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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

古事記 宝生院

公立の美術館や博物館のリニューアルが続いている。横浜みなみみらいにある横浜美術館は2021年から始まり来年再開予定。大阪市立東洋陶磁美術館は22年2月から始まり、こちらも来年春再開予定。天王寺にある大阪市立美術館も昨年からリニューアル工事に入っている。

この流れを受けてか、名古屋市博物館は2023年9月末でリニューアル工事のために一旦閉館となった。その前に、常設展示室で宝生院所蔵の国宝・古事記3冊がお別れ的な展示がされていた。

常設展示は名古屋の歴史を紹介するもので、古代の石器から奈良時代の遺跡から発見されたもの、そして東海地方が脚光を浴びた安土桃山時代のものなど複製品を中心に展示していた。名古屋市立の博物館ということで、もっと信長・秀吉推しなのかと想像していたが、フラットな展示となっていたのが印象に残った。充実していたのが明治以降の市民の生活品で個別案件を展示するのではなく名古屋市全体の事柄に対して力を入れているようだった。

真福寺宝生院は大須観音の名で知られ、国宝の書籍を4件所有している。ほとんど公開されることがない国宝で、公開される場所は名古屋市博物館が多く聖地となっている。今年3月5日には里帰り展示が宝生院であった。4件すべての展示だったがピンポイントの公開はなかなか見に行きにくい。

リニューアル工事前のお別れ展示では古事記3冊すべてを公開していた。古事記の写本では最古のもので、上、中両巻は応安4(1371)年、下巻は応安5(1372)年に書写したことが記されている。文字はうまくはないが、貴族の仮名文字の真反対の太い力強い文字で書かれている。力強さと共に、各文字数を増やすため小さめの文字で書いて、内容を伝えようと努力していた。この写本が最古のものになるとは書いた当人は知る由もないが、知っていたらもっと丁寧に書いていたかもしれない。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。