国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

両界曼荼羅 (高雄曼荼羅)胎蔵界 神護寺

奈良博で開催中の「空海 KUKAI - 密教のルーツとマンダラ世界」。展示会の中盤に差し掛かってようやく今回の主役・神護寺両界曼荼羅が登場した。奈良博で巨大な曼荼羅図を展示できるショーケース(そのために作ったとも思える)が西新館にあるため、導線的に中盤となっている。

前期は胎蔵界を展示し、後期が金剛界となっている。7月に東博で「神護寺空海真言密教のはじまり-」展が開催されるため、展示期間が限られるため致し方ない。正式名称は紫綾金銀泥絵両界曼荼羅図で空海自身が制作に関わったとされる。極彩色の曼荼羅図を見ているとかなりシンプル。赤紫色の綾地に金銀泥の線描で曼荼羅を描いている。数多くの仏像を広大なキャンパスに規則性をもって描かせるだけでも大変だが、それを指揮した空海は唐で師匠の恵果から授けられた曼荼羅の図様をもとに再現しているのだから凄い記憶力である。淳和天皇の御願により天長年間(824~833年)に描かれたとされており、御願から1200年近く経った曼荼羅図が残っているだけでも奇跡である。修復作業をしたとは言え、劣化によりかすれた仏たちが多い。特に下のいる仏は人の手が届くことや、昔の照明はローソクの火だったためか、傷んでほとんど見えない。離れて全体を見て有難味を感じる国宝であった。

国宝拝観者たちの夢、千件越えをいつの間にか達成した。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標が完結した。 次の1100件は果てしなく遠いので、1050件を一区切りにしよう。