国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

2021-01-01から1年間の記事一覧

伊能忠敬関係資料 伊能忠敬記念館

「伊能忠敬」展が神戸市立博物館で開催されていた。伊能図を上呈して200年を記念しての展示会となっている。子供連れが多く来ていたが、今やGoogleMAPがないと不便を感じる(昭和生まれの)スマホユーザーたちが、伊能忠敬の足跡と細かく書かれた地図を見…

【京の国宝】小桜韋黄返威鎧 厳島神社

京の国宝も後半戦へ突入。メインビジュアルとなっている俵屋宗達の風神雷神図屏風は1週間限定での展示だった。年始のアーティゾン美術館の企画展「琳派と印象派」でも感じたが、期間限定の作品がメインを飾っていると、特別展期間中はいつでも会えると勘違…

【京の国宝】金銀鍍宝相華唐草文透彫華籠 神照寺

京の国宝で一番見ごたえがあった展示は神照寺の金銀鍍宝相華唐草文透彫華籠16面と寺から流出した3面を合わせた計19面の一気展示だった。もともとは20面あり、ハワイへ旅立った1面は里帰りを果たせなかった。それでも一度に19面もの華籠が展示され…

【奈良博三昧】金剛般若経開題残巻 空海筆

奈良博三昧の国宝出品は通期展示を除くと前期が多くて、後期のみは辟邪絵と金剛般若経開題残巻だった。金剛般若経開題残巻は空海筆で、前期に展示のあった最澄筆の久隔帖と見比べたい逸品である。 最澄と違い空海は平安の三筆に選ばれるぐらい書の名人のイメ…

【京の国宝】春日権現記絵 宮内庁三の丸尚蔵館

コロナ禍においては、移動制限がある中で文化財の審査作業に大きな影響が出ている。2020年3月に発表された新国宝は4件で、毎回指定替えを受けて開かれる東博での特別展は緊急事態宣言発令により中止となった。続いて同年10月にも八坂神社本殿が指定…

【奈良博三昧】木造薬師如来坐像

奈良博三昧は写真撮影がOKだった。展示会を振り返るために図録を買えばいいのだが、自分で撮った写真も思い入れがあって見ていて楽しめる。 あと、自分で撮れることから図録にはない、色々な角度からの写真撮影ができる。普段は見ることすら難しい仏像の背後…

【京の国宝】金銅密教法具 厳島神社

神社なのに密教法具がある。現代なら違和感があるのだが、神仏習合の時代は寺社と神社の区分が曖昧であった。 厳島神社のある宮島は大陸との交易で船が通過する重要な拠点である。なので、ここにはお宝が入った船が停泊する。それを狙った海賊にいつ襲われて…

【奈良博三昧】辟邪絵

奈良博三昧も後半戦に突入。前半が怒涛の国宝ラッシュだったことを思うと、被りもあり少し寂しい。しかし、奈良博でも屈指の人気を誇る辟邪絵が登場するとあっては観に行かない訳にはいかない。 辟邪絵は断簡となって5幅に分かれて保存されている。益田鈍翁…

【京の国宝】梵天坐像 東寺

京の国宝展のメインビジュアルを飾るのが東寺の梵天坐像。1階の彫刻が置かれている部屋には、いつもの安祥寺の五智如来坐像が中央にあり、その脇に大きな彫刻、ショーケースに入る小さな彫刻は正面に配置している。 東寺の彫刻と言えば兜跋毘沙門天が門外に…

【奈良博三昧】地獄草紙

国宝絵画の中で一番ファンタジーなものは草紙だろう。現実を誇張しすぎだものや、絶対にありえない事柄を恐怖心を煽る反面教師として描き上げる。見るものに強烈なインパクトを与えて、悪いことをさせない教訓的な巻物となっている。 その中でも地獄草紙は前…

【京の国宝】線刻蔵王権現像 総持寺

東博に常設されているイメージの強い国宝のひとつが総持寺の線刻蔵王権現像である。いつ行っても本館2階の13室金工部屋に展示されている。東博所有のものでないハズなのに、所有文化財以上に陳列されいる。 京博に場所を改めて観たのだが、残念ながら正面…

【奈良博三昧】牛皮華鬘

三昧展は東新館から西新館へ移動。渡り廊下には今回の展示会の注目作はどこにあるかを地図で示したものがあり、わくわく感が高まる演出となっていた。 西新館に入ってすぐの部屋は仏教の儀礼で使うものを展示。とくに密教の黄金に輝く鈷は見た目の美しさとは…

【京の国宝】宗峰妙超墨跡 「関山」道号 妙心寺

絵画ゾーンの次は書籍・典籍・古文書のゾーン。龍谷大学の類聚古集や 京都大学附属図書館の今昔物語集など京都の大学が保有している国宝が出ているのはかなり珍しい。一方で醍醐寺の宋版一切経や京都学・歴彩館の東寺百合文書は国宝指定の点数が膨大なため企…

【奈良博三昧】尺牘 (久隔帖)  最澄筆

今年は伝教大師・最澄の遠忌1200年に当たる年で、秋から来春にかけて東京・九州・京都の国立博物館を舞台に巡回展が開催される。仏教の殿堂としての奈良博ではあるが、最澄が建立した延暦寺は京都にあり、開催場所とはならなかった。 しかし、奈良博は伝教大…

【京の国宝】釈迦如来像(赤釈迦) 神護寺

京の国宝は3階から2階へ移動。まずは絵画部門を観る。 仏教絵画が中心になる中、十二天像4幅や十六羅漢像がいる。目を引いたのは釈迦如来像である。毎年5月の初旬に神護寺で行われる曝涼展では間近で観ることができたのだが、昨年今年とコロナの影響で公…

