国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

赤糸威鎧 兜・大袖付 武蔵御嶽神社

2023年10月22日(日)9時半から11時にかけて山梨県の菅田天神社で小桜韋威鎧が公開されると知った。その前日、21日に中央線の高尾ー八王子間が夜にグリーン車導入に伴う線路切替工事が行われるとのアナウンスがあった。もしも、工事がうまくいかず山梨まで行けなかったら悔やんでも悔やみきれないので現地で1泊することにした。

その前に、八王子から青梅線でとぼとぼと沢井駅へ。澤乃井でお馴染み小澤酒造の酒蔵開きへ行った。コロナ自粛で開かれていなかったので久しぶりとのこと。蔵見学後に試飲(純米大吟醸が美味しかった)を楽しみ少し温まったところで無料巡回バスで御嶽駅前まで行く。お目当ての御嶽神社行のバス停では海外の方が結構並んでいた。坂道に揺られて10分でケーブルカー近くのバス停で降りる。少し坂道を歩いて乗り場へ着く。ここで車で来ている合流組がペット(主に犬)を連れている。御嶽神社の眷属がオオカミで犬といっしょにお参りする人が多いことから、ペットOKのケーブルカーとなっていた。なかなか見ることがない車内であった。

ケーブルカーを降りて神社まで30分とのアナウンスがあった。距離が1キロ、見学に20分と換算して次の次のケーブルカーで戻る段取りで、いざスタート。はじめは平坦なコースだったので楽勝だったが、残り3分の1ぐらいに差し掛かると急こう配に。ここを一気に駆け上がり、およそ20分で御嶽神社へ到着した。

息を切らしつつ宝物殿に入る。チケットを買うとポストカードをもらったが、解説用の冊子は日本語版が品切れで残念だった。1階はオオカミに関する企画展で、ニホンオオカミが健在で山の王様・犬王だったころの信仰の印を展示していた。

そして、2階が常設展示。武士が御嶽神社に寄進した武具を展示していた。赤糸威鎧 兜・大袖付は中央のショーケースに陳列していた。重要文化財の紫裾濃鎧 兜・大袖付と並んで飾っていた。ただ、どちらにも解説や絵解きがなかった。一見するだけではどちらがどちらか分からない。よく見ると当たり前だが糸が赤い方が国宝で、紫が重要文化財であることが分かる。少し暗めの照明とあってキャプションぐらいはつけてほしかった。あと、モニターから赤糸威鎧 兜・大袖付の解説が流れ続けていた。できれば必要な時に流れるようにしてほしい。

赤糸威鎧 兜・大袖付は1191年に畠山重忠が奉納したと伝わる。補修に寄って部材が変わっている部分も多いが平安末期の作風が残る大鎧として貴重なものとなる。畠山重忠は鎌倉殿の13人の中には含まれないものの、存命中から武勇の誉れ高く、その清廉潔白な人柄から坂東武士の鑑と称される誠実な武士であった。その名声に恥じぬ力強さが見て取れた。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。