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漢書楊雄伝第五十七 京都国立博物館

菩薩処胎経巻が東晋の竺仏念によって訳された。 それより古いことが書かれているのが漢書である。中国の歴史が詳しく(決して正しくではない)伝わっているのは歴史書を編纂し、残しているためでこの点は素晴らしい文化である。

今回の展示で出品されている漢書楊雄伝第五十七は、唐時代に書写された現存最古の漢書の写本で、これ以外に唐時代のものは発見されていない。時代だ下れば下るほど写本の内容に間違いが出てくるので、古い写本ほど作られたオリジナルに近いものとなる。

漢書の最古の写しの国宝指定は1951年で、2015年に京博が3億1千万円で購入している。もしも、文化財の指定を受けていなければ中国の美術蒐集ブームに乗って国外流出していた可能性が高い代物である。昨今博物館などが資金難でクラウドファンディングをしなければならない状況まで追い込まれていることを聞くと、この先の高額文化財の国外流出も時間の問題かもしれない。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。