国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

2023-01-01から1年間の記事一覧

2023年を振り返って

2023年も多くの国宝を観た。今年は親鸞聖人生誕850年であったころから、浄土真宗系の一大生誕展示会が行われた。京博では各派の寺宝をこれでもかと展示。なかでも、教行信証の坂東本、高田本、西本願寺本が並ぶ展示は何度でも見比べたくなる贅沢な空間で…

東院堂 薬師寺

東院堂は薬師寺の伽藍で見ると、回廊を挟んで東塔とは真向かいに位置し、回廊の外側に立地している。そのため、かなり目立ちにく場所にあり、導線的にも東院堂を目指して行かないと見逃してしまう。 国宝の東院堂は養老年間(717~724)に吉備内親王が元明天…

東塔 薬師寺

薬師寺と言えば修学旅行生のイメージが強い。コロナ前は広い伽藍内に整列して歩く学生の姿をよく見かけた。コロナでどうなるかと思っていたが、悪ふざけをする学生姿が戻ってきていた。 戻ってきたのは学生だけではない。東塔の落慶式を終え、特別公開を見に…

極楽坊禅室 元興寺

元興寺の本堂の裏に続く形で禅室が建っている。公開されておらず、本堂に比べてひっそりしている。もとは僧坊でここで僧侶たちが寝起きしていた。若き日の空海が大志を抱いて奈良で勉学に励んでいた場所とされ、首都が平安京へ遷った後、紆余曲折の末に真言…

五重小塔 元興寺

元興寺の寺宝は本堂を正面に左手にある法輪館で展示している。行った日は秋の特別公開をしていて重要文化財の智光曼荼羅図を2階で見ることが出来た。年代物だけあってかなり色あせて見難い部分が多かったが、全体はしっかりと残っていた。曼荼羅図はごちゃ…

本堂 元興寺極楽坊

古都奈良の文化財がユネスコ世界遺産に登録されて25周年を記念して販売されている六社寺共通拝観券。それを使って元興寺へ行く。 元興寺は観光の集積地である興福寺や東大寺、春日大社からは少し離れた奈良町にある。国宝である極楽坊本堂は低層の建物で、…

阿弥陀三尊及び童子画像 法華寺

法華寺の境内にある慈光殿は寺宝を保管する建物がある。確かコロナ禍の時期にリニューアルをしていた記憶があり、特別公開していたので久しぶりに拝観した。 慈光殿には一般で言う宝物館があり、法華寺の寺宝を保管する建物がある。コンクリート造りでしっか…

維摩居士坐像 法華寺

法華寺は国宝を3点所蔵している。特別公開時は3点すべて見ることが出来るが、普段は十一面観世音菩薩立像と阿弥陀如来三尊及び童子画像は公開していない。唯一、常時見ることができるのが維摩居士坐像である。 維摩居士坐像は本堂の左手にある入り口にある…

十一面観音菩薩立像 法華寺

海龍王寺からすぐ近くにある法華寺門跡でも秋の特別公開が行われたいた。本堂の十一面観音菩薩立像は少し変わった特徴がある。仏さまの像の背後には後光が差すような演出の光背が据え付けられることがある。法華寺の本尊は蓮のつぼみや葉を後光のように配し…

五重小塔 海龍王寺

秋の特別公開があった海龍王寺へ行った。近鉄新大宮から徒歩で10数分の場所にある。国宝の五重小塔はいつも通り別棟(写真)にポツンと置かれていた。かなり殺風景で薄暗い室内に小塔のみが置かれている。室内へは立ち入れないので背面部分は見ることができ…

五重塔 醍醐寺

醍醐寺の五重塔は毎月29日に写経することで内部を見ることができる。この日に合わせて行けば簡単に国宝の五重塔の内部を見ることが可能なのだ。今回、弘法大師生誕1250年を祝って10月と11月の数日のみ特別に内部公開を実施していたので、11月の回に…

明恵上人歌集 京都国立博物館

明恵上人生誕850年の節目に、生誕の地である和歌山県立博物館で特別展示を開催していた。明恵上人と言えば、後鳥羽上皇から下賜された栂尾に高山寺を開山したことで有名である。都心から離れた山奥で明恵が説いたのが、華厳の教えと密教との統一・融合する厳…

秋野牧牛図 伝閻次平 泉屋博古館

泉屋博古館はこの秋開催の表装の愉しみ -ある表具師のものがたりをもって、リニューアル工事に入る。2025年の春までしばしのお別れである。東京分館がおしゃれな作りになったのに触発されて、京都の本館もおしゃれに生まれ変わるのか楽しみである。 しばら…

顕浄土真実教行証文類(坂東本) 東本願寺

大谷大学博物館で開催された古典籍の魅力は宗祖親鸞聖人誕生850年・立教開宗800年記念であることから真宗大谷派・東本願寺の至宝「顕浄土真実教行証文類(坂東本)」(略称:教行信証)が展示されていた。 教行信証は親鸞の著作であり、数ある浄土真宗系が共…

浄名玄論 京都国立博物館

親鸞生誕850年の記念展が春先にたくさんあった。その最後を飾るのが大谷大学博物館の古典籍の魅力である。 大谷大学博物館は開館20周年を迎える。と同時に立教開宗800年も兼ねている。記念展示会では同館が保有する重要文化財10件を前後半に分けて展示すると…

