コロナ禍の展示会は様々な試みがなされている。東京国立博物館の「桃山~天下人の100年」は春展示から夏開催にスライドした「きもの KIMONO」に続く、特別展示である。
まず、鳥獣戯画展が延期となり、スライドしたことで、きもの→戦国とイメージの繋がる展示となった。そのため、きもの展で味わった興奮が平成館に入ると残っていたため、高揚感ある展示観覧となった。
さて、入り口すぐにあった甲冑越しには金ぴかの屏風が見える。桃山時代の京を俯瞰で描いた狩野永徳の大傑作「洛中洛外図屏風」である。織田信長が上杉家へ贈答した屏風で、米沢市上杉博物館にて春と秋、短期間ではあるが展示している。(模造は常時展示中)京の賑わいや祭り、宮中や仏殿などの建物、市井や宮中の人々の日常風景など、当時の人々にとって大都会の摩天楼がいつでも見ることができる。天下=天皇が居る場所=都=京を制する者が天下人なので、洛中洛外図屏風は天下を俯瞰する最高傑作である。
若き日の永徳の作で、一人一人の細かな描写に反するように金箔の大胆かつ迫力ある使い方が存分に見ることができた。同時に展示している檜図屏風は後年の作で、対比すると老練さを感じる。桃山絵画の主役である永徳の作品の大本命である唐獅子図は後半の登場なので今回は見ることができなかったが、それでも国宝2件の対比はそれだけでも訪れた甲斐があった。