国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

風信帖 東寺

真言宗立教開宗1200年記念として、教王護国寺(東寺)の宝物館では秋の特別公開はなかなか見ることが出来ない寺宝が出ている。前期は両界曼荼羅図で真言密教で欠かすことができないアイテムにして、東寺のものはその原型となる。

宗教都市となっていた平城京から平城京へ移る際に、宗教色を排除するため都には寺社仏閣がほとんど置かれなかった。例外的に東寺と(今はない)西寺が都を守護する意味合いを込めて置かれた。東寺の運営を任されたのが、新進気鋭の宗教家であった空海であり、奈良仏教と違う大陸からもたらした密教(当時の最新モード)の寺院として設立された。今見ても迫力のある立体曼荼羅や京都のシンボルとなっている五重塔など見どころの多い寺院であることから、1200年も続いたのかもしれない。

見に行った後半は空海が出した直筆の手紙である風信帖を展示していた。この風信帖は空海最澄にあてた手紙3通を1巻の巻物としたもの。もとは5通を1巻にまとめてあったが、1通は盗まれ、1通は関白豊臣秀次が所望したため、現在の形になった。さて、宝物館で見ている内に疑問が湧いてきた。最澄へあてた手紙であれば最澄天台宗)が持っているはずだが、なぜか真言宗の東寺が保管している。もしかして、手紙を書く前の練習用?だったのか、天台宗から流出したものをどこからか入手したのか、疑問に思いながら隣にいる国宝の兜跋毘沙門天立像をじっくり見ることが忘れてしまった。いずれにしても能書家として三筆に数えられる空海の真筆は貴重であることは疑いようがない。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。