国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

刀 金象嵌銘 城和泉守所持 正宗磨上本阿 東京国立博物館

本阿弥家は代々刀剣の鑑定・研磨・浄拭を家業としてきた。戦の恩賞として土地を与えるのが最も分かりやすいが限りがあるため、褒美として地位や武具を分け与えることがある(のちにその地位や武具も不足してきたため、茶道具も恩賞となった)。おそらく、褒美を乱発する戦国武将がいたはずで、武具の価値を担保する必要がある。そこで本阿弥家などの鑑定士が登場する。

天下泰平の時代、大名家に伝わる刀が本物かどうかは重要な問題で、偽物を恩賞として渡す、もしくは献上することがあっては恥である。そこで、鑑定してもらい間違いなく名品であることを証明する書を発行してもらう。これが墨で書かれたものだから、お墨付きの語源となった。証明書では泣き別れになるかもしれないので、ものに直接書き込むことがある。刀の鑑定をしたあとに、銘として金象嵌で入れ込むことで、唯一無二の品であることを刻み込む。東博の国宝刀には城和泉守所持と正宗磨上本阿と本阿弥家の花押が金象嵌で刻んでいた。お墨付きならぬ、お象嵌付きとなっていた。

子供の頃に大切なものにマジックで名前を書くことがあったが、刀に所持者の名前まで書くことほど大切なものだったのだろう。

国宝拝観者たちの夢、千件越えをいつの間にか達成した。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標が完結した。 次の1100件は果てしなく遠いので、1050件を一区切りにしよう。