国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

薬師如来坐像 仁和寺

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疫病退散は国家課題で、解決するための原因が分からなかった昔の人は、仏に祈ることしかできなかった。国家鎮守の寺として多くの寺院が建てられているが、仁和寺もその一つである。

タイミングがよかったのか分からないが、2020年の春・夏・秋と、仁和寺の至宝で、国宝彫刻最小の薬師如来座像が期間限定で特別公開される。病魔退散を祈念するにはもっとも相応しいと思い、夏の特別公開を訪れた。

国宝展や仁和寺展で拝見した薬師如来坐像はその小ささもあって結構な人集りできる人気の展示物であった。行列まではできていなかったが、それでも小さな彫刻は間近でみなければ見えない部分が多かった。今回の霊宝館での展示は密を避けるために館内の人数制限をする体制を採っていたので、じっくり見ることができる。ちなみに来館者がそれほど多くないので万全の体制は杞憂に終わっているようだった。

薬師如来本体はもちろん、後背部分の眷属や台座の十二神も細かく彫刻されており、その表面に截金細工による幾何学的な文様をあしらい豪華さを演出していた。さすが、代々の天皇家とかかわりの深い寺院だけある。

そして、独立して展示されている場所でこの時期だからの特別演出があった。コロナ禍の影響を踏まえて、薬師如来の前には祈祷された和紙製の覆面(マスク、写真はアップで写しました)が無料配布されていた。コロナを追い払うには友好的な対策で、薬師如来が見つめているのでありがたさも倍増する。(御殿にも置いてあったので、拝観すればそちらでももらえる)秋の展示はもっと気軽に行けることを期待している。

 

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。