五島美術館での源氏物語展が延期になったことから、徳川美術館では「読み継がれた源氏物語」で橋姫を公開。五島の紫式部日記絵巻とともに夢の競演を果たした。
徳川美術館の展示で大々的にPRしていたのは絵巻物よりも初音の調度の修理後初公開だった。三代将軍徳川家光の長女・千姫が尾張に嫁いだ時の調度品で、天下泰平となったことで日光東照宮に見られる煌びやかな寛永文化の象徴的な逸品である。絢爛豪華を体現している調度品は、尾張家の家宝として大切に保管され続けたが、400年の歳月が経年劣化を生み修理が必要となった。文化財保護の補助金を活用して修繕した嫁入り道具たちは新婦となって帰って来たみたいで、源氏物語絵巻の歴史的重厚感と比べると初々しさすら感じる。
さて、すべてを見終えて出口へ向かう途中で思わぬサプライズ告知があった。来年の秋に徳川美術館が所有する源氏物語絵巻をすべて公開する大展示会が企画されているようだ。修理をすべて終えての初公開なので、ぜひ行きたい特別展だ。