国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

与中峰明本尺牘 趙孟頫筆 静嘉堂

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三菱1号館美術館の三菱の至宝展の3階展示で一番広い部屋には屏風絵や彫刻など大型のものが展示していた。彫刻は慶派の木造十二神将立像で静嘉堂文庫が所有している名品を陳列。玉眼で筋肉質の立像で、どれも腰の括れ方がとてもよい。12体ある神将は東博と分蔵で、東博で数年前に開催された運慶展で12体を一度に展示していたのは圧巻だったが、今回の3体の展示もじっくり見るにはちょうどいい数であった。

一番広い部屋なのだが、入り口に一番近い壁際には趙孟頫筆の与中峰明本尺牘が展示されていた。大物展示物が多い中なので、下手をするとあっさりと見てしまいそうな位置にあった。趙孟頫は南宋の皇族であったにも関わらず、元の皇帝・クビライに仕えた。以来五朝三十五年を高官として働いたが、それだけ優秀だったことが分かる。国宝となった書は傑僧中峰明本に宛てた書簡六通で、心許せる僧侶に送った内容が生々しく書かれている。趙孟頫が優秀だったことは王羲之の書風なのでも分かり、中華の王道を貫いた人物だったことが窺える。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。