日中書の名品と題して京博で開催している企画展ではあるが、中国文化を受けた写本や拓本が多く出品されている。そしてようやく日本オリジナルの内容が登場した。
日本書紀は古事記と並び、奈良時代に編纂された日本神話や古代の歴史を伝えている歴史書である。まだ、かなが生まれる前に編纂されたもののため、漢字のみでの表記となっている。
日本書紀は奈良国立博物館所蔵の巻第十残巻(田中本)が最も古く、岩崎本はそれに次ぐ。漢字で書かれていることから、読みやすくするため訓読点がつけられており、これが平安時代中期から後期のかけてつけられたと見られる。純粋な日本の書の名品ではあるが、大陸文化の中から誕生した名品である。