1年遅れで開催した「京の国宝」は当初の京セラ京都市美術館から場所を移して京都国立博物館で開催することとなった。京都市美のリニューアルオープン記念だった展示会が京博へ移したことで、京博所有の国宝が展示されることとなり、総数で72件の展示となった。元々がどういった展示会だったか詳細が分からないが、京博での開催内容は大満足であった。
まずは、文化財保護や国宝指定などを決めた行政文章が最初に飾られ、歴史の勉強をして国宝の間へと移動する。国宝指定は戦前と戦後で全く別物で、たまに旧国宝と書かれている文化財は戦前に指定されて、戦後は指定されていないものである。この戦後国宝指定の第一号は昭和26年6月9日に一斉に行われた。その時指定を受けた文化財だけで1室を使用して展示が行われていた。
その一番最初の位置にあったのが三十帖冊子で、空海が唐より持ち帰った秘蔵の書物である。京博所有の芦手絵和漢朗詠抄や山水屏風も最初の指定国宝で、陽明文庫の御堂関白記など誰もが国宝指定文句なしの品々ばかりとなっている。