国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

禅院額字幷牌字 東福寺

東博の展示会場では大人気だった通天橋から臨む紅葉の風景。手前に欄干を設けて橋にいるように撮影できるディスプレイになっていた。ただ、ここは京博。しかも秋開催。本物を見に行くことが気軽にできる。写真も良いが実物が一番だ。ただ、ピーク時にはすごい数の訪日外国人観光客が押し寄せているので、ゆっくり見るには京博の東福寺展がよいかもしれない。

東福寺の国宝で一番展示で見るのが禅院額字幷牌字だ。字は大きな紙に2文字から6文字までの漢字が大きく書かれる。寺のお堂に掲げる扁額用や仏事に必要な文字の手本として書いている。初めて見た時は小学校の習字の時間を思い起こさせた。難しい漢字は少なく、どれも太くて力強く書いている。平安時代のかな文字とは対極にある。鎌倉武士が好んだ禅宗だが、平安貴族との対比が文化財からも窺える。

東福寺展だが、本山が京博から近く何度か訪れたことがあったが見たことのない寺宝が多く出ていたのがよかった。本当は紅葉のシーズンに訪れるのがベストだが、ゆっくり観たい人は早めの訪問がおすすめ。春の浄土真宗親鸞展が大衆向けのド派手な印象だったが、秋の東福寺展は僧侶個々の修行の場として精神的支柱を見た感じだった。来春の京都は雪舟中心の同時代展示で、今回出ていた明兆作も出ることだろう。水墨画の黄金時代が堪能できそうだ。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。