国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

2022-01-01から1年間の記事一覧

2022年を振り返る

2022年はアフターコロナのニューノーマルが博物館や美術館で確立された年となった。基本的には体温を測り、アルコール消毒をし、マスク着用で日常的な展示会の観覧が可能となった。それに、混みそうな展示会は完全予約制を取って万全な対策を講じて実施して…

大塔 根来寺

根来寺の大塔はコロナ前から行きたかった国宝建築である。一度だけ訪れたことがあったが、建築物にさほど関心がなく、眺めただけだった。今回は建物内部もじっくり鑑賞した。 興味なく訪れた時は多宝塔があるぐらいに思っていたが、数々の多宝塔を見てきた経…

朝鮮鐘 常宮神社

2022年、静嘉堂文庫や藤田美術館などが国宝を展示する施設をリニューアルした。とても見やすく、おしゃれな施設となって再開している。そして、今年にリニューアルされて気になっていた国宝を展示する施設を見に行くことにした。 敦賀湾沿いにある常宮神社は…

玄奘三蔵絵 高階隆兼筆 藤田美術館蔵

昭和のテレビでは三蔵法師が主人公の西遊記が番組として放送されていることがよくあった。平成になると西遊記のフォーマットを利用したものが作られ、令和の時代にはほぼ見なくなった。シルクロードブームに呼応していると思っているので、玄奘三蔵ブームも…

両部大経感得図 藤田美術館蔵

両部大経感得図は密教の両界曼荼羅図で知られる大日経と金剛頂経が伝来した場面を描いた図である。もともとは奈良県天理市にあった内山永久寺にあったもので、明治時代に廃寺となって寺から流出した。 大きさ的には屏風ぐらい。寺では須弥壇の建具であったも…

紫式部日記絵詞 藤田美術館蔵

源氏物語の作者である紫式部は、藤原道長の要請で宮中に上がった。その1008年秋から1010年正月までの、宮中の様子を中心に書いた日記と手紙が残っている。それらを絵と詞書に書きあげたものが紫式部日記絵詞である。 藤田美術館蔵のものは1917年まで館林藩秋…

【東博150年】太刀 銘三条 名物三日月宗近

Ⅰ期で撮影した見返り美人(手振れしてます) 「国宝 東京国立博物館のすべて」はアンコールに応える形で1週間の延長を経て、無事に終了した。おそらくは、今年の展示会では最多級の入場者を記録しているだろう。 さて、振り返りではないが、刀剣の間につ…

柴門新月図 藤田美術館蔵

リニューアルオープン以来、久々に藤田美術館を訪れた。ITを進めている同館では、電子決済はもちろん解説書もスマホのみで読むことができる仕様となっている。そういえば、美術館によく見るPR用のフライヤーやポスターも見かけなかった。ペーパレスな美術館…

【伊豆修験】走湯権現 当峯辺路本縁起集 称名寺聖教

数多ある大学で仏教系やキリスト教系はよく目にするが神道系はあまりない。明治政府が国家神道を推奨していたにもかかわらずである。具体的には2校しかなく、三重県伊勢市の皇學館大学と渋谷区にある國學院大學だけである。 渋谷区にある國學院大學の校舎地…

【東博150年】賢愚経残巻 伝聖武天皇筆

東京国立博物館開館150周年特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」は大好評につき、会期を1週間延長して、12月18日までの開催となった。会期延長に伴い、展示品は特別編成での公開となる。 特別編成の理由として、傷みやすい絵画などは公開日数に規…

【東博150年】埴輪 挂甲の武人

東博150周年記念展も最終日。のはずが、急遽18日まで会期を特別に延長することが決定!!これも東博の所蔵品で固めた展示会だからできる粋な計らいである。 さて、所蔵国宝89件すべて見せるを目玉に、第2部では東博の起こりから、未来の国宝候補、寄贈…

【東博150年】細字法華経

東博150周年記念展の第二会場の刀剣の間は入れ替えなしの全期間展示だったので、入れ替えがあった国宝は第一会場にしかない。 漆工部門はすべて入れ替わった。片輪車蒔絵螺鈿手箱と八橋蒔絵螺鈿硯箱は三井記念美術館で開催していた大蒔絵展から続けて展示さ…

【東博150年】碣石調幽蘭第五

書の部屋では、書跡で人気ナンバー1の古今和歌集のみが全期間で展示されていた。その他はすべて入れ替わっていた。その中には京都帰りの圓悟克勤墨跡・印可状と虚堂痴愚墨跡法語もあった。 現存する最古の古琴の楽譜である碣石調幽蘭第五も後期のみの出品。…

【東博150年】餓鬼草紙

東博150周年の展示会は大盛況。Ⅰ期に行ったとき以上に人があふれかえっていた。展示を見る中でボトルネックとなって混雑する場所が数か所あった。絵巻物の展示スペースはその一つであった。 後期の展示は地獄草紙と餓鬼草紙だった。奈良博にも同様のシリーズ…

【東博150年】洛中洛外図屏風(舟木本) 岩佐又兵衛筆

東博開館150年を記念した展示会「国宝 東京国立博物館のすべて」の第Ⅳ期に行ってきた。後期なら第Ⅲ期へ行きたかったのが、日時予約が販売を開始した午前中にはほぼ完売となり、行くことが出来なかった。この反省を踏まえて、15日は朝から予約画面を開き…

