国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

明恵上人歌集 京都国立博物館

明恵上人生誕850年の節目に、生誕の地である和歌山県立博物館で特別展示を開催していた。明恵上人と言えば、後鳥羽上皇から下賜された栂尾に高山寺を開山したことで有名である。都心から離れた山奥で明恵が説いたのが、華厳の教えと密教との統一・融合する厳密と呼ばれる僧自らに厳しい仏教である。この展示会には明恵本人にスポットを当てたストロングスタイルとなっている。なので、やまと絵展に出ている鳥獣戯画(写しはあった)や湛慶作の子犬など、かわいい系で勝負していない。

訪問した時が、関西文化の日で無料で公開していた。いつもの特別展示室に加えて、常設展示室も特別展示で活用する大規模なものであった。ストロングスタイルだけあって、書や発掘品が多かった。生誕地にあった歓喜寺や亡くなる前年に建てた施無畏寺にあった資料が出ていたのは地元ならでのものだった。

国宝は京博の明恵上人歌集が公開されていた。弟子である高信が師匠の十七回忌にあたって編纂した。和歌にも造詣が深い明恵の自撰集から選んで作り上げた歌集である。多くの経典を学んだ明恵が和歌にも造詣が深いのは納得できた。

学問を深めると現地へ行きたくなるのが人情。天竺(インド)へ渡って巡礼しようと計画するものの、春日明神の神託を受けて断念する。これが龍神信仰と相まって能の春日龍神につながる。どの展示会でも春日と明恵の下りはあるのだが、それらが登場する段階で頭の中がいっぱいいっぱいになっていることが多く、今回の企画ではじっくり見ることが出来た。地元を愛した明恵上人が焦点化されるべき場所での展示会であった。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。