本阿彌家は今はどうなっているか。現在まで脈々と続いており共に人間国宝に認定された本阿彌日洲・光洲親子は刀剣研磨の分野の第一人者となっている。なので、美術館や博物館、寺社などで保管されている価値の高い文化財(国宝や重要文化財クラス)の刀剣の研磨修理を委嘱されている。いまの刀剣ブームあるもの、本阿彌家の研磨があってのことだと言っても過言ではない。
そんな本阿弥家が所蔵する短刀が国宝となっている。銘備州長船住長重甲戌と入ったもので、刀自体は非常に短い。豊臣秀吉に仕えた本阿弥家光徳の指料と伝わる品である。甲戌と刻まれていることから南北朝時代の1334年に制作された。長重作として相州伝の最高傑作とされる。ほとんど展示会などへ出品はないが、ご先祖の本阿弥光悦を取り上げた特別展だから貸し出されたのだろう。光悦も見たであろう短刀で、傑作を見ることでよりよい創造が生み出されたはずである。