国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

楼閣山水図屏風 池大雅筆 東京国立博物館

池大雅生誕300年を記念した展示会が出光美術館で行われていた。開催から15日間だけだが東博所有の国宝・楼閣山水図屏風を展示していたので、見に行った。

2018年春の京博特別展で天衣無縫の旅の画家として池大雅をピックアップした展示会を開催した。このブログを始めるきっかけとなった2017年秋の京博で開催された国宝展の次の特別展だった。それまで、池大雅という名前すら聞いたことがなかった。今でもそうだが、南画が好みでないこともあり食指が動かず、同分野の美術展を積極的に見に行くことがなかったためだ。当時、池大雅の作品を絵画として見ても好きにはならなかったが、文字のバリエーションが面白いことに気づいた。東博書道博物館兵庫県立美術館などが連携して開催している呉昌碩没後180年の記念展ではないが、書家として見るか画家として見るか個人的嗜好の角度を変えて楽しめることを知った展示会であった。

楼閣山水図屏風は一昨年の東博150年展にもちろん出品されていた。同作品は人の集まりがいまいちだったように記憶する。屏風としてそれなりの大きさがあるにも関わらず、描かれているテーマに派手さはなく、ゆったりとした雰囲気を醸していて見逃しやすい。色はポイントのみで使い、金地がくすんできらきらしておらず、水墨画で仕上げていて派手さがない。東博所有の国宝たちが綺羅星の如く陳列されていては霞むのも仕方ない。

出光美術館では大きな作品で一番の目玉作品を展示することが多い、第1室の少し下った単独展示スペースに陳列していた。段差があるため、足早に進む人の導線から離れるためゆっくりと鑑賞できるスペースで、近づいたり離れたりしてながら鑑賞した。風景は細かく描いている割に建物のパースがとれていなかったり、人の顔が簡素に描かれたりしていて、近くで見ると気になる点が多い。西洋画家のベラスケスが活躍したバロック期の絵を観賞するように遠目に見るのが正解?と思い、離れて見ると目に入る情報量が多いので好みではなくなる。まだまだ南画の見方が習得できない。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。