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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

コロナ元年の国宝を振り返りつつ展望する

2020年を振り返ると東京オリンピック一色になるはずだったが、一転してコロナ一色となった。

年明け早々に中国・武漢で発生した感染症渡航規制のないまま、楽観的な対応で春節による観光客の受け入れで北海道がパンデミック状態に陥り、全国の施設で自主閉鎖が相次いだ。年度が替わって(オリンピックが延期決定した途端に)一気に全国で緊急事態宣言発令となった。そろりそろりと各施設の再開が始まり、秋の行楽シーズンは観光地に賑わいが戻った。しかし、それが災いして各地で医療崩壊寸前までになっている。

国宝巡りでも大幅なスケジュールの変更を余儀なくされた。1月は予定通りに見ることができ、2月上旬の奈良博開催の毘沙門天展、東博の出雲と大和までは何とか見ることができた。(奈良の観光バス添乗員から感染が確認され、コロナは鹿にも感染するというデマもあったので行くのに躊躇した)

2月の下旬以降は徐々に博物館・美術館が閉鎖され、企画されていた展示会自体がなくなるケースがでてきた。なかには順延して開催された京博の西国三十三観音展や東博のきもの展など一部内容変更があったものの無事に2020年に実施できたものもあった。また、三菱国宝展のように来年に延期するものもあり、対応が分かれる結果となった。惜しむらくは中止となったもので、ここの事情をクリアして再度企画してほしい。

コロナにかからず蔓延させない一番の方法は人と接触を避けること。なので、コロナ禍で日本国中が静まり返った春先は田舎の国宝建築を巡ることにした。普段でさえ人が少ない田舎で、国宝建築は山奥にあり、人と接触することはほとんどない。特に密教系の建物は修験の場に設けられたため、人里からも離れており密になりようがないので、思う存分拝観することができた。

さて、今年の国宝関連展示会の中で見ごたが一番あったは根津美術館の国宝・重文展だった。国宝それぞれが圧倒的な存在感があり、かつ普段はあまり展示されることがないものが多いので一気見できて満足できるラインナップだった。

東京オリンピックに合わせて企画された展示会が次々と次年に延期となる中で三井記念美術館の開館15周年は同館所有のものだけで構成されている展示会なので延期も可能だったはずだが、予定通り開催された。2021年の展示会の内容がもっとよいためだろうから期待したい。

来年はというとコロナの影響で国内の美術品に脚光が浴びる年になりそうだ。東博桃山時代展や京博の皇室の名品展などは展示物の借り受けが国内で完結するために実施できた。一方でボストン美術館展が海外から持って来れないため中止となった。カラヴァッジョ展のように借り受けの目途が付いたものは開催できるのだろうが、この状況下では海外との交渉がうまくいくとは限らず、リスクの高い海外ものより国内で完結する企画が多くなりそうだ。

その中で、一押しの展示は京博の秋展である畠山記念館展(仮)だ。現在、白金の記念館は閉館中。突然だったので、残念だった。この機会に大公開されるのであれば必ず行きたい企画で、奈良博で開催された藤田美術館展も満足を行く内容だっただけに名門美術館の品々を一挙公開する展示会に外れはない。三菱財閥が誇る国宝展はもちろん押さえるとして、徳川美術館源氏物語絵巻展も人気を集めそうだ。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。