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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

金堂天蓋 法隆寺(付属の飛天像)

奈良博のプレミアムカードが2023年度から値上げされると知り、急いで買いに行ったついでに企画展「新たに修理された文化財」を見た。すでに名品展は1度見ているが、子嶋寺の両界曼荼羅は巨大かつ緻密で美しさを兼ねており、西洋の教会壁画のように何度見ても見惚れてしまう。

さて、修理された文化財の展示は5点と少な目。修理は時間のかかる作業で、修理後には元に依頼先へ返すため、展示のタイミングが合いにくい企画である。その中で、2020年に国宝指定を受けた法隆寺の金堂に釣られている天蓋の附属物、飛天像(横笛)が修理を終えて展示されていた。

法隆寺の金堂は内部に入ることができないが、見ることは可能で天蓋も遠目ではあるが確認できる。しかし、その付属物の飛天たちはというと居たかもしれない程度。どうも天蓋の上の部分、屋根状に付けられているようだ。釈迦如来坐像を熱心に見て、周りの像と室内をそれとなく見渡すだけで、飛天は意識していなかったので見逃していた。

今回の展示では単独で横笛を吹く飛天像を展示していた。天蓋にくっつけるため、大きくはない。にも関わらず、像は細かく立体的に彫られており、力の入った造形であった。それに対して光背部分は平べったい板を成型しただけで、立体感を出すために彩色を施していた。このアンバランス感は近くで拝むことを前提とする仏像ではありえない。ただし、光背が板とばれないようにカドを斜めに切って、遠くからでは板と見えない工夫がされていた。単に手を抜いて立体的に作らなかった訳ではなく、重量を軽くする工夫と考えるのが自然である。聖徳太子遠忌1400年が終わったところで、当分は法隆寺関連の大規模展示会はないだろうから、こういった小出しの展示へ出品が増えることに期待したい。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。