奈良博三昧も後半戦に突入。前半が怒涛の国宝ラッシュだったことを思うと、被りもあり少し寂しい。しかし、奈良博でも屈指の人気を誇る辟邪絵が登場するとあっては観に行かない訳にはいかない。
辟邪絵は断簡となって5幅に分かれて保存されている。益田鈍翁の旧蔵品で、茶の席で用いるため床の間にかけるサイズになっている。鍾馗や天刑星などどれをとっても見ごたえのある絵だが、一番のお気に入りは神虫だ。
おどろおどろしい形態で、羽の生えた昆虫がむさぼり食らう様は悪魔的と表現したくなる。しかし、食べているのは悪者で、今風に言えばウイルスの擬人化したもの。朝は3000、夕300と朝方なのが神様らしい。怖いことを口伝や書き物せ伝えるより、絵にして百聞は一見に如かずにした典型例だ。