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蓮池水禽図 俵屋宗達筆

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ブリヂストン美術館が建物も新たにアーティゾン美術館へと生まれ変わった。コロナ禍でなかなか行けなかったが、俵屋宗達の国宝・蓮池水禽図が出品されるということで、「琳派印象派」を観に行った。

石橋財団のコレクションの中心は西洋美術画で、ルノアールの「すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢」やモネの「睡蓮の池」など名画が揃っている。コレクションには日本画・東洋画もあり、国宝の禅機図断簡(丹霞焼仏図)因陀羅筆を所有している。

今回の琳派展は印象派琳派の作品の親和性をテーマに、両派を同じ空間で観る演出がされていた。展示会のメインビジュアルにもなっている俵屋宗達風神雷神図屏風が後期の展示で、前期の2週間のみ蓮池水禽図が陳列されていた。

宗達の国宝三点で水墨画は同作だけ。彩色の作品が目立つ宗達においてモノクロ作品が蓮池水禽図。白黒しかない世界でもリアルを描き、縮尺はともかく大陸から影響を受けた山水画の流れとは違う琳派=現実以上の現実を描きだしていた。蓮といえばモネだが、こちらの蓮は仏教の残り香がする描き方。水鳥にしても西洋の無機質的な描き方と違って生命へのオマージュが感じる。

その他、琳派の各名品が陳列されていたが、その中でも尾形光琳の竹虎図は京都国立博物館のマスコットのトラりんのモデルで、初めて見た感想は茶室用の案外小さな作品であった。光琳作の李白観瀑図と同じ空間で並んで展示されていたが、目の描き方がうまいため、間の抜けた顔になっていた。名画家でも得意不得意はあるようだ。

印象派とのコラボはともに、写実を超える描き方を模索した究極系で、日欧の地域差が明確に分かる。発想が飛んでしまったシュールレアリズムが現れるまでの超現実の競演は見ていて頭を使わず楽しめた。なお、蓮池水禽図は京博の年末年始の企画展にも登場する。

 

 

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。