三菱の至宝展で大きな展示物のひとつが屏風絵である。橋本雅邦の龍虎図屛風(六曲一双)と俵屋宗達の源氏物語関屋澪標図屏風の澪標図が並んで展示されていた。
龍虎図はともの二体ずつ描かれ、片方に空から睨む龍二体、もう片方に陸から迎え撃つ虎二体が描かれている。虎は龍が起こす風雨に耐えながら睨みつける一匹と後ろにある風雨でしなった竹林に隠れる虎の対比がある。一方で龍も一体は雲に、もう一体は荒波から登場したシーンとなっている。先頭でいきり立つ龍虎一体ずつと、後方に控えるもう一体ずつが対比されており、これからの攻防を予見させる構図となっている。
宗達の源氏物語屏風図は傷みが目立つ。胡粉などで盛り上げた部分や、金銀の装飾部分などが剥がれ落ちている。宗達の評価が時代によって変わっていることから、最重要の品として保管されて続けたわけではなく、いろいろな場面で披露されてきたための劣化なのだろう。2015年に修理を終えたばかりで、現状保存が施されているのでこれ以上の劣化がないように願いたい。
作品は源氏物語の一シーンを再現。風神雷神でもそうなのだが、宗達は顔の描き方に個性が残る。西洋画科の中でも人物画がとても苦手な人がいるので宗達も苦手な分野だったのかもしれない。岩﨑彌之助が醍醐寺に寄進した返礼として贈られたもので、三菱の至宝にふさわしい逸品である。