 宗…

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。