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【天平礼賛】石川年足墓誌 大阪府高槻市真上町出土 個人蔵

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大阪市廃止法案、またの名を大阪都構想で二分された大阪市で開催されている美術展、天平礼賛はもっと注目されてもよさそうな展示会である。(ちなみに都になることはこの選挙の賛成多数でもないのに、都構想というのはミスリードでは)

あべのハルカスを望む大阪市立美術館で開催している展示会には、国宝5件(内2件は半期で入れ替え)と結構豪華なラインナップ。にも拘らずそれほど人が入っていない。原因として大阪は奈良や京都へ1時間で行ける場所のため、日本の古代展をしても現地に行けば本物が観られるということで敬遠される。(反面、西洋画なら結構人が来る)天平なら正倉院展へ行くという感覚なのかもしれない。

さて、展示は天平の影響を与えた随や唐の三彩碗や鏡などの前段階を紹介したのち、仏像や経典、瓦など当時の制作物を公開。国宝では奈良博の金光明最勝王経が出品されていた。そして、石川年足墓誌が陳列。死者の功績を讃える銅造鍍金製で762年の年号が分かる貴重なものである。正倉院伝来の織物の後は、天平の主役・聖武天皇の関連グッツが登場。白鶴美術館の賢愚経、手鏡の藻塩草の聖武天皇関連断簡などで、天平文化を締めくくる。

最後に蘭奢待の模刻品があった。昨年の東博で観た本物を知っているだけに、模造を近くで見るにつけ1年前を思い出す。もし可能なら蝋人形館ではないが、美術品の模造館があれば思い出を反芻するために活用したい。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。