絵巻物
春日大社関連の国宝で新顔が登場。宮内庁三の丸尚蔵館が所蔵する春日権現験記絵だ。 高階隆兼によって描かれた絵巻物で、藤原氏一門の繁栄を祈願するために春日明神から受けた加護と霊験を綴ったものである。 この絵巻物は1309年に左大臣であった西園寺公衡…
昭和のテレビでは三蔵法師が主人公の西遊記が番組として放送されていることがよくあった。平成になると西遊記のフォーマットを利用したものが作られ、令和の時代にはほぼ見なくなった。シルクロードブームに呼応していると思っているので、玄奘三蔵ブームも…
東博150周年の展示会は大盛況。Ⅰ期に行ったとき以上に人があふれかえっていた。展示を見る中でボトルネックとなって混雑する場所が数か所あった。絵巻物の展示スペースはその一つであった。 後期の展示は地獄草紙と餓鬼草紙だった。奈良博にも同様のシリーズ…
東博150年記念展第Ⅰ期の一番人気は平治物語絵巻だった。第1会場から次へとつなぐスペースに陳列していた。長めに展示してあったがどこも見物の列が途切れることがなかった。逆に普段は人気の高い雪舟作品が端へと追いやられ、注目を浴びていないのが新鮮だ…
東京都美術館で行われているボストン美術館展で、海外に渡った平治物語絵巻の三条殿夜討巻が里帰りを果たしている。この展示会は10月2日までだが、東博では150年展開幕から2週間、六波羅行幸巻が公開される。合戦絵巻の中でも最高傑作のひとつに数えられ…
時宗の開祖である一遍の生涯を描いた絵巻。法眼は位で円伊が描いた。全12巻からなる絵巻物で、7巻のみ東博所有となっている。他は京都の歓喜光寺から神奈川の清浄光寺(遊行寺)へ伝わり、7巻のみ模写だが全巻揃っている。江戸時代に7巻だけ流出したあ…
連日の猛暑の中、各地をうろうろするの諦め、涼しくなる9月を待って国宝探索を再開した。その初っ端は上野を選んだ。 東京都美術館で開催されているボストン美術館展は、国内にあれば国宝指定間違いなしの、平治物語絵巻(三条殿夜討巻)や、吉備大臣入唐絵…
国宝の源氏物語絵巻が巻物となって蘇った。徳川美術館所蔵の国宝・源氏物語絵巻は断簡されて木枠にはめられて保管されていた。当時の保管方法としてはベストな方法だったかもしれないが、時代を経て傷みが目立つようになったことから修繕することとなり、そ…
コロナ禍においては、移動制限がある中で文化財の審査作業に大きな影響が出ている。2020年3月に発表された新国宝は4件で、毎回指定替えを受けて開かれる東博での特別展は緊急事態宣言発令により中止となった。続いて同年10月にも八坂神社本殿が指定…
国宝絵画の中で一番ファンタジーなものは草紙だろう。現実を誇張しすぎだものや、絶対にありえない事柄を恐怖心を煽る反面教師として描き上げる。見るものに強烈なインパクトを与えて、悪いことをさせない教訓的な巻物となっている。 その中でも地獄草紙は前…
※写真は龍谷ミュージアム「開館10周年記念 館蔵品展」で撮影した鎌倉時代の絵因果経の断簡 仏教の開祖は釈迦牟尼である。王族の生まれで、生まれてすぐに右手を上に、左手を下に向けて「天上天下唯我独尊」と言ったと語られている。これらの釈迦の伝記を誰…
2017年よりリニューアル工事(全面的な建て替え)のため休館していた藤田美術館が2022年4月にオープンする。すでにカフェ部分などの一部は開いているが、美術館部分は未だ見れず。旧館の名残がどれだけあるかなど、必ず行きたい美術館となっている…
昨年、9年の歳月をかけた御影堂の改修工事を終え、大々的な落成法要が行われるはずだった知恩院。その開祖である法然上人の一代記を絵巻物にした。子供でも理解されやすい絵解きは誰にでも救いを差し伸べる浄土宗の教えに合った国宝である。 レア★☆☆ 観たい…
東博で行われた鳥獣戯画展には行くことができなかった。鳥獣戯画は漫画の原点と言われているが、病草紙はギャグマンガの原点かもしれない。グロテスクな構図でも現実を超越する表現となっており、ユーモラスな絵に仕上がっている。 レア★☆☆ 観たい★☆☆ 通期・…
約1年待っての開幕が迫っている鳥獣人物戯画のすべて。4巻の絵巻物を一度にすべてを公開するダイナミックな展示方法は楽しみしかない。そこに、ベルトコンベヤー方式の人間自動搬送機を設置して、滞留を防ぐ試みまで発表されていたがコロナで順延となって…
