国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

絵巻物

法然上人絵伝 知恩院

2024年夏の京博企画展はテーマが乱立しており、少ない展示品数となっているが見どころが多い展示となっていた。 まず、エレベーターで3階へ行くと陶器と考古類の展示。普段の企画展でのカテゴリー分けであるものの、陶器は保管するための箱や袋を展示し…

【超国宝】信貴山縁起絵巻 朝護孫子寺

信仰者を獲得するためのツールとして絵解きを使うことがある。江戸時代以前は識字率が高くなく、絵は見るだけでおおよその内容が分かるので民衆に伝えるには最適のツールである。観ただけで内容が理解できるとあって、絵因果経は釈迦の一生を描き、聖徳太子…

源氏物語絵巻 東屋二 徳川美術館

ハルカス美術館で開催していた徳川美術館展尾張徳川家の至宝の終わりの時期に訪問した。チケット売り場はあまり混んでいなかったが、中に入ると人の多さにびっくりした。特に最初の方に展示していた刀剣類はじっくりと見る人が多かったため、そこがボトルネ…

紫式部日記絵詞 藤田美術館

NHK歴史大河ドラマの光の君へを毎週、楽しく見ている。個人的には戦国時代や幕末など、戦でドンパチするものを好みとしているが、国宝に触れ始めて見かたを変えることができた。セットや美術品などNHKがこだわって作った品々に注目することで平安時代の歴史…

寝覚物語絵巻 大和文華館

2023年秋の東博で開催されたやまと絵展に感化されてか、各館所有のコレクションだけでやまと絵展を開く企画が目に付く。大和文華館でもやまと絵のこころと題して同館所蔵のやまと絵たちを惜しみなく展示していた。 琳派を代表する作家である尾形光琳の扇面貼…

【やまと絵】平治物語絵巻 六波羅行幸巻 東京国立博物館

東博の平成館での特別展の場合、第一展示場と第二展示場の間(1階入り口から上がった2階のちょうど反対側)がグッツ売り場となる。いつも気になって見るのだが、出来の良いぬいぐるみが結構出ていた。人気キャラクターとのコラボぬいぐるみもあったが、や…

【やまと絵】伴大納言絵巻 出光美術館

大陸から伝わったとされる絵画技法。高松塚古墳などに見られる型は明らかにそれと分かる描きようである。それが、宗教儀式として現地へ行けない代わりに屏風へにしたり、聖徳太子絵伝のように国内で発生した事象を絵にすることでオリジナルな描き方へと変化…

【やまと絵】平治物語絵巻 六波羅行幸巻 東京国立博物館

昨年開催された東博150周年・国宝展でも、もちろん出品されていた平治物語絵巻が再び登場。前回は東京都美術館で開催されたボストン美術館展で来日していた三条殿夜討巻とのリレー展示(勝手に言ってます)であった。 kokuhou.hatenablog.com 今回は静嘉堂文…

【やまと絵】信貴山縁起絵巻 朝護孫子寺

四大絵巻で源氏物語、鳥獣戯画は知名度と人気度が抜群で選ばれて当然。伴大納言絵巻も当時の世相が良く分かる絵巻物となっている。そして四大に列されている信貴山縁起はと言うと馴染みが薄い。まずもって信貴山がある関西でも朝護孫子寺と言われてもはてな…

【やまと絵】伴大納言絵巻 出光美術館

やまと絵展で一番見たい作品は伴大納言絵巻である。国宝に興味を持って出光美術館での展示を心待ちにしていたが、東博へ貸し出し出展が先になった。今回はⅠ期のみの展示で期間が短い。四大絵巻が揃うのは伴大納言絵巻が出ている時だけとなる。 レア★★★ 観た…

【やまと絵】鳥獣戯画 高山寺

展示ショーケース前に動く歩道を導入した伝説の特別展、国宝鳥獣戯画のすべてから2年が過ぎた。当初開催予定だった2020年7月からだと3年の月日が経った。コロナに振り回された展示会で、行くことが叶わなった。 やまと絵展で鳥獣戯画は4巻一度に見る機会…

【やまと絵】源氏物語絵巻 徳川美術館・五島美術館

東京国立博物館では10月11日~12月3日まで、やまと絵 -受け継がれる王朝の美-と題した特別展示会を開催する。 奈良時代が遣隋使や遣唐使によってもたらされた大陸文化の受容期だったのに対して、平安時代には大陸への派遣を辞め内向きな文化の醸成…

華厳宗祖師絵伝 高山寺

9月のシルバーウィークの3連休。京博で開催している名品展の後期の最後に滑り込みで行くことが出来た。 すでに、3階は閉館、1階も日中書の名品を展示している2室以外は閉鎖されていた。すでに東福寺展モードの京博だが、見ておきたい国宝があった。 2階の…

春日権現験記絵 高階隆兼筆 宮内庁三の丸尚蔵館

リニューアル工事を進めていた三の丸尚蔵館の一部開館が11月3日に決まった。全面開館は3年後の令和8年を予定しているので、巡回展はそれまで続けばと思う。 さて、今夏の三の丸尚蔵館所蔵の巡回先は岡山。岡山県立美術館の全館を使っての展示会だったが…

春日権現験記絵 宮内庁三の丸尚蔵館

春日大社関連の国宝で新顔が登場。宮内庁三の丸尚蔵館が所蔵する春日権現験記絵だ。 高階隆兼によって描かれた絵巻物で、藤原氏一門の繁栄を祈願するために春日明神から受けた加護と霊験を綴ったものである。 この絵巻物は1309年に左大臣であった西園寺公衡…