【奈良博三昧】蓮唐草蒔絵経箱

展示会企画で見ごたえがあった内容のひとつにサントリー美術館で開催された玉手箱を一堂に集めた特別展があった。漆塗りで黒光りした箱に金細工で花鳥風月を取り入れた絢爛豪華なものが列挙されていた。江戸時代には大名の嫁入り道具として金工細工を凝らし…

【京の国宝】三十帖冊子 仁和寺

1年遅れで開催した「京の国宝」は当初の京セラ京都市美術館から場所を移して京都国立博物館で開催することとなった。京都市美のリニューアルオープン記念だった展示会が京博へ移したことで、京博所有の国宝が展示されることとなり、総数で72件の展示となっ…

【奈良博三昧】刺繡釈迦如来説法図

奈良国立博物館は東大寺や興福寺、春日大社が隣接する奈良公園にある。この立地からも分かるように寺社仏閣の文化財を多く、蒐集・保管している。そんな奈良博が満を持して企画したのが奈良博三昧-至高の仏教美術コレクション-である。”至高の”と名付ける…

万葉集(金沢本) 前田育徳会

文武の誉れの次の部屋・第8展示室は「文」で統一していた。 加賀藩・前田家が百万石もの大大名なのに徳川家の嫌がらせによる配置換えや石高の召し上げがなかったのは、日本海側という江戸から遠い地の利だけでなく、文化面に力を注いだことが影響している。…

刀 無銘正宗(名物太郎作正宗)前田育徳会

北陸新幹線が開業した2015年、東京から石川まで直通で2時間半となったことを記念して石川県立博物館で「加賀前田家 百万石の名宝」が開催された。前田育徳会の名品がほぼ網羅された展示会だった。そして、2020年オリンピック開催に合わせて企画され…

寛平御時后宮歌合 伝宗尊親王筆

東博の国宝室では寛平御時后宮歌合の展示があった。 1200年前に行われた歌会の記録。左右1首ずつ組み合わせた短歌の優劣を競う行事で、日本人は紅白歌合戦のようなことを昔からしていた。歌会の記録では2番目に古いものだが、紙が茶色く色褪せているぐらいで…

曜変天目茶碗 (稲葉天目) 静嘉堂

国宝の中でも出るだけで目玉展示となるものが何点かある。たとえば金印はあの小ささなのに、拡大した図柄がパンフレットに必ず載る。興福寺の阿修羅像も人気が高まり出展されればメインをはる。そして、今回も展示会のメインを勤めることになったのは曜変天…

古文尚書 東洋文庫

展示もいよいよ最終コーナー。3階の展示は国宝がぽつぽつとしなかった。それが階を下っての展示は中世の中国文化が中心になり、怒涛の国宝ラッシュを展開した。 一室に古文尚書、春秋経伝集解、文選集注、史記の4つが公開。後半のみの公開の毛詩はなかった…

源氏物語関屋澪標図屏風 俵屋宗達筆 静嘉堂

三菱の至宝展で大きな展示物のひとつが屏風絵である。橋本雅邦の龍虎図屛風(六曲一双)と俵屋宗達の源氏物語関屋澪標図屏風の澪標図が並んで展示されていた。 龍虎図はともの二体ずつ描かれ、片方に空から睨む龍二体、もう片方に陸から迎え撃つ虎二体が描か…

与中峰明本尺牘 趙孟頫筆 静嘉堂

三菱1号館美術館の三菱の至宝展の3階展示で一番広い部屋には屏風絵や彫刻など大型のものが展示していた。彫刻は慶派の木造十二神将立像で静嘉堂文庫が所有している名品を陳列。玉眼で筋肉質の立像で、どれも腰の括れ方がとてもよい。12体ある神将は東博…

風雨山水図 伝馬遠 静嘉堂

三菱1号館美術館は赤煉瓦の重厚な作りである。室内にはマントルピースが各部屋にあり、それぞれが意匠を凝らして室内演出に貢献している。あくまでも実用的な建物であるため、展示施設として作られた建物ではありえないぐらい豪華な部屋になっている。 この…

花下遊楽図屏風 狩野長信筆 東京国立博物館 

京都の一番よい季節は桜の季節だ。秋の紅葉もよいが、京都の冬は底冷えするため、春になる喜びは一塩であるためだ。また、春は田植えが始まる前で、昔の人たちにとって秋の収穫時期に比べ余裕があった。浮かれまくった世相を屏風で楽しみたい。 レア ★★☆観た…

木画経箱 東京国立博物館

皇室の至宝たちも出品。木画経箱は東博の法隆寺宝物館で春先に展示されることが多い。デザインはひし形を箱の表面に張り付けていて、象牙と黒檀で意匠の強調を行っている。 レア ★☆☆観たい ★☆☆前期 tsumugu.yomiuri.co.jp

金光明経 京都国立博物館

京の国宝を展示するのならば、鎮護国家を願う経典は展示必須だ。華やかな工芸品や歴史的な書跡が今に受け継がれたのも国の安寧を祈念しつづける僧侶が居たから。 レア ★☆☆観たい ★☆☆通期 tsumugu.yomiuri.co.jp

太刀 銘包永 静嘉堂

三菱の至宝展が五輪と共にようやく開幕した。三菱財閥が誇る3つの展示館(+銀行の研究所)が所有している名品ばかりを集めた夢の展示会がついに始まった。 そもそもは三菱財閥が誕生して150年を記念した展示会ではあったが、コロナの影響で延期となって…

国宝拝観者たちの夢、千件越えをいつの間にか達成した。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標が完結した。 次の1100件は果てしなく遠いので、1050件を一区切りにしよう。