2024-02-01から1ヶ月間の記事一覧
本阿弥家は代々刀剣の鑑定・研磨・浄拭を家業としてきた。戦の恩賞として土地を与えるのが最も分かりやすいが限りがあるため、褒美として地位や武具を分け与えることがある(のちにその地位や武具も不足してきたため、茶道具も恩賞となった)。おそらく、褒…
東博の2024年特別展オープニングを飾ったのが本阿弥光悦の大宇宙展だ。大宇宙の題にかけた斬新なキャッチコピー「始めようか、天才観測。」が話題になっている。キャッチコピーとは対照的に実直な展示内容となっている。 まず、入り口すぐに東博が誇る奇想天…
2023年秋の東博で開催されたやまと絵展に感化されてか、各館所有のコレクションだけでやまと絵展を開く企画が目に付く。大和文華館でもやまと絵のこころと題して同館所蔵のやまと絵たちを惜しみなく展示していた。 琳派を代表する作家である尾形光琳の扇面貼…
東大寺ミュージアムの中心的な仏像は千手観音立像(重文)であるが、国宝はその脇侍である日光月光菩薩立像である。お松明の後ろにある写真にもある通り、派手さは平安時代に作られた千手観音が勝る。一方で、菩薩像は奈良時代に作られたことで、お顔立ちに…
奈良博で毎年行われているお水取り展を見に行った。そこで、東大寺ミュージアムで行われている「二月堂ー修二会を支える法会空間ー」を合わせて観覧すると散華がもらえるとの情報をゲットし、久しぶりに東大寺ミュージアムへ入った。 東大寺には度々訪れてい…
金剛般若経開題は空海が密教の立場から能断金剛般若経を解釈した草稿。京博にも断簡が残っている。文字は草書と行書が混じっていて、行間に加筆や文字訂正の跡がある。考えながら書いた書で、空海も草稿が世に出て国宝になるとは思っても見なかっただろう。 …
密教をもたらした空海だが、人々の信仰心を醸成したのは土木の分野であった。高野山に一大修行場所を作ったり、ため池を作ったり、レアな鉱物を探したりと地質学的な分野で大活躍している。20歳代に修験道のように山々を歩き回って修行したとされており、…
神護寺の寺宝・灌頂歴名は国内の密教創世記を語るにはなくてはならない書である。 遣唐使として大陸に渡った最澄と空海。エリートとして渡航した最澄は国内に戻ってからは南都仏教に対抗する新興教団を作り上げた。片や空海は紆余曲折はあったが、密教を持ち…
高野山金剛峰寺が所蔵する弘法大師空海ゆかりの三大秘宝のひとつが諸尊仏龕である。(ほかは聾瞽指帰、金銅三鈷杵(飛行三鈷杵))モバイル型の仏壇で、観音開きの内部に細かな彫刻で仏たちを彫っている。 空海関連の展示会では3点がセットで展示されること…
聾瞽指帰は空海が若かりし頃に仏教の素晴らしさを説いた書である。聾瞽指帰の名称は最初の上巻に書いた言葉から抜粋して命名されている。なので、下巻のみの展示は少し残念。鳥獣戯画図でウサギやカエルがいない丙巻・丁巻のみの展示のようだ。 レア★☆☆観た…
京博1階に長らく展示されていた安祥寺の五智如来坐像。ここ最近は特別展などがあってか見ていないと思ったら、奈良博の特別展へ出品されるようだ。仏教美術の殿堂である奈良博では国宝に指定されて初めてのお披露目となる(京博以外の展示が初めて)。 京博…
国宝の両界曼荼羅図は神護寺、子嶋寺、東寺所有の3件ある。どれも寺院の平面一杯に掲げるような大きさで作られていて、かなりの展示スペースが必要となる。今回の展示会では神護寺と東寺の曼荼羅図が同時に展示されそうだ。 昨年秋に東寺の宝物館でも弘法大…
4月13日から6月9日まで奈良国立博物館で空海生誕1250年を記念した展示会「空海 KUKAI - 密教のルーツとマンダラ世界」が開催される。 展示会の目玉は神護寺が所蔵する巨大曼荼羅図で、最も古い両界曼荼羅が修理を終えて寺外初公開となる。昨年の5月に…
慧可断臂図は雪舟の国宝の中では最も新しく国宝指定を受けた作品である。2004年なので、国宝指定20周年となる。 他の国宝作品はすべて山水画や鳥観図など、風景画が国宝となっているが、これは人物画である。縦が1メートル近くある大きな作品で、慧可…