玄奘三蔵絵 高階隆兼筆 藤田美術館蔵

昭和のテレビでは三蔵法師が主人公の西遊記が番組として放送されていることがよくあった。平成になると西遊記のフォーマットを利用したものが作られ、令和の時代にはほぼ見なくなった。シルクロードブームに呼応していると思っているので、玄奘三蔵ブームも…

【東博150年】餓鬼草紙

東博150周年の展示会は大盛況。Ⅰ期に行ったとき以上に人があふれかえっていた。展示を見る中でボトルネックとなって混雑する場所が数か所あった。絵巻物の展示スペースはその一つであった。 後期の展示は地獄草紙と餓鬼草紙だった。奈良博にも同様のシリーズ…

【東博150年】平治物語絵巻 六波羅行幸絵巻

東博150年記念展第Ⅰ期の一番人気は平治物語絵巻だった。第1会場から次へとつなぐスペースに陳列していた。長めに展示してあったがどこも見物の列が途切れることがなかった。逆に普段は人気の高い雪舟作品が端へと追いやられ、注目を浴びていないのが新鮮だ…

【東博150年】平治物語絵巻(六波羅行幸巻)

東京都美術館で行われているボストン美術館展で、海外に渡った平治物語絵巻の三条殿夜討巻が里帰りを果たしている。この展示会は10月2日までだが、東博では150年展開幕から2週間、六波羅行幸巻が公開される。合戦絵巻の中でも最高傑作のひとつに数えられ…

【東博150年】一遍上人伝絵巻巻第七 法眼円伊筆

時宗の開祖である一遍の生涯を描いた絵巻。法眼は位で円伊が描いた。全12巻からなる絵巻物で、7巻のみ東博所有となっている。他は京都の歓喜光寺から神奈川の清浄光寺(遊行寺)へ伝わり、7巻のみ模写だが全巻揃っている。江戸時代に7巻だけ流出したあ…

【三の丸尚蔵館展】絵因果経 東京芸術大学

連日の猛暑の中、各地をうろうろするの諦め、涼しくなる9月を待って国宝探索を再開した。その初っ端は上野を選んだ。 東京都美術館で開催されているボストン美術館展は、国内にあれば国宝指定間違いなしの、平治物語絵巻(三条殿夜討巻)や、吉備大臣入唐絵…

源氏物語絵巻 徳川美術館

国宝の源氏物語絵巻が巻物となって蘇った。徳川美術館所蔵の国宝・源氏物語絵巻は断簡されて木枠にはめられて保管されていた。当時の保管方法としてはベストな方法だったかもしれないが、時代を経て傷みが目立つようになったことから修繕することとなり、そ…

【京の国宝】春日権現記絵 宮内庁三の丸尚蔵館

コロナ禍においては、移動制限がある中で文化財の審査作業に大きな影響が出ている。2020年3月に発表された新国宝は4件で、毎回指定替えを受けて開かれる東博での特別展は緊急事態宣言発令により中止となった。続いて同年10月にも八坂神社本殿が指定…

【奈良博三昧】地獄草紙

国宝絵画の中で一番ファンタジーなものは草紙だろう。現実を誇張しすぎだものや、絶対にありえない事柄を恐怖心を煽る反面教師として描き上げる。見るものに強烈なインパクトを与えて、悪いことをさせない教訓的な巻物となっている。 その中でも地獄草紙は前…

絵因果経 上品蓮臺寺

※写真は龍谷ミュージアム「開館10周年記念 館蔵品展」で撮影した鎌倉時代の絵因果経の断簡 仏教の開祖は釈迦牟尼である。王族の生まれで、生まれてすぐに右手を上に、左手を下に向けて「天上天下唯我独尊」と言ったと語られている。これらの釈迦の伝記を誰…

玄奘三蔵絵 藤田美術館

2017年よりリニューアル工事(全面的な建て替え)のため休館していた藤田美術館が2022年4月にオープンする。すでにカフェ部分などの一部は開いているが、美術館部分は未だ見れず。旧館の名残がどれだけあるかなど、必ず行きたい美術館となっている…

法然上人絵伝 知恩院

昨年、9年の歳月をかけた御影堂の改修工事を終え、大々的な落成法要が行われるはずだった知恩院。その開祖である法然上人の一代記を絵巻物にした。子供でも理解されやすい絵解きは誰にでも救いを差し伸べる浄土宗の教えに合った国宝である。 レア★☆☆ 観たい…

病草紙 京博

東博で行われた鳥獣戯画展には行くことができなかった。鳥獣戯画は漫画の原点と言われているが、病草紙はギャグマンガの原点かもしれない。グロテスクな構図でも現実を超越する表現となっており、ユーモラスな絵に仕上がっている。 レア★☆☆ 観たい★☆☆ 通期・…

鳥獣人物戯画  高山寺

約1年待っての開幕が迫っている鳥獣人物戯画のすべて。4巻の絵巻物を一度にすべてを公開するダイナミックな展示方法は楽しみしかない。そこに、ベルトコンベヤー方式の人間自動搬送機を設置して、滞留を防ぐ試みまで発表されていたがコロナで順延となって…

病草紙 京都国立博物館

韃靼人狩猟・打毬図屏風(複製) 京博所有の文化財の多くも修理の対象になっている。病草紙はいろいろな病気をグロテスクな表現を交えて描いている。それが今日的にはユーモアに見えてしまうのだがから、いかに現代がすさんだ世の中であるかを感じる。 さて…

国宝拝観者たちの夢、千件越えをいつの間にか達成した。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標が完結した。 次の1100件は果てしなく遠いので、1050件を一区切りにしよう。