【川崎美】宮女図

神戸市立博物館で開催している「よみあげる川崎美術館」の後半に行ってきた。 川崎美術館は明治から戦前にかけて形成された川崎財閥の創業者・川崎正蔵が手掛けた招待者のみが見ることが出来た施設だ。ただ、昭和恐慌のあおりを受けて美術品は散逸してしまっ…

後二条殿記 陽明文庫

新選組展で賑わう京都文化博物館では常設展で陽明文庫の名宝12を開催していた。新選組は見ずに陽明文庫だけを見に行ったが、ガラガラだったのが残念だった。 陽明文庫は五摂家の筆頭にあたる近衛家に伝来した史料を保存するために創られた。近衛家の遠祖にあ…

【仏法東帰】金光明最勝王経 奈良国立博物館

大徳寺から北大路バスタターミナルまでの便は頻繁に出ている。北大路駅すぐには大谷大学があり、博物館では仏法東帰というテーマで展示会を行っていた。 大学の博物館は独立した建物として大々的に構えるものも増えているが、大谷大学は構内の施設内に置いて…

方丈 大徳寺

大徳寺が長期の改修修理に入ったのが2年前。解体が概ね終了したことから、一般公開が無料で行われた。 普段は中にすら入ることが難しい大徳寺方丈。特別公開の時と曝涼展(10月第二日曜日)ぐらいでしか入ることはできない。しかも、お庭に出ることはでき…

【茶の湯】桃鳩図 伝徽宗筆

今年の秋は例年に比べて早く訪れている。残暑があっさりと終わり、観光には快適な良い天気が続いている。京都にも観光客が戻りつつあり、本格的な紅葉シーズンにはコロナ前の賑わいに戻りそうだ。 さて、文化の日を挟んだ週は、博物館や美術館でいろいろなイ…

木簡 平城京跡

大津市歴史博物館で壬申の乱展を見た。壬申の乱の後に遷都した都が平城京で、その痕跡を再確認したくて、平城京跡資料館に行った。 ここはその名の通り、平城京跡に建つ資料館。跡地からは木簡や当時使用していた食器などが大量に見つかった。幸か不幸か、平…

【中国古典名品展】欧陽文忠公集宋版 天理図書館

欧陽文忠公集は欧陽脩の一連の作品を南宋の周必大がまとめたもの。欧陽脩は唐宋八大家の一人に数えられ、同じく唐宋八大家の一人である蘇軾を見出した。 天理大学付属図書館が所有する欧陽文忠公集は歴史的な発見につながった。欧陽文忠公集の初期刷りは天理…

【中国古典名品展】劉夢得文集宋版 天理図書館

中国の古典書と言えば漢詩で、学生時代に悪戦苦闘した苦い記憶しかない。唐時代から科挙に受かれば官吏となれるようになった。そこで、官吏としての優秀さは仕事ができるだけでなく、嗜みとして遊興も一流が求められるようになった。官僚文人として書画や音…

【中国古典名品展】南海寄帰内法伝 天理図書館

大学で国宝を所有しているところはそれほど多くない。東京大学が島津家文書、早稲田大学はつい最近公開があった礼記子本疏義と玉篇、東京芸術大学にも絵因果経と観世音寺資材帳、慶應義塾大学の秋草文壺は東博で頻繁に展示されている。地方では東北大学が類…

後宇多法皇宸翰東寺興隆条々事書御添状 東寺

東寺宝物館の2022年秋の特別展示会のテーマは大河ドラマに引っかけた「鎌倉時代の東寺– 弘法大師信仰の成立 –」であった。鎌倉と京を結ぶ糸が大師信仰にあるというより、後嵯峨天皇の政治に対する執着があればこそ、大師に結び付いたと思える。 鎌倉幕府…

智証大師坐像(中尊大師)

大師の忌日に当たる10月29日に行われる智証大師御祥忌法要に行ってみた。2年前のコロナ禍で初めていったが、声明が寺内に響き渡る厳かな感じが印象に残っていた。 今回は参加者も多く。檀家さんが周りを囲んで、お経が読まれる。10時から開始される法…

【壬申の乱】崇福寺塔心礎納置品 近江神宮

日本史の教科書に出てくる初めての乱が壬申の乱だった。大化の改新(いまは乙巳の変というそうだ)とともに、1学期のテスト範囲で必死に覚えた記憶がある。鮮明に記憶する名称の展示会だったので、行くことに躊躇しなかった。詰め込み教育が役に立った瞬間…

曜変天目(稲葉天目) 静嘉堂文庫

響きあう曜変天目。 国宝の曜変天目は公開がどこかであれば、それに呼応して別の曜変天目も展示されることが多い。 今年4月に藤田美術館がリニューアルオープンしたことを記念して、曜変天目が公開された。この秋には京都国立博物館で開催中の茶の湯展で龍…

源氏物語関屋澪標図屛風 俵屋宗達筆

第3室は入り口から見て左の部屋。金銀かがやく琳派の美と題した部屋となっていた。ここは少し広く、大きめの作品を陳列していた。尾形光琳・乾山兄弟の作品を初め、酒井抱一、鈴木其一、原羊遊斎が並び、本阿弥光悦の草木摺絵新古今集和歌巻が通期で展示さ…

禅機図断簡 智常禅師図 因陀羅筆

静嘉堂@丸の内の第2室は入り口からは対面となる。こちらは大陸から渡ってきた品々を展示。前期に訪れたので宋~元時代のものが中心だった。伝馬遠筆の風雨山水図や伝 夏珪筆の山水図が並ぶ中、伝牧谿の羅漢図がお気に入り。牧谿特有の薄墨を用いた背景は長…

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。