ただし、コロナ対策を採った上での開催だった。
法華堂(三月堂)の執金剛神立像はいつもの通り、本尊の不空羂索観音立像の真後ろにある厨子を開放して拝観する形だった。ただし、入場までがいつもと違う形だった。
まずは、受付が外に設けられていて、拝観料を払うと写真のようなA4用紙の整理券が配られた。寺が想定したほど参拝者が来ていなかったため、整理券の時間に関係なくそのまま列に並ぶこととなった。
待つこと15分。ようやく堂内に入る。御朱印は書置きのみで、所望する人は少なかった。例年通り出入口は一方通行。下足場で少し待って、いざ、国宝とご対面。本尊の不空羂索観音立像をはじめ、四天王像、梵天、帝釈天、金剛力士(阿吽)の9体がお出迎え。3メートルにもなる巨体たちが並ぶ。まさに進撃の巨人状態の仏像たちだ。すべての仏像には彩色が少しだが留められており、丁寧に保管されてきたことを物語っている。
内陣の仏像たちをじっくり見ていると、キッチンタイマーの音が堂内に響く。執金剛神立像が見える裏のスペースが密にならないため、15名以下の人数で5分間の参拝基準で案内していたためだ。これまでは自由に見ることができた。時間帯によってはぎゅうぎゅうの中で移動の流れに飲まれてじっくり見ることができなかった。今回は必ず5分間は限られた人数で見るので、じっくり見ることができた。
立像を見るのに精いっぱいだったため、今回初めて厨子の前に狛犬がいたことにびっくり。また、厨子の左右には、左に武士の戦姿と右に山水画っぽい板絵が描かれていた。江戸時代に寄進されたものだが、法華堂の雰囲気に合っていない。
執金剛神立像はいつもながら力強い。腕に血管筋が出るまで力いっぱい見得を切る姿は何度見ても飽きることがない。国宝の仏像彫刻で同じ身長して格闘技をすれば間違いなくナンバーワンになるだろう。堂内の入場人数を制限した御蔭で国宝仏像10体をじっくり鑑賞できた。年に1度なので出来ればこの方式を続けてほしい。