廬舎那仏坐像 東大寺

奈良と言えば大仏。奈良通いが過ぎると小仏ばかり見に行ってしまうので、久方ぶりに再会した。年末のすす払いは必ずニュースになるので、身近に感じているが見ると感嘆する。外国人観光客でなくてもアメイジングと言いたくなる大きさだ。正面は写真撮影でご…

金銅八角燈籠 東大寺

大仏殿の正面に置かれている八角燈籠は、国宝であるにも関わらずあまり注目されない。高さが約4.6メートルと結構な大きさであり、大仏殿を正面に見ると必ず視線に入るにも関わらずである。それだけ、大仏殿の大きさが特異なのだろう。 八角燈籠の見どころは…

大仏殿 東大寺

ユネスコ世界遺産登録25周年記念の六社共通券で春日大社と興福寺は行った。残りをこの日に取っておいた。 法華堂から降りてきて大仏殿へ入る。久々の大仏殿だが、外国人旅行者がほとんどだった。写真で見る通り、圧倒的な大きさ。外国人受けする観光施設と…

良弁僧正坐像 東大寺

正倉院展が奈良国立博物館で開催された期間、法華堂で東大寺開山良弁僧正1250年御遠忌を記念して良弁僧正坐像が公開されていた。 良弁は東大寺の開山に尽力した人物で、巨大な寺院伽藍を建築するために資材を集めた場所にある石山寺の開山にも関わっている。…

唐門 西本願寺

京都モダン建築祭で龍谷大学大宮学舎が公開されていた。明治初期に建てられた講堂などが重要文化財の指定を受けている。龍谷大学のイメージは京阪電車の深草駅前(数年前に駅名が龍谷大前深草駅になった)で、校舎などに仏教的なイメージなかった。こちらの…

風信帖 東寺

真言宗立教開宗1200年記念として、教王護国寺(東寺)の宝物館では秋の特別公開はなかなか見ることが出来ない寺宝が出ている。前期は両界曼荼羅図で真言密教で欠かすことができないアイテムにして、東寺のものはその原型となる。 宗教都市となっていた平城京…

庫裏 妙法院

昨年は大徳寺の大改修現場を見に行ったが、今年は妙法院の大改修を見に行った。 春にも公開があったようだが、知らなかったので秋は絶対行こうと朝一番に並ぶ。10時開始予定だったが、早めに入れてもらうことができた。あくまでも工事現場なのでヘルメット…

史記集解 杏雨書屋

杏雨書屋が入る武田道修町ビルは元は武田薬品工業の本社ビルだった。武田薬品工業は1781年に道修町で薬種の仲買商を始めたが、1925年に武田長兵衞商店を設立して会社化した。その3年後の1928年に本社ビルとして現在の武田道修町ビルを完成させた。本社移転後…

説文解字木部残巻 杏雨書屋

杏雨書屋の国宝・重要文化財展示の中で、一番見ごたえのあったのものは説文解字木部残巻であった。巻物状のほとんどを開いて見せていた。この国宝は2019年冬に開催された顔真卿-王羲之を超えた名筆で展示されているのを見たことがある。その時は一部の公…

毛詩正義 杏雨書屋

大阪のど真ん中、北浜と船場の間にある道修町は薬に関わる企業の集積地となっている。塩野義製薬や小野薬品など昔ながらに本社を置いている企業もあれば、田辺三菱製薬や大日本住友製薬など合併によって社名は変われど、道修町発祥の流れから社屋を置く企業…

曜変天目 (稲葉天目) 静嘉堂文庫美術館

静嘉堂文庫美術館が静嘉堂@丸の内として明治生命館へ移って1周年を記念した展示会が開かれている。「二つの頂―宋磁と清朝官窯」と題して、中国史上で陶器の名品が数多く作られた2つの時期に(磁器だけに)スポットを当てた内容だった。 第一、第二展示室に…

小桜韋威鎧 兜 大袖付 菅田天神社

御嶽神社で平安末期の武士の名残りを見た後、河内源氏の源新羅三郎義光の時代のものを見に行く。 山梨県甲州市塩山にある菅田天神社の国宝・小桜韋威鎧は見る機会がとにかく不規則で短期間となっている。おまけに天候によっては公開が中止されるため非常にチ…

円文螺鈿鏡鞍 武蔵御嶽神社

武蔵御嶽神社の奥之院まで行くことは時間的に難しかった。そのため遠くから拝もうと山を臨むと紅葉で色づいた山肌(写真)が見えた。急に寒くなったが木々は敏感に反応していた。 さて、宝物殿の続き、2階に国宝の赤糸威鎧 兜・大袖付が中央にあったが、階…

赤糸威鎧 兜・大袖付 武蔵御嶽神社

2023年10月22日(日)9時半から11時にかけて山梨県の菅田天神社で小桜韋威鎧が公開されると知った。その前日、21日に中央線の高尾ー八王子間が夜にグリーン車導入に伴う線路切替工事が行われるとのアナウンスがあった。もしも、工事がうまくいかず山梨ま…

遺偈 清拙正澄筆 常盤山文庫

やまと絵展を見た後、東洋館へ行く。こちらの8室では創立80周年を記念した常盤山文庫の名宝展が開催されていた。前後期で入れ替えがあり、常盤山文庫の国宝・重文クラスを惜しげもなく展示していた。そして、そのすべてが撮影OK。なかなかない機会だが、見た…

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。