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【西国三十三所】普賢延命菩薩像 松尾寺

京都国立博物館で開催されている「聖地をたずねて 〜西国三十三所の信仰と至宝〜」。前期は開幕直後の7月下旬に行ったため、京都にもまだ涼しさが残っていた。しかし、後期の展示は酷暑の中での訪問となった。連日35度を超える気温に、夕方ごろから黒くて厚い雲が空を覆いゲリラ豪雨がいつ降ってもおかしくない異常な天気となっていた。

普段なら前期か後期のどちらかしか行かなかったが、コロナ禍でいつ展示会が中止・延期になっても文句が言えない状況なので、開幕したらすぐに行くこととした。そして、お目当てが後期に展示されるので、再度訪問することにした。

お目当てとは松尾寺所有の普賢延命菩薩像。松尾寺の宝物館では春秋に公開されているようだが、日本海側にある寺院で電車の便が悪いのでなかなか見に行くことができなかった。今回はわざわざ京博までお越し下さるということなので、満を持して拝見することにした。

普賢延命菩薩は象に乗っていることでおなじみ。その象の目が切れ長で、現実の象は人懐っこいまん丸お目目なので全く違う。昔の人は象を見たことがないので仕方ない。さて、松尾寺の普賢延命菩薩も象に乗っているが、その象の数がすごい。まず、菩薩が3党の象に乗っていて、その象たちの下に受け皿(法輪)を持ち上げる大量の象たちがいる。そのどれもが同じ顔をしている。今ならモブ処理で大量のコピペで仕上がるが、念の籠った軸だけで1頭1頭丁寧に描かれている。十二世紀のものにしては色も鮮やかに残っており、この地域の人々に大切に守られてきたことが分かる。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。