韃靼人狩猟・打毬図屏風(複製) 京博所有の文化財の多くも修理の対象になっている。病草紙はいろいろな病気をグロテスクな表現を交えて描いている。それが今日的にはユーモアに見えてしまうのだがから、いかに現代がすさんだ世の中であるかを感じる。 さて…
西国33ヶ所巡礼地の一つである粉河寺が創建1250年を迎えた。それ記念して「国宝粉河寺縁起と粉河寺の歴史」展が和歌山県立博物館で開催していた。 和歌山城の南側に近代美術館と隣接する形で建っている博物館は非常に新しい施設である。ただ、JRと南海の駅の…
今夏、コロナの影響により東博でスライド開催されたきもの展。この時期に開催予定だった展示会は鳥獣戯画展は来年に持ち越しとなった。鳥獣戯画展の残留思念体、もとい東博の国宝室では華厳宗祖師絵伝が展示されていた。華厳宗の歴史を伝える一大絵巻で、高…
近畿・東海地方以外の人は球団経営として名前を知っている人が多いであろう近鉄。球団経営から身を引いて早16年が経った。中学生以下は近鉄いてまえ打線は過去の映像としてのみ知る時代となった。 さて、近鉄は近畿日本鉄道の略称で、近畿の冠がついてはいる…
4大絵巻物のひとつとされる、出光美術館が所有する伴大納言絵巻。(他は源氏物語絵巻、鳥獣人物戯画、信貴山縁起絵巻)なかなかお目にかかれず出品されない貴重な絵巻物である。 ほかの3つは定期的な特別展や貸し出しなどで数年待てばどこかで出品される。し…
新興宗教が拡大するにつれて、その開祖の自伝が書かれることがある。それが書籍だったり、絵物語だったりする。中世に起こり、現代まで続く有名宗教の開祖たちは絵巻物になって、その実績を伝えている。なかには国宝になっているものある。 その中で一遍聖絵…
地上波や衛星でのテレビ放送で美術を扱う番組は多くはないが複数ある。そのなかで、歴史と格が最も高い番組はNHK・ETV(教育テレビ)の日曜美術館であることは疑いようはない。エンターテイメントよりで、分かりやすく美術を解説する番組とは一線を画…
粉河寺縁起絵巻の見た目の特徴は上下の一部分が焼けてしまって失われている。絵を見る分には問題なく、絵巻物としての出来は素晴らしい。ストーリーは西国三十三所の3番札所である粉河寺の始まりと説話が描かれている。 後半の説話部分に出てくる長者は塩川…
昨年の今頃は新元号の発表があり、お祝いムード満載だった。また、令和おじさんが誕生した記念すべき日であった。 ところが、1年年後の本日は自粛ムード一色。新型コロナウイルスの影響で多くのイベントが中止・延期となっている。京都国立博物館の企画展と…
東京国立博物館のオリンピック期間中の展示は鳥獣戯画で勝負する。 香雪中之島美術館での明恵展でも展示のあったが、今回の展示の目玉は全四巻一気に見せます。ほかの動物作品とのコラボが行われるようで、若冲の鶏や応挙の子犬、曽我蕭白の龍など、名品が惜…
2020年は東京オリンピック開催で都内が大混雑が予想されるにも関わらず、国宝出品の(可能性がある)展示会が目白押し。 五島美術館の源氏物語絵巻全巻魅せますは5年ごとに徳川美術館と交互に開催している展示会。西暦で×0年は五島美術館の開館記念と…
山口県防府にある毛利博物館。戦国大名で長州藩を率いた名門・毛利家の邸宅と庭園を公開しつつ、所有していた名品を公開している。博物館と言いつつも、邸宅公開が中心。明治政府をけん引した長州藩ではあるが、政治の中心から距離的にある防府の地では豪華…
企画展では絵巻物の一部しか展示されないことが多い。その点、特別展でしかも展示される絵巻物の冠展示はすべてを展示してくれる。ただ前期後期で巻替えが行われることが多いが、気の利いた展示場は展示されていない場面の複製を展示してくれており、絵巻物…
国宝の絵巻物で現代人にも親近感が涌く作品が鳥獣戯画だ。ウサギやカエルなどが滑稽な動きで描かれている作品で漫画の原型になったと言われる。 その鳥獣戯画は甲乙丙丁の4巻からなり、引用されることが多いのが甲乙の巻である。中之島の香雪美術館で開催さ…
時宗を起した一遍上人の七百年遠忌記念の展覧会が京都国立博物館で開催している。 https://www.kyohaku.go.jp/jp/special/index.html 宗教家の遠忌にちなんだ展覧会はこれまでも数多く開かれている。というよりも遠忌に合せて企画が進んでいるので、この時期…