国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

浄名玄論 京都国立博物館

京都国立博物館は平成館1館での運用が続いている関係で、常設展示や企画展示が特別展のない期間にしか開くことができない。東博や九博のように別にスペースがあったり、奈良博の仏像館のように特別展に関係なく展示できるスペースがほしい。

夏真っ盛りの8月8日から1カ月ちょっと日中書の名品と題した企画展を開催している。国宝の書が前期後期で11点も出るスペシャルな企画展となっている。

その最初の展示を飾るのが浄名玄論だった。国宝に選ばれる基準として造られた年代が分かることは重要な要素の一つである。浄名玄論には慶雲参年十二月伍日記、西暦でいうと706年に書写されたとの記載がある。写された年代が分かる仏典では最古級のものである。また、中国の嘉祥大師吉蔵によって著述された維摩詰所説経の綱要書である。嘉祥大師吉蔵は549年~623年と聖徳太子が活躍した時期に、三論宗の教学を大成したとされる。書かれて半世紀ぐらい経って、書写されたという事実も読み取れる。

浄名が維摩詰という在家居士が活躍する経典で、玄論はそれを研究したものだ。国宝の浄名玄論には平安時代初期と推定される白点が施されており、訓点本資料としても国語学上重要な資料となっている。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。