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【奈良博三昧】蓮唐草蒔絵経箱

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展示会企画で見ごたえがあった内容のひとつにサントリー美術館で開催された玉手箱を一堂に集めた特別展があった。漆塗りで黒光りした箱に金細工で花鳥風月を取り入れた絢爛豪華なものが列挙されていた。江戸時代には大名の嫁入り道具として金工細工を凝らした品々が誕生し、徳川美術館の初音の調度はその最高傑作である。

戦国時代以前の箱美術といえば経典を収めるために趣向を凝らしたデザインのものがある。高野山霊宝館で観た澤千鳥螺鈿蒔絵小唐櫃は千鳥型の螺鈿を散りばめて豪華すぎない櫃に仕上げていた。

経典を収める箱なので、仏典内に出てくる場面をモチーフにされることが多く、蓮唐草蒔絵経箱も蓮と釈迦の関係性からデザインされたのだろう。漆皮製の経箱で、なめした獣皮を型に張り成形したのち漆で塗り固めて作る。正倉院には40点近く保管されているが、それ以降あまり見られない技法である。玉手箱のように光り輝いた頃もあったのだろうが、いまではかなり地味な箱なので、あまり注目を浴びていないので、360度で観賞できるショーケースは独り占めできた。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。