2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧
延暦寺の根本中堂はリニューアル工事の真っ最中。堂内には所狭しと足場が組まれており、日ごろは絶対に見ることができない屋根の真上からの風景が楽しめる。しかし、堂内でゆっくりと拝むにはいささか足場が邪魔になっている。 今回の東博での展示には根本中…
今回の展示会で一番派手な作品が蝶牡丹螺鈿蒔絵手箱である。 国宝の箱の中でも屈指の煌びやかさで、細工の凝り様はなかなかのもの。全面が黒漆にも関わらずびっしりと蝶や牡丹の図柄を細工し、部分部分で螺鈿を施すことでゴージャスな箱に仕上がっている。 …
延暦寺第5代座主・円珍は最澄の孫弟子にあたる。初代座主である義真の弟子で、12年間の籠山行や唐へも渡って修行し、黄不動や新羅明神像等の美術品も日本にもたらした。しかし、同じく最澄の弟子である円澄が第2代、続けて最澄の代講を任された円仁が第3代…
畠山記念館の名品展はこれまで見た中でも指折りの”実用”している品々を展示している。実用といってもお茶会に使用してするために集められたという意味で、美術品として飾りものになっていないという意味での”生々しさ”が伝わってくる展示会である。 白金の記…
最澄と天台宗のすべての最初のブロックは最澄に関する展示。言わずと知れた天台宗の開祖である。真言宗の推しメンが開祖の空海一択なのに対して、時代を超えて綺羅星の如く名僧侶が誕生した天台宗(延暦寺で修行した各宗派の開祖も多数いる)では相対的に最…
関西では馴染みの薄い畠山記念館。京博では畠山記念館の名品と題して展示会が開催されている。記念館はポンプや環境関連の機械を扱っている荏原製作所の創業者である畠山一清が集めた品々を展示している施設で、茶道具の名品が集まっていることで知られてい…
「最澄と天台宗のすべて」展は9カ月をかけて東京・九州・京都の国立博物館で巡回する。その嚆矢は東京国立博物館が勤めるのが相応しい。なぜならば、同館が建つ上野の大地は寛永寺があった場所で、東京の天台宗の聖地だからだ。なにせ山号は東叡山、つまり…
仏涅槃図は高野山の名宝展、ラストを飾るにふさわしい作品だ。 入滅した釈迦を囲む人々(神々)に加えて、神獣たちも悲しみ悶える図は去る者が如何に慕われているかが一目で分かる。3月15日に各寺院で行われる涅槃会では涅槃図が所狭しと講堂に掛か画られ…
高野山霊宝館開館100周年記念の展示会「高野山の名宝」は第4期の最終期となった。これまで高野山の名宝の数々、珠玉の彫刻を期間を通して展示してきた。その最後となる。すでに葉は赤く染まっているものがちらほらあり、高野山の短い秋がすぐそこまで来てい…
東大寺や興福寺からは少し離れた場所のある奈良町。古民家が残っていたり、寺院があったり、古風な街並みにおしゃれなカフェが点在している人気スポットである。この付近には国宝を3つ抱えている元興寺があり、広い境内を有している。その別院だった十輪院は…
10月5日、転害会のメインイベントはこの日だけの勧進所の特別公開だ。 勧進所は大仏殿の西が側にあり普段は固く門を閉ざしているので人通りも少ない場所だが、この日だけは大仏殿を尻目に勧進所に向かっていた。600円を志納して、いざ中へ入る。 コロナ対…
東大寺転害門から北へ15分ほど、コスモスで有名な般若寺へたどり着く。市街地からは少し離れているので、ベットタウンなのかと思いきや、倉庫兼工場や商店が多い。その訳は、区画を隔てたところに奈良少年刑務所があったからだ。明治の五大監獄の一つ奈良…
10月5日、東大寺内にある手向山八幡宮と転害門で転害会という古式ゆかしい神事が行われる。 お寺で神事というのも摩訶不思議なのだが、明治政府の意向で神仏が明確に分かれて配されたが、それまで神仏の垣根なく立地するのは普通だった。いまもお寺に小さ…
天平絵画の最高傑作だと思う薬師寺の吉祥天像。薬師寺での年始御開帳を除くと、直近では昨年にあべのハルカスで開催された薬師寺展へお出ましになったが、コロナウイルス蔓延のため二日間で休止となり、見ることができなかった。そして1年が過ぎ、龍谷ミュ…
龍谷ミュージアムは開館10周年記念展示会が続く。秋展はアジアの女神たち。神様に男女があるか分からないが、信仰の対象として古代人は豊穣(子を産む)をイメージして女性をかたどった造形物を造った。インドや東南アジアの女神は胸も腰も大きく作られてセ…
京都の向日市は面積が7.72平方キロメートルしかなく、市では西日本では最小、全国でも3番目に狭い。 国宝仏像のある願徳寺は、JR向日町駅もしくは阪急・東向日駅から出るバスに乗り、なだらかな山道を登って最寄りバス停から歩いて20分ぐらいの場所にある。…
霊宝館が出来て100年。名宝展では館設立の経緯や当時の資料を前期と後期に分けて紹介していた。前期には同館が財界関係者の支援を受けて設立された資料を公開。東博などで名前を見かける文化財蒐集家が並んでいた。後期は設立にいたる過程を紹介。同館の図面…
文館詞林残巻は高野山の塔頭寺院・正智院と宝寿院が所有している。それぞれのものが国宝にしていされている。Ⅰ期では正智院のものを観た。そして、Ⅲ期には宝寿院のものが登場していた。 Ⅰ期でも書いたが漢から唐初までの詩文集で、隋唐以前の文学を集めた「…
金剛峯寺の正面の桜の木は、Ⅰ期では桜の散り際、Ⅱ期では新緑、Ⅲ期となり青々と茂っていた。 霊宝館見学も新館へ移動。記念撮影のパネルがなくなり、八大童子立像が陳列している運慶室の宇宙演出も終了した普段の展示へと衣替えしていた。しかし、名宝